長谷川博己主演のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)の第21回「決戦!桶狭間」が7日に放送され、染谷将太演じる織田信長と片岡愛之助演じる今川義元による桶狭間の戦いが描かれた。最終的に義元を討ち取ったのは、今井翼演じる毛利新介。ワイヤーアクションを用い、決戦のクライマックスにふさわしい大迫力のシーンとなった。桶狭間の戦いの描き方、また、今井や愛之助の演技などについて、演出の一色隆司氏に話を聞いた。

『麒麟がくる』毛利新介役の今井翼

本作は、織田信長の家臣で、「本能寺の変」を起こした智将・明智光秀(長谷川博己)を主役とし、その謎めいた半生に光を当てていく物語。『太平記』などで知られる池端俊策氏が脚本を手掛けている。

織田信長(染谷)と今川義元(愛之助)による桶狭間の戦い。信長は、今川が噂通り本当に2万もの大軍であることを疑い、局地戦を展開して義元自ら率いる本隊から徐々に兵を引き離す作戦を決行した。一方、元康(風間俊介)は三河勢を駒のように扱う今川方に嫌気が差し始め、織田軍の迎撃に加わることを拒否。暴風雨の中、数の減った今川本隊は桶狭間山での立ち往生を余儀なくされ、そこに織田の軍勢が襲いかかり、信長の家臣・毛利新介(今井)が首級をあげた。

演出の一色氏は、桶狭間の戦いの見せ方について「内容的には、道三、高政、光秀の長良川の戦いとは違って、登場人物の心情劇として進める話ではなく、巨人・今川義元に数でも圧倒的に劣ると言われていた織田信長が戦いを挑むという、文字通り『合戦』なので、単なる戦闘シーンにならないために如何に話を作って行くのかという所には、かなりこだわりました」と説明。

「一つは、数の話、そして、もう一つは、元康が寝返るのか、返らないのか…という所、この2つの要素をクライマックスに向けて組み立てていくことをとても意識しました。また、毛利新介、服部子平太という新キャラも登場するのですが、彼らは重臣ではないので軍議にもおらず突然出てくるのです。台本上は、ラストの義元が討たれるシーンで初めてその名が出てくるのですが、合戦シークエンスの頭から出てもらうことによって彼らのストーリーも作りました」と明かした。

そして、あらゆる技術を総動員。「見せ場としては、鉄砲や矢のVFXやセット空間を拡張するマット画、大型扇風機を使った暴風雨の特殊効果や、各キャラクターの殺陣、ワイヤーアクションなど、あらゆるテクニックを総動員してダイナミックな映像となるようにした所でしょうか」と説明し、「さらには、音楽や効果音などもその臨場感を高めるのに一役かってくれています」と加えた。

また、苦労した点について「今川義元と織田信長が直接会って戦うシーンがないのです。なので、色んな要素を見せつつ、あたかも直接対決して信長が勝った…という風に視聴者の皆さんに感じて貰えるように作らなければならないところです」と打ち明け、「成功しているかどうかは、視聴者の皆さんの判断にゆだねるところですが…」とした。