軽い、けれど、頑丈なボディ
dynabook SZ73は、モバイル利用を重視したノートPCで、本体サイズは約316.0(幅)×227.0(奥行き)×19.9(高さ)ミリ、重さは約1.199キロとなる。13.3型ディスプレイ搭載ノートPCとしては突出して軽量薄型というわけではないが、それでも1キロをわずかに超える程度の重さなので、携行利用には何ら問題ない。また、付属するACアダプタは、重さがコード込みで180グラム、サイズが88×34×26ミリと軽量小型なので一緒に持ち歩いても負担は軽い。付属するコードも細身なので取り回しが容易だ。
突出して薄く軽い“わけではない”本体だが、その代わりに堅牢性を確保している。dynabookでは、米国防総省の調達基準「MIL規格」で定める耐久性に関するテスト項目のうち、落下試験(26方向で高さ76センチから落下させる)、衝撃試験(6方向から3回衝撃を与える)、粉塵試験(細かい粉塵を6時間吹き付ける)など、10項目の試験に加えて、30cc防滴テスト、200キロ重面加圧テストもクリアしたことを訴求している。
dynabook SZ73が搭載するディスプレイのサイズは13.3型で解像度1920×1080ドット。このディスプレイにはシャープが開発した「IGZO」液晶パネルを採用する。Dynabookでは「高輝度・高色純度・広視野角」といった特徴を訴求しているが、それとともに、ノートPCの構成パーツで消費電力が高い液晶パネルで省電力を実現したことでバッテリー駆動時間を向上させたことも、ノートPCとしては重要な要素として注目したいポイントだ。
キーボードはアイソレーションタイプで、キーピッチは19ミリ、キーストロークは約1.5ミリ確保している。特にキーストロークは最近のモバイルノートPCの多くが1ミリ程度なのと比べると深い。キーをタイプしたときの感触は軽い。それでもキーストロークが深いのでタイプした感覚は十分認識できる。加えて、タイプする指がキートップを確実にとらえることができるように、キートップには深さ0.2ミリのくぼみも設けている。ただ、このくぼみの効果を体感するのはかなり難しい(個人的な“クセ”でもあるが、検証作業中において、上段のキーはどうしても下辺近くを押し込んでしまうケースが多かった)。
実際にタイプすると、タイプする指を押し返す力は軽くスッと指が下がっていく。力強くタイプすると本体がわずかにたわむ。タイプ音は「かちゃかちゃ」と柔らかい音で聞こえはするものの作業の邪魔になる音量ではない。
右端に配置した一部のキーでキーピッチが狭まるが、配置に無理はないのと、キートップの感覚が十分空いているので誤爆はほとんどない。パームレスト面も天板も横方向に一直線の溝を多数刻んだ表面にしている。爪を走らせると音を発するほどだが、この「溝」のおかげで、天板には指紋の跡が残らないし、パームレストも汗ばんで不快になることもない。使い勝手としてはとても快適な表面処理だ。なお、パームレスト左上隅には指紋センサーを用意して生体認証に対応する。
日本のビジネスシーンを考慮したインタフェースと処理能力と価格
本体には、USB-PDに対応したUSB Type-Cとまだまだ利用機会が多いUSB 3.0 Type-Aが2基の他に、有線LAN用のRJ-45、映像出力用のHDMI(Standard規格)と日本のビジネスシーンを考慮したインタフェースも用意している。また、最近利用機会が急増しているWebカメラでは有効92万画素で720p動画撮影に対応したモジュールをディスプレイ上部に内蔵する。無線接続では、IEEE 802.11acまでカバーするWi-Fi 5準拠になる。他にはBluetooth 4.2に対応する。なお、SIMスロットは備えていないのでLTEによる4Gデータ通信は利用できない。
価格を抑えるために第8世代Coreプロセッサーを採用する他、システムメモリはDDR4-2400で、ストレージはSerial ATA 6Gbpsで接続する。今回取り上げた“会員割引で10万円ぐらいに安くなるかもしれない”モデルのパーツ構成はCPUがCore i5-8250U、システムメモリ容量が8GB、ストレージ容量が256GBになる。この構成における処理能力をベンチマークテスト「PCMark 10」「CINEBENCH R20」「3DMark NightRaid」「ファイナルファンタジー XIV 漆黒のヴィランズベンチマーク」「CrystalDiskMark 7.0.0 x64」で測定した。加えて、バッテリー駆動時間をBBench 1.0.1で測定(ディスプレイ輝度は10段階の下から6レベル、電源プランはパフォーマンス寄りのバランスにそれぞれ設定)した。また、表面温度の測定では、3DMark NightRaidを実行し、CPU TESTの1分経過時において、Fキー、Jキー、パークレスト左側、パームレスト左側、底面のそれぞれを非接触タイプ温度計で測定している。
PCMark 10 | 3054 |
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PCMark 10 Essential | 6679 |
PCMark 10 Productivity | 4467 |
PCMark 10 Digital Content Creation | 2593 |
CINEBENCH R20 CPU | 1026 |
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CINEBENCH R20 CPU(single) | 350 |
CrystalDiskMark 7.0.0 x64 Seq1M Q8T1 Read | 528.51 |
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CrystalDiskMark 7.0.0 x64 Seq1M Q8T1 Write | 429.09 |
3DMark Night Raid | 4501 |
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FFXIV:漆黒のヴィランズ(高品質ノートPC) | 1217「設定変更が必要」 |
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FFXIV:漆黒のヴィランズ(標準品質ノートPC) | 1510「設定変更が必要」 |
BBench 1.0.1 | 12時間2分(43320秒) |
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表面温度(Fキー) | 31.0度 |
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表面温度(Jキー) | 30.3度 |
表面温度(パームレスト左側) | 28.8度 |
表面温度(パームレスト右側) | 30.3度 |
表面温度(底面) | 44.3度 |
以上のようにdynabook SZ73は、搭載するパーツやバス規格を一世代前とすることで価格を抑えつつ、軽量でバッテリー駆動時間が長いモバイルノートPCとしてより重要なスペックを高めている。それでいて、ベンチマークテストのスコアは最新の第10世代Coreプロセッサーを搭載したモデルと比べてCPUの処理能力が影響するビジネス利用においては大きな違いはない(さすがにストレージの転送速度とゲームにおける描画処理には大きな違いはあるが)。「リモートワークとモバイルで使えるノートPCを“あのまとまったお金”で購入したい」ユーザーにとって、検討する価値は十分にあるだろう。