ダウンサイズやクルマ離れ、カーシェアリングの普及など、クルマに対する合理的な考えが強まる今日この頃だが、SUV人気はいまだ衰えることを知らない。今年6月には、ダイハツ工業の新型軽クロスオーバーモデル「タフト」がデビューする見通し。日産自動車は海外向けモデルであるコンパクトSUV「キックス」を「ジューク」の後継車として日本に投入する方針を示している。そんな中でも、ラインアップを増やしているのがトヨタ自動車だ。「ハリアー」の新型が登場目前となった今、同社のSUVラインアップを整理しておきたい。
お手軽で使いやすい「ライズ」
2019年11月に発売となった「ライズ」は、トヨタのエントリーSUVの役割を担う。5ナンバーの扱いやすいサイズと200万円前後という手頃さも受けている。ダイハツ「ロッキー」の姉妹車ではあるが、顔つきなどで差別化を図った。ギア感のあるカジュアルなスタイルは、街中からアウトドアシーンまで映える。
街乗りをメインとするクルマだが、足回りをしっかりと作り込み、ロングドライブも意識した運動性能と快適性を両立させている。最低地上高は185mmを確保しているので、降雪地でも問題ない。全車に搭載される1.0Lダウンサイズターボのスペックは平凡だが、なかなか力強い走りを見せてくれる。今どきのファミリーにも最適な1台といえるだろう。デビュー以来、販売も絶好調だ。
スペシャルティな「C-HR」
SUVらしからぬスポーティーなスタイルで幅広い層から好評を博す「C-HR」。「プリウス」とベースを共有するため、しばしばライバルと目されるホンダ「ヴェゼル」よりもサイズは一回り大きい。そのキャラクターはSUVというよりも、ファッショナブルや特別感を意識したスペシャルティカーだ。かつて若者をターゲットとした「セリカ」を現代的にアレンジしたようなクルマといえよう。
意外なことに、2WDのターボ車には6速MT仕様が用意されている。前輪駆動車(FF)が主力だが、1.2Lターボ車と1.8Lハイブリッド車ともに4WDも選べる。国産SUVの中では、サイズこそ異なるものの、日産ジュークのように、見る人を惹きつけるデザインで勝負するクルマだといえる。SUVらしい使い方には少し不向きで、ラゲッジルームの広さも318Lと控えめだ。ただ、見た目とは裏腹に後席スペースはしっかりと確保してある。
本物志向で見事に復活した「RAV4」
街乗りのカジュアルSUVだったRAV4が日本市場で復活し、2019年4月に発売となった。新型は過去のモデルに比べサイズアップしていて、4WDによる走破性の向上など、SUVとしての性能を磨き上げてあるのが特徴だ。その4WD機構は個性的で、仕様に合わせて3タイプを設定するこだわりよう。しかも、SUVでも人気の高い前輪駆動(FF)仕様は、あえてエントリーグレードのみという潔さだ。
パワーユニットは2.0Lガソリンエンジンと2.5Lハイブリッドの2種類で、全車CVTとなる。タフさを強調したアグレッシブな内外装も好評で、若い世代からの人気も高い。ラゲッジスペースはクラストップレベルの580Lを確保。サイズアップにより室内空間も広がっており、ファミリーカーにも最適な1台だ。