高性能GPUを組み合わせれば快適なゲーミングPCに
では、前置きがかなり長くなったが、Ryzen 3 3100/3300Xのパフォーマンスを見てみよう。今回の検証環境は以下のとおりだ。
検証環境 | ||
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CPU | Ryzen 3 3100 | Ryzen 3 3300X |
マザーボード | GIGABYTE GA-AB350N GAMING WIFI(AMD B350) | |
メモリ | DDR4-3200 8GB×2 | |
グラフィックスカード | GeForce RTX 2070 Super/GeForce GTX 1660 Super | |
SSD | Intel Optane SSD 800p 118GB(NVMe、PCI Express 3,0 x2) |
まずはCPU性能をCINEBENCH R20で計測した際のスコアで二つのCPUを比較しよう。Ryzen 3 3100はCPUスコアが2305、シングルコアが425だ。一方、Ryzen 3 3300XはCPUスコアが2432、シングルコアが498となった。より高クロック設定のRyzen 3 3300Xのほうが同3100よりも高く、その差はまずまず大きめだ。
ではそれぞれのグラフィックスカードを組み合わせたゲーム性能を二つのベンチマークで見てみよう。まず軽量なFORTNITE。
画質を最高に固定したうえで、1280×720ドット、1920×1080ドット、2560×1440ドットと変えてみた。フレームレートはOCATを用いて1分間の計測をしている。
グラフのとおり、CPUで比較をするとRyzen 3 3100よりもRyzen 3 3300Xのほうがわずかに高いフレームレートがでる傾向のようだ。基本的に、低解像度で差が大きくなる傾向で、GeForce GTX 1660 Super時よりもGeForce RTX 2070 Super時のほうがより大きく開く。そして、これはあくまでRyzen 3 3100/3300X間での比較だ。より高性能なCPUであれば、より高いフレームレートになる。
フレームレートで見ると、GeForce GTX 1660 Superを組み合わせる場合、1920×1080ドットあたりが標準的なプレイ環境と言える。2560×1440ドットも60fpsを満たしているが余裕が少なく、これを下回るシーンも多い。ポイントは1280×720ドット解像度でゲーミング液晶ディスプレイと組み合わせたいニーズだろう。二つのCPUで5.5fps程度の差が生まれている。1920×1080ドット以上の解像度では大差ないのでCPUはどちらでもよいが、GPU負荷が軽い低解像度で高リフレッシュレートのゲーミング液晶ディスプレイを使いたいというニーズでは、少しでも高性能なRyzen 3 3300Xのほうが有利だ。
GeForce RTX 2070 Superの場合、1920×1080ドットならばゲーミング液晶ディスプレイとの相性もよさそうだ。常時60fpsという指標なら2560×1440ドットも快適ラインに入る。こちらは1920×1080ドットでも5.5fps程度、1280×720ドットでは20fps超、Ryzen 3 3300Xのほうが高フレームレートになった。つまり、高性能なGPUほどわずかなCPU性能差でも大きく影響するようだ。こちらも主にゲーミング液晶ディスプレイとの組み合わせ時に要注意といったところだろうか。2560×1440ドットではほとんど差がない。
このように、軽量なゲームタイトルにフォーカスすれば、144fps超のフレームレートも得られる。仮に組み合わせるグラフィックスカードが先に決まっており、それを前提に予算を確保しているならば、CPUを「3」グレードにすることでゲーミング液晶ディスプレイなどゲーミングデバイスに予算を割り当てるということも可能だろう。
次にやや高性能ハードウェアを要求するFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク。
■FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークにおける「評価」 | ||||
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Ryzen 3 3300X | Ryzen 3 3100 | |||
RTX 2070 Super | GTX 1660 Super | RTX 2070 Super | GTX 1660 Super | |
1080p/高品質 | とても快適 | 快適 | とても快適 | 快適 |
720p/軽量品質 | 非常に快適 | 非常に快適 | 非常に快適 | 非常に快適 |
