進化したスペック、実性能をベンチマークテスト

本体に搭載するインタフェースは2基のType-C USB(Thunderbolt 3)とmicroSDスロット、ヘッドフォンマイクコンボジャックで、そのほか無線接続としてはWi-Fi 6(IEEE 802.11ax準拠)とBluetooth 5.0が利用できる。生体認証用センサーには電源ボタンに組み込んだ指紋センサーの他に、従来のXPS 13では利用できなかった顔認証にも対応した。これは、赤外線カメラで2.25ミリという小型のモジュールを搭載したおかげだ。

  • 右側面にはThunderbolt 3とmicroSDスロットを搭載する

  • 左側面にはThunderbolt 3とコンボジャックを備える

  • USB Type-CとUSB Type-Aの変換アダプタが標準で付属する

  • ディスプレイの最大開度は実測で約135度

XPS 13 2020のCPUは、従来モデルと同じインテルの第10世代Coreプロセッサーながら、省電力を重視したComet Lakeではなく、処理能力も重視したIce Lakeアーキテクチャを採用している。プロセスルールはComet Lakeの14ナノメートルからIce Lakeでは10ナノメートル微細化が進み、統合するグラフィクスコアは第11世代の演算実行ユニットを実装して描画処理能力が向上したIntel Iris Plus Graphicsを採用している。その他、システムメモリでは従来モデルになかった容量32GB構成を選択できるようになった。

XPS 13 2020の処理能力をベンチマークテストで検証してみる。評価機材の構成は以下の通りだ。

CPU Core i7-1065G7
グラフィックスコア Iris Plus Graphics
システムメモリ LPDDR4 16GB
ストレージ 512GB PCIe SSD

検証作業で実施したベンチマークテストとそのスコアは以下の通りだ。

PCMark 10 3465
PCMark 10 Essential 7548
PCMark 10 Productivity 5235
PCMark 10 Digital Content Creation 2857
CINEBENCH R20 CPU 944
CINEBENCH R20 CPU(single) 302
CrystalDiskMark 7.0.0 x64 Seq1M Q8T1 Read 2828.94
CrystalDiskMark 7.0.0 x64 Seq1M Q8T1 Write 1018.47
3DMark Night Raid 6757
3DMark Fire Strike 1879
3DMark Time Spy 655
FFXIV:漆黒のヴィランズ(最高品質) 1860「設定変更を推奨」
FFXIV:漆黒のヴィランズ(高品質ノートPC) 2652「やや快適」
FFXIV:漆黒のヴィランズ(標準品質ノートPC) 3686「快適」

以前、評価した同じ“Ice Lake”CPUを搭載するXPS 13 2-in-1(2019年モデル)とほぼ同じスコアを出している。グラフィックス処理能力についても同様で、最新世代で処理能力が向上したとはいえ、重負荷を必要とするゲームの動作は実用的ではないと考えていいだろう(もちろん、負荷を軽減した設定ならば快適に動作する)。

なお、高負荷をかけている状態(3DMark Time Spy)における動作音の大きさとキートップとパームレスト、底面の表面温度を測定した結果は次の通りだった。

暗騒音 37.2dBA
動作音 45.2dBA
Fキートップ温度 43.5度
Jキートップ温度 37.4度
パームレスト左側 29.7度
パームレスト右側 28.8度
底面 41.3度

パームレストの温度は低いがキートップ(特にFキーのある中央右寄りのエリア)と底面が高い。動作音は45.2dBAと「静かな事務所」に相当するレベルだが、それでも「フーン」という風切り音に混じって「ヒー」という高い音がわずかに聞こえるので、音圧以上に音が周囲に聞こえるかもしれない。

  • 内部冷却のエアフローは吸気も排気も底面のスリットを使う

バッテリー駆動時間はBBench 1.0.1で測定している。測定条件としてはバッテリーをパフォーマンス寄りのバランスに、ディスプレイ輝度は10段階の下から6レベルに設定している。この状況で連続駆動時間は36283秒(10時間4分43秒)だった。終日利用には十分だが泊りがけの出張には少し足りないかもしれない。標準付属のACアダプタはアダプタ本体こそ60×55×22ミリとコンパクトだが、中身が詰まっているのかコード込みの重さは230グラムになる。

13.4型ディスプレイを搭載しながら本体サイズは11型ノートPC相当とコンパクト。選択できる構成では3840×2400ドットと高解像度環境も利用でき、かつ、処理能力は高い。また、キーボードも使いやすい。一方で、重さは1.2キロと最近のモバイルノートPCとしては少し重めで、バッテリー駆動時間は平均的。このバランスを考慮した上で、処理能力とコンパクトサイズのボディを優先したいユーザーにとってXPS 13 2020は有力な購入候補となるだろう。