――スーパー戦隊シリーズを継続して作っていく上で、特に強く意識されていたのは、どんなことでしょう?
「スーパー戦隊」の骨子の部分、つまり「ヒーローたちがチームワークで悪と戦う」というのを守りつつ、前作とは設定もキャラクターもガラリと変化させることでしょうね。
常にメインターゲットとしているのは小さな子どもたちです。「スーパー戦隊」は子どもたちが生まれて初めて目にする「アクションドラマ」だと言っても過言ではありません。子どもたちがもっとも「スーパー戦隊」に夢中になる期間は「3年」と言われています。今の作品と、次の作品、その次の作品にはっきりとした変化をつけたいと思って作っていると、すべてのシリーズに独自の個性が出てくるものなんですね。
もちろん、大きくなってからふたたび「スーパー戦隊」の面白さに気づいて戻ってきてくれても大歓迎ですが、中心にいるのは"子どもたち"なんだと、強く意識しながら作っていました。
――子どもたちの嗜好にピッタリはまる作品でありながら、年長のファンをもうならせる"ドラマ"の魅力も備わっている「スーパー戦隊シリーズ」は、これからもファンを増やしていくでしょう。最後にお尋ねしますが、鈴木さんが考える「スーパー戦隊」の魅力とは何でしょうか?
複数のヒーローたちが「力を合わせて」悪と戦う部分です。
私が「スーパー戦隊シリーズ」を作っていたときは、常に「友情」と「団結」のすばらしさを称えるドラマを入れていました。キャラクターやメカをカッコよく描くためには、まず人間の感情をしっかりと描き、視聴者である子どもたちが画面に映るキャラクターに"気持ち"を乗り移らせることが大事なんです。
たとえば『超新星フラッシュマン』(1986年)で巨大ロボット・フラッシュキングに続く2号ロボ(タイタンボーイ&グレートタイタン)を出す際、フラッシュキングが腕を斬り落とされ、大破する映像を撮ったんです。それまで巨大ロボットをそんなに痛めつけたことがなく、各方面の中には嫌がる方もいましたが、フラッシュキングが絶体絶命の危機に陥らないと、2号ロボがかけつける意味がないでしょう。中途半端なやり方では、心を打たないのです。結局は、ヒーローやメカにも"ドラマ"がないと魅力的に映りません。それが「スーパー戦隊シリーズ」ならびに「特撮ヒーロー作品」を作る上での"極意"なのだと思います。