全世界で4億人以上いる糖尿病患者
世界保健機関(WHO)によると、世界全体で4億人以上の人が糖尿病を患っており、1980年以降、患者数はほぼ4倍に増加しました。
4億人というのは単に患者の数にすぎませんが、本当の悲劇はこの病気が失明、脳卒中、下肢のしびれや切断、心臓発作といった深刻な合併症を引き起こし、死に至らしめる可能性があることです。
1型糖尿病と2型糖尿病の両方を効果的に管理するための鍵となるのは、測定とモニタリングです。一般的な従来型の測定方法としては、血糖測定器(BGM)が使用されています。1型糖尿病患者および2型糖尿病患者用として市販されているもう1つの技術オプションが、持続血糖測定器(CGM)です。持続測定の利点は数多くあり、その1つは身体活動、食事、睡眠など、さまざまな日常生活の中で、身体が何を行っているか、あるいは時間経過に伴って継続的に血糖値がどのように変化するかを学習することができる点です。時間経過に伴う身体の動きに関して、単発的ではなく継続的により多くの情報が得られれば、治療法を改善できる可能性があり、また実際に改善できることが示されてるようになってきています。
これらの測定器は通常、皮下で間質液を測定するため、ごく最近まで定期的に血液によるキャリブレーションが必要でした。これには「従来の」指刺しが必要です。しかし、技術の進歩により、CGMの中には全血に対するキャリブレーションが不要なものもでてきました。
持続血糖モニタリングシステムは、マイクロエレクトロニクスで構成されているため、いくつかの重要な例外を除いて全体としては同じものです。これらのデバイスは通常、身体に装着するので、使用する半導体デバイスの最適なレベルの効率化を推進するために、サイズ問題、すなわちより高度な集積化と効果的な電力管理が必要です。
インスリン送達に使用される手法や技術も、単なる測定やモニタリングを超越して、人工膵臓と呼ばれるデバイスを介して、持続モニタリングとインスリン送達を統合したクローズドループシステムによって進歩し続けています。これによって、より良質で便利なヘルスケアと、糖尿病を患っている何百万人もの人々にとって前向きな長期的展望をもたらします。
血糖値の測定方法
従来型のBGMは薬局やドラッグストアチェーン店で購入できます。付属のランセット装置(非常に細い針)で指を刺して少量の血液を出すと、それが測定器に挿入されたテストストリップに曝されます。
通常、血液試料にACまたはDC励起電圧/電流が印加されると、血液試料がテストストリップと化学反応を起こします。得られた結果はデータ変換器で読み出されます。しばらくしてマイクロコントローラが計算を終えると、画面に血糖値が表示されます。
より高度な測定器にはBluetooth Low Energy(BLE)接続が内蔵されており、個々の血糖値の結果はクラウド接続アプリを実行しているスマートフォンに送信されます。これらの結果は保存され、家族や介護者がすぐに、あるいは後でいつでも確認でき、治療送達の改善に役立てることができます。
持続的な血糖測定手法
現在の持続血糖測定器(CGM)のシステムアーキテクチャは通常、A/DとD/A、および入出力機能を単一モノリシックシリコン片、一般的にはカスタムASIC AFEまたはASSPに統合しています。オン・セミコンダクターのBluetooth 5認証無線SoC「RSL10」などの小型WLCSPパッケージ内のBLEやMCUと組み合わせると、永続的に装着するデバイスをユーザーにとって可能な限り目立たず実用的なものにするという課題に対処できます。
回路は別にして、サイズに関係する他の主な要素は必要な電源用電池です。例えば、ハンドヘルドBGMでは、1個または2個のAA、AAA、またはAAAAバッテリーが一般的です。これらのバッテリーはCGMには重すぎるし大きすぎるので、電源用電池のサイズと化学的性質でコイン型電池の形状が決まる場合がよくあります。これを実現するには、システム電源を慎重に管理しなければなりません。コイン型電池から供給可能な最大電流はAA電池に比べてかなり少ないので、ピーク電流と全電流を最小化する必要があります。さらに考慮すべきことは放電プロファイルです。例えば、酸化銀電池の場合、一般的に最大1.55Vを生成し終止電圧は1.2Vまで低下します。二酸化マンガン電池の場合、公称電圧は1.5V、終止電圧は1.0Vまで低下します。