しかし、こんな恵まれた環境でも、逃げ出してしまう人がいる。「どうしても『給料が安い』とか『仕事がつらい』とか、人間というのは不満が出るんですよね。そういうところがめちゃくちゃ人間臭いなと思いました。普段のバラエティだとタレントさんを相手にしているし、ドキュメンタリーでもその道のプロを追っていくので、ここまで一般の方をずっと取材することってなかったんですよ。だから、あらためて“人間って面白いな”と感じました」。
そんな今回の取材では、「話を聞くために約束したのに、全然来ないで置いてけぼりを食らったりして…。電話しても全然出てくれないし、その翌日に『あーすいません』って急に連絡が来たり(笑)。こんな感じで、いつ心変わりするか分からないから、何かあったらすぐに連絡するようにしてました。相手が一般の方ですから、より細かくケアをしていかなくちゃいけないんですよ」と苦労が多かったそう。
だが、「相手にきちんと向き合っていけば、だんだん距離を縮められて、いいものができるんだと思いました。後編で、翔太くんが僕にある悩みを相談するんですけど、他の誰も知らないことを、最初に打ち明けてくれたんです。信頼関係が築けた結果だと思うんですけど、それはタレントさんを相手にするバラエティの仕事だけじゃなくて、いろんな場面で必要なことですよね」と、“人との向き合い方”の大切さを再認識した。
■今の世の中で貴重な“寛容さ”
また、“寛容さ”という部分についても、感じたことがあるという。「婦女暴行や死体遺棄なんて罪を犯した人もいるんです。今、不倫だってものすごく叩かれる世の中なのに、そんな風潮と比べたら本当に寛容な会社ですよね。もちろん、絶対にやってはいけない犯罪ですが、こういう受け皿があることは、大事なんだと思いました」。
後編の注目点を聞くと、「翔太くんと大山さんの物語になりますが、前向きな一歩とネガティブな結末が待っています。それと、社長の体調がどんどん悪くなっていってしまうので、(元受刑者を支える企業が集まる)“職親プロジェクト”北海道支部の立ち上げという夢がかなえられるのか、そこも見ていただきたいと思います」という古山氏。今後も、「“余命3年”と言われている社長がどんな活動をしていくのか、追っていきたいと思います」と話している。
●古山洋輔
1979年生まれ、広島県出身。中京大学を卒業後、制作会社・クリエイティブネクサスに入社し、『所さんの目がテン!』(日本テレビ)などを担当。その後、極東電視台に移り、『上田晋也の幻ニュース』『クイズ!タイムトラベラー』(TBS)、『細木数子の娘かおりが“家族の闇にズバリ”あなたの人生、変えに来ました!』(テレビ東京)、『プロ野球 そこそこ昔ばなし』(Amazonプライム・ビデオ)などでディレクターを務める。