サイボウズでは新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて、2月28日からほとんどの国内拠点で原則として在宅勤務を実施しており、ほぼすべての業務をテレワークで実施中だ。そのノウハウを各部署の担当者が語るWebセミナーを「サイボウズテレワークセミナー」として題し、Zoomのウェビナー機能を使用して4月21日から実施している。
第3回目のセミナーは「【採用研修編】選考も入社後研修も完全在宅で! 採用・育成チームのテレワーク対応」とのテーマで、同社ビジネスマーケティング本部kintoneビジネスプロダクトマネージャーの相馬理人氏がモデレーターを務め、人事本部採用推進部の綱嶋航平氏と同本部人事労務課の高木一史氏が、それぞれの対応を中心に語った。
採用や研修の在宅勤務対応といっても、本当に可能なのか疑問に感じるかもしれない。 今回のセミナーではこのような疑問や不安について、会社説明会から面接、内定・採用までのフローにおける対応の変化や、ビジネスマナーなど新入社員研修を含むコミュニケーションをどうするか、プロセス変更による受け入れ側の負荷や不安といった、誰もが気になるポイントを解説した。
説明会や面接はZoomで、管理や選考にはkintoneやGaroonを活用
採用フローでは対面の面接やエントリーシートなど、オンライン化が難しく感じるステップが多く、すべて在宅勤務で対応できるのかが気になる点だ。サイボウズの選考フローは、一般的な企業と大きくは変わらない。だが、すべてをクラウドと在宅勤務で実現したということだ。
高木氏によると、説明会はZoomで開催し、その後のエントリーシートや面接の調整などは、すべてクラウド上で実施したという。
具体的には、同社の業務改善プラットフォームであるkintone(キントーン)と、グループウェアのGaroon(ガルーン)を随所で使用している。
まず、採用フローの最初のステップである会社説明会について綱嶋氏は「サイボウズのことを知ってもらってエントリーに繋げる、重要なフェーズ」だと考えているという。これを今回は、Zoomのウェビナー機能により実施した。
オンラインの会社説明会では、会社の資料を共有しながらサイボウズの人事メンバーの顔を表示している。
良かったこととしては、オフィスのキャパシティを超える150人ほどの参加者があり、「日本全国に加えて、中国やアメリカなど海外からのご参加もありました」(綱嶋氏)という点を挙げる。
エントリーシートは、オンラインで提出可能にした。すべてkintone上で管理し、データを取り込むためにトヨクモのForm Bridgeを使用しているとのこと。「転記の必要が無く、そのまま見られるので便利です」と綱嶋氏はメリットを語った。
エントリーシートの管理には、kintone上で作成したエントリーシートアプリを使用したという。
「候補者の個人情報やアピールポイントのほか、次の面接官への申し送りや人事への面接の調整に関する連絡などの、コミュニケーションも集約しています」(綱嶋氏)
また、「kintoneでは、画面1つを見ればすべて完結しています」というメリットを挙げる。
続いてのステップは、入社希望者との面接。綱嶋氏は面接の調整について、「Garoonのスケジュール機能で管理し、ZoomのURLを自動で発行するシステムを使用しています」と説明する。
新卒者に加えて、中途採用もkintone上で作成したキャリア採用アプリによりフローをオンライン化した。
「どの職種にどのくらい応募があり、合格率はどのくらいだったのかをkintoneで数値化して分析しています」(綱嶋氏)。
採用フローのオンライン化は、2月半ば頃から完全な在宅勤務化に先んじて、クラウドと在宅でできるように進めていたという。
「短い期間で整えたことの苦労はありましたか?」(相馬氏)という問いには、エントリーシートの選考や面接の調整などは以前からクラウドで実施しており、「会社説明会や面接をすべてZoomに移すことに集中すればよかったので、スムーズに移行できたと思います」(綱嶋氏)と振り返る。