コロナ禍、Web会議でシグマfp熱視線のワケ

新型コロナウイルスの影響でリモートワークとなり、Zoomなどを使ったWeb会議を日々こなしている人も多いでしょう。しかし、Web会議で気になるのがWebカメラの画質の悪さ。「パソコンのWebカメラを通すと、みんな元気がなさそうに見える」「自分の写りが悪いので映像をオフにしたくなる」といった意見をよく目にします。

そのようななか、シグマのフルサイズミラーレス「SIGMA fp」が、パソコンとUSBケーブルでつなぐだけでWebカメラとして使えた!ということが写真ファンの間で話題になっています。フルサイズセンサーと表現力に優れる大口径レンズがもたらす映像は別格の表現力で、「Web会議の参加者からすごいと話題になり、会議が盛り上がった」「一度fpのWebカメラを体験すると、もう普通のWebカメラには戻れない」と評価は上々の様子。

  • シグマのフルサイズミラーレス「SIGMA fp」

    「フルサイズセンサー搭載のぜいたくなWebカメラ」として話題になっているシグマのフルサイズミラーレス「SIGMA fp」

しかし、同時に「手持ちのミラーレスをパソコンにつないでも使えなかった…。なぜ?」「結構高いキャプチャーユニットが必要らしいが、売り切れで入手できない」といった悲痛な声も多く聞かれます。fpをWebカメラとして使うとどれだけ映像が見違えるのか、なぜfpだけがUSBでつなげばWebカメラとして使えるのか、fpの開発キーマンへの取材を合わせてまとめてみました。

最新カメラでも数少ない「UVC」への対応がポイント

シグマのfpは、フルサイズセンサーを搭載しながらコンパクトデジカメ並みの小型軽量ボディに仕上げたLマウントミラーレスです。金属製の箱形ボディや、手のひらサイズの小型軽量ボディからは考えられない拡張性の高さ、映画に着想を得たカラーモード「ティールアンドオレンジ」など、オンリーワンの装備や機能がスマホ世代の若年層にも響き、シグマのカメラとしては異例のスマッシュヒットとなっています。

  • 2019年10月末に登場したfp。量販店での実売価格は、ボディ単体モデルが税込み205,000円(+ポイント10%)前後、45mm F2.8 DG DNが付属するレンズキットが税込み235,000円(同)前後

大いに個性的なfpですが、隠れた個性的な機能も秘めていました。それが「UVC」(USB Video Class)とUAC(USB Audio Class)への対応です。「パソコンとUSBケーブルで接続するだけで、ドライバーなどのインストールをすることなくWebカメラやマイクとして使える」という機能で、一般的なWebカメラでも採用されている規格です。fpはUVCなどの機能が備わっているため、USBケーブル1本でWebカメラ化できるわけです。WindowsとMacの両方に対応していますが、iPadでは利用できません。

  • fpはUVCに対応しているので、HDMIキャプチャーユニットなどの外付け機器を用いることなく、USB Type-Cケーブルでパソコンに接続するだけでWebカメラとして使える。レンズを含めても軽量で済むので、カメラの固定には安い小型三脚があればよい

ちなみに、意外なことにfp以外のデジタルカメラは、たとえ最新機種であっても、UVCに対応している機種はほとんどありません。大半の機種は、パソコンに接続すると外部ストレージと同じように認識され、記録した写真や動画が閲覧できる「USBマスストレージクラス」のみの対応にとどまります(fpはUVCとUSBマスストレージクラスの両方に対応)。ソニーの最新フルサイズミラーレス「α7R IV」をパソコンにつないで試してみましたが、Webカメラとしては使えませんでした。