神奈川県を放送エリアとするテレビ神奈川(tvk)が、昨シーズンのプロ野球・横浜DeNAベイスターズの試合を厳選して放送する番組『プレイバック! 横浜DeNAベイスターズ熱烈LIVE』を4月28日からスタートした。

約2時間の放送枠で1つの試合を振り返るという前代未聞の番組に、SNSでは「tvkがトチ狂った!」と驚きの声が上がったが、放送されるとTwitterのトレンドに入るなど大きな反響が寄せられている。この斬新な取り組みについて、同局スポーツ部の小形幸平ディレクターにオンライン取材で話を聞いた――。

  • 初回放送で進行を担当した吉井祥博アナウンサー(写真提供:tvk)

    初回放送で進行を担当した吉井祥博アナウンサー(写真提供:tvk)

■球団側も全面的に協力

この番組は、ゴールデンタイムの約2時間という枠で、1試合を再編集して振り返るというもの。当時の実況・解説の音をそのまま放送するブロックと、生放送で進行担当の実況アナウンサーとリモート出演のゲストが裏話や今シーズンの選手の状態などをトークするブロックで構成している。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、プロ野球の開幕が延期されているため、もともとベイスターズ戦を中継する予定だった枠を中心に放送。当初は、珍プレー好プレー集といった案もあったそうだが、「プロ野球を楽しみにしているファンの皆さんに何かお届けしたいと思い、球団側と話をして、去年の映像をもう一度放送できないかと考えました」(小形ディレクター、以下同)と、今回の企画が持ち上がった。

「普通だったら、1つの試合を振り返る番組を企画しても1時間枠だと思うんですけど、“やろう!”となったら社内がみんな放送時間も含めて積極的に調整してくれました」とのこと。球団もホームページで放送情報を告知するなど、全面的な協力があって実現することができた。

放送するのは、「こういう時期ですから、ベイスターズファンにスカッとしていただきたい」ということで、勝利試合が大前提。「初回は開幕戦を放送しましたが、今後は(普段はレフトの)筒香選手がサードで出た試合だったり、そういう何かしらのトピックに絡めてというのを考えています」というが、「負け試合でも、巨人の菅野投手と投げ合った良い試合があったりするので、ファンの皆さんに『負けてもいいですか?』と聞いてみたいですね(笑)」と悩ましい。

■初回放送はトレンド入りの盛況

4月28日の放送では、視聴者から「今シーズンのベイスターズに期待すること」を募集したハッシュタグ「#tvk_DB」が1万件ツイートされてTwitterでトレンド入りし、ベイスターズが勝利すると恒例の「\横浜優勝/」がYahoo!リアルタイム検索で上位にランクインするなど、大きな反響があった。

出演者も、初回ゲストのコラムニスト・村瀬秀信氏が「めちゃくちゃ楽しかったんですけど、楽しみに過ぎて放送が大丈夫だったか心配です」と言うほどの盛り上がり。担当した吉井祥博アナウンサーは、最初は「うまくしゃべれるかな…」と不安を抱えていたそうだが、フタを開けると「全然しゃべれて楽しかった!」と感想を話していたそうだ。

「Twitterでは『結果が分かってるのにドキドキする』という声もあって、いい試合をもう1回楽しむという“疑似中継”のような体験が、ウケたのかなと思いました。野球以外でもそうですが、好きなものって何回でも見られるじゃないですか。そういうコンテンツはネット上にはありますが、あえてテレビでやるということに意味があるのかなと思います」と手応えを語る。

5月3日(20:00~21:50)・5日(19:00~21:30)の放送には、お笑い芸人・ダーリンハニー吉川がゲストで登場。今後は、キャンプ取材をしている解説者なども迎え、「より中継らしい番組にして、今年のシーズンにつながるような放送ができればと思います」と意欲を示した。