こちらは1920×1080ドット/高品質と1280×720ドット/軽量品質という両極端の負荷で計測してみた。CPU性能差が出るのはやはり1280×720ドット/軽量品質時で、FORTNITEの傾向と同じだ。Ryzen 3 3100にGeForce RTX 2070 Superを組み合わせた場合の1280×720ドット/軽量品質時が13718ポイントという結果は、予想よりも低かった。CPUがボトルネックになっている可能性もあるが、わずかなクロック差のみでここまでRyzen 3 3300Xと差がつくかというと判断が難しい。基本的にCPU交換のみで計測しているが、システム側の問題という可能性もゼロではない。ただ、GeForce RTX 2070 Superの1920×1080ドット/高品質時にも性能差が生じているので、二つのCPU間でフレームレートに差が出ていることは確かだろう。
全体を通じて、Ryzen 3 3100/3300Xでも、高性能グラフィックスカードを組み合わせれば、プレイするのに十分なフレームレートが得られている。もちろん、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONよりも高いハードウェアを要求するタイトルはある。ただしそれを高画質で楽しむというのは高性能CPUと高性能GPUの組み合わせを達成したPCがふさわしい。Ryzen 3 3100/3300Xというコスト重視の構成からすれば、その域のゲーム、メインストリームのゲームタイトルに関しては問題ない。
組み合わせるグラフィックスカードはGeForce RTX 2070 SuperかGeForce GTX 1660 Superがよいか。この二つ以外にも選択肢はあるのだが、これを選んだのはちょうど3万円という価格差だったからだ。ゲーミングPCで定番の「7」グレードのCPUはおよそ4万円台半ばで、今回のRyzen 3 3100/3300Xが1万円台半ばなので価格差が3万円になる。「7」から「3」へ、CPU価格差を抑えて浮いた予算をグラフィックスカードに割り当てるという想定でちょうどよい二枚だったためだ。多少、CPUがボトルネックになっている印象もあるが、致命的というわけではなく十分なフレームレートが出ているのはグラフのとおりだ。
Ryzen 3 3300Xのみだが、各シチュエーションにおけるCPU使用率も計測してみた。
GeForce RTX 2070 Superよりも性能の低いGeForce GTX 1660 Superでは、FORTNITEの2560×1440ドット時でGPU側がボトルネックとなりCPUが遊んでいる印象がある。一方でGPU負荷が軽い1280×720ドット時はGPUがガンガン仕事をする分、CPUにも負担が増えていることがうかがえる。一方で、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークの場合はそもそもCPUを積極的に利用するタイトルのようだ。ゲームによってはさらにCPUを活用するものもあるだろう。ゲーム開発は、FORTNITEのようにハードウェア要求がそこまで高くないものもある一方、リッチなグラフィックスを追求するものならその当時のスタンダードである「5」グレードや「7」グレードを推奨環境として開発されるものだ。「3」グレードがいつまでも対応できるわけではなく、その限界は必ず来るとして考える必要があるだろう。
新Ryzen 3は予算配分という自作PCの魅力を楽しめる
このように、Ryzen 3 3100/3300Xをベースに、低価格なゲーミングPCを組むというプランはなかなか魅力的だ。実用的なフレームレートも十分に得られることがわかった。
GPUの選択にもよるが、まずGeForce GTX 1660 Superならおよそ10万円前後からPC一式を組むことができる。仮に予算が13万円としたら、「7」グレードのCPUにGeForce GTX 1660 Superを組み合わせるよりも、「3」グレードのCPUにGeForce RTX 2070 Superを組み合わせるといった構成のほうが高フレームレートを得ることができるだろう。
注意点を挙げるならば、よりコア数の多いハイエンドCPUが用途に掲げるようなゲーム+配信というギガタスクになると荷が重いところ。ただそれも、一度自作PCを組んでしまっておけば、必要になった時、予算がついた時に組み換え、アップグレードが可能だ。まずファーストステップとしてRyzen 3 3100/3300XをベースにゲーミングPCを検討してみてはいかがだろうか。なお、Ryzen 3 3100と3300Xの価格差は予価の段階で2千円+税あたりになりそうだ。この価格差で今回のベンチマーク差を見ると、Ryzen 3 3300Xのほうをオススメとしておきたい。