オンライン飲みでほめられるレシピ
コロナ禍をきっかけに流行り出しているオンライン飲み。滝村さんは、一人暮らしの男性ほど大いに楽しむべきだと言います。
「『働きながら、家族がトモに食事ができる世の中を創るトモショクProject』という活動を通じて食育の推進を現在行っていますが、誰かと一緒にご飯を食べることで、ストレスが軽減されるというエビデンスがあるんです。
外出自粛の今、一人暮らしの人が誰かとネットでつながってトモショクをするのは大賛成。オンライン上でも仲間とコミュニケーションしながら食べれば、ストレスが減り、翌日のパフォーマンスが上がると思いますよ」。
また、オンライン飲みの場は、料理を始める良いきっかけにもなると滝村さん。
「みんなから『いいじゃん!』とほめてもらえる"ほめらレシピ"を覚えて、酒のつまみとして作ってみると良いのではないでしょうか。ソーシャル・ディスタンスにより人とのつながりが減るなか、誰かにほめられたい気持ちは高まっていると思うので、オンライン飲みで自作料理を自慢することはよい機会でしょう」。
滝村さんお勧めのほめらレシピは、「モミモミサラダ」。ポイントは1つの野菜だけで作れる点です。調理道具としてフリーザーバッグを使えば、手も汚れず、洗い物ものも無いまま冷蔵庫で保存できます。酒のつまみ、ご飯のおかずにもなる便利な一品です。
・キャベツのモミモミサラダ(その他、きゅうり、かぶ、大根などでもOK)
和風:キャベツを切ってフリーザーバッグに入れて、塩、ごま油、鷹の爪、醤油を入れてもむ
洋風:キャベツを切ってフリーザーバッグに入れて、塩、オリーブオイル、こしょう、すし酢、レモン汁(あれば)を入れてもむ
「一人暮らしの男性に圧倒的に不足するのが野菜。野菜不足は体調を崩す原因にもなりますので、体のためにも、野菜料理は覚えた方がいいですね。モミモミサラダを通じて、野菜は塩でもむだけで劇的においしくなることをぜひ知ってもらいたい。食べる手が止まりませんよ」。
こだわりの調理器具を見つける
「ちょっと料理に興味がわいてきた」。そんな人が進むべき次なるステップは、道具にこだわることだと滝村さん。
「僕は最初に名入りの包丁を作りました(笑)。男ってこういうものでモチベーションが上がるんですよね。それとカッコいいエプロン。着けることで気持ちの切り替えにもなり、テンションが上がる。僕はそれで料理が続いたし上手になりました。
そのほかにも、お酒が好きだったら、思い切って家庭用ビールサーバーを入れる。家で生ビールが飲めるとなると、おつまみにもひと手間加えたくなり、コンビニで買ってきた冷や奴にも、普段はしないショウガをすりおろすとか、鰹節をかけるとか、キムチをのせたくなる。すると、お皿にもちょっとこだわってみたくなる。そうやって、好きな居酒屋料理を家で再現したいという思いが、料理へのモチベーションにつながると思うのです。
料理を本格的に始めてみようと思ったら、少し高くても、気になる道具やアイテムを思い切って買ってみると良いでしょう。一点豪華主義により、生活の中に張りが出ます。先が不透明な自粛生活、ちょっとした贅沢が家の中に一つあるだけで、救われるというか、明日も頑張ろうという気になれると思います。だからケチケチしないほうが良い」。
料理は人を自由にする
滝村さんは「料理は人を自由にする」と言います。その心は?
「自分が食べたいものを作れるのって、他人に依存しないこと。好きな料理を自由に作りあげる、それは人生を自由に生きる術を手に入れたことになると思うのです。独身男性が料理=自由になることを覚えれば、もし結婚して家族ができると、全員が自由になれます。それは素晴らしいことだし、そんな男性が増えると、日本のアフタ―コロナは明るいんじゃないかなと。
また一方で、料理は人生を変える可能性も秘めていると思います。僕自身、料理をポジティブに捉えた結果、起業してパパ料理研究家になりました。料理がビジネスの役に立ったり、働き方とか生き方を変えたりすることは、大いにあると思いますよ」。
自粛生活を強いられ、家でご飯を食べる生活も、考え方次第ではチャンスになるかもしれません。まずは自分自身の自由を手に入れるために、今こそ料理を始めてみませんか。
取材協力:滝村雅晴(たきむら・まさはる)
パパ料理研究家。株式会社ビストロパパ 代表取締役。ゆとりうむプロジェクト理事。食コミュニケーションアプリFamCook編集長。FamCookオンライン料理教室企画・講師。農林水産省食育推進会議専門委員。NPO法人ファザーリング・ジャパン。トモショクProjectリーダー。大正大学客員教授。