毛利新介(今井)が今川義元(愛之助)を討つシーンはワイヤーアクションで表現。一色氏は「桶狭間の戦いシークエンスのクライマックスなので、どの様に今川義元に討たれるのかは、台本を読んだときからずっと考え、単なる殺陣だとそれまでの話の流れと同じようになる可能性が高かったので、毛利が空中に飛び上がり義元を討つという場面を考えました」と説明し、「一番最初に浮かんだイメージは、義元の目に映る毛利の姿でした。鎧甲を着けていると20キロ近くあるので、普通に飛ぶのも難しく、ワイヤーアクションで表現することにしました」と明かした。
そして、「実際には2メートルぐらいは空中に上がってもらったかと思います。大変だったのは義元の見た目で飛んでくる毛利のショットで、格好良くダイナミックな動きにしたかったので、何度も何度もやり直しました」とかなりの時間がかかったと告白。「今井さんは、ワイヤーと芝居のタイミングや、空中での身のこなしなどがなかなかピタッと合わず何度も撮り直しをしたのですが、嫌な顔を全く見せず、最後まで諦めずに取り組んで下さいました。次がダメならキープしていたショットを使おうかと思っていた所、最後の最後にピタッと全てを完璧にこなして下さいました。本当にその瞬間の集中力はすごかったです」と今井を称賛した。
さらに今井について、「本当に真面目な方で、役に対してものすごく誠実にアプローチして下さいます。冒頭からどういう気持ちなのかきちんと組み立てて役作りをして下さいました。殺陣もかなり練習して下さいまして、映像にその努力の結果と、役に対する誠実さが現れていると思います」と撮影の裏側を明かした一色氏。
ちなみに、ワイヤーアクションと今井へのオファーは関係ないとのこと。「ただ、ワイヤーアクションがあるとお伝えしたのは、衣裳合わせか何かで初めてお会いした時なのですが、ものすごく喜んで下さいました。現場でも帝劇を思い出されていたようですが…笑」と今井の様子を伝え、「印象に残っているのは、ワイヤーアクションを本当に楽しんでいる様子で取り組んで下さっていた時の笑顔ですね。本当に楽しそうに演じて下さいました」と振り返った。
討ち取られた義元役の愛之助についても、「その存在感は言わずもがな、台詞の一つ一つの意味をきちんと理解して、そこに求められているものを高いレベルで届けて下さいます。今回は、圧倒的な今川軍というイメージで作りたかったので、内から湧き出るエネルギーを大切に演じていただきました。目線の一つ一つ、言葉の出てくる間合いなど緻密に組み立てて演じてくださいました」と称賛。「本当に周りに気を遣って下さる方で、常に現場に良い雰囲気をもたらして下さいました。大阪弁で話したりする時は、本当に人懐っこくてお話しするのが本当に楽しい方です」と現場での立ち振る舞いにも感謝した。
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