これだけのCM枠を使い、ブランド周知から純粋な社会貢献に切り替えるというのは、企業として大きな判断だ。SNSを見ていると、ジャパネットのCMだということに後から気づいた視聴者も多く見られる。
それでも実行する背景を聞くと、「世の中にどういう価値を提供できるのかを常に考えている会社です。ですので、何かが起こるといつもすぐに役員や主要メンバーが集まって、『今、自分たちがどういうアクションをしたら世の中に一番役立てるのか』ということを、短時間で意思決定しています」という企業風土があるそうだ。
これまでも、東日本大震災(11年)や熊本地震(16年)など、大きな災害が発生した際は、一部商品の売上金の全額を義援金として寄贈するなど、積極的に被災地支援を行ってきた。
ゴールデンウィークは、テレビショッピングにとって書き入れ時だというが、この取り組みは継続していく方針。「これまでは前を向くためのメッセージをお送りしてきましたが、この状況を乗り越えていくための別の切り口の企画も展開していきたいと思っています。出演者の皆さんも、現在は当社のCMキャラクターを務めてくださった方や、過去にお取引のあった方を中心にお声がけさせていただいていますが、ここから広げていければ」と、今後の展望を語っている。
■商品ラインアップにも変化
長崎・佐世保の本社スタジオで行っているテレビショッピングの生放送や収録は、他のテレビ番組と同じように、一部のスタッフを在宅対応にするなど、人数を減らして実施。コールセンターも、オペレーターの座席間隔を空けるなどして規模を縮小し、ウェブサイトからの注文を推奨している。
商品ラインアップは、「自宅が快適な空間になるようなものを中心に」移行しており、外出自粛に伴う家食に対応した調理家電や鍋などがそれに当たる。一方で、「宝飾品など、今本当に必要ではないと思われる商品は、一時的に販売を中止しています」という。
また、新型コロナウイルスの感染拡大で販売先が少なくなっている、食品の生産者から直接商品を購入し、テレビショッピングなどで紹介する「生産者応援プロジェクト」を立ち上げ、本業を通じての積極的な取り組みも行っているそうだ。