春の訪れとともに職場に現れる新社会人。見ているだけでこちらもフレッシュな気持ちになるが、初々しさを全面に出してくる彼(女)らの中に、ごくまれに「モンスター」が潜んでいる場合がある。これまでの慣例や社風を覆すような驚愕の振る舞いに、呆れかえってしまった経験を持つビジネスパーソンもいるだろう。
「あいつはダメだ」と匙を投げてしまうのは簡単だが、そんな「異端児」だからこそ、うまく職場に溶け込めれば、とんでもないパワーを発揮してくれるかもしれない。そこで今回は、新入社員教育や育成担当支援のプロであるリクルートマネジメントソリューションズの桑原正義氏に、実際にありえそうなモンスター新人の行動に対し、どのように対処すべきかをケースごとアドバイスしてもらった。
ケース1:与えたタスクをやりたがらない
【「自分のやりたい仕事ではない」「完璧にやる自信がない」などと、割り振ったタスクをまったくやろうとしない】
「自分のやりたい仕事ではない」というのは、やりたくないわけじゃなくて、やる意味を感じずにそう言っている可能性があります。その場合は、何かやる意味を感じられればモチベーションにつながります。例えば、「人の役に立ちたい」と思っている新人には、「あなたのスキルが上がる」よりも「顧客の役に立つ」という意味のほうが気持ちが上向きになるでしょう。今の新人たちは、やる意味や目的を大切にしています。どういう意味を感じるとやりたくなるのか、その人なりの「スイッチ」を見つけることをおすすめします。
「完璧にこなす自信がない」という場合、実際に話してみないとわかりませんが「失敗が怖い」「ダメな奴と思われたくない」という気持ちから来ている可能性があります。上司世代からすれば、新人に完璧を求めてはいないでしょうが、新人世代は失敗の経験があまりないので、「失敗=アウト」と捉えてしまいがち。まずは、「完璧を求めてないこと」「最初はうまくいかないのが当然で徐々にできればよいこと」を理解しもらいましょう。そのうえで、本人にとって不安のないところはどこまでかを聞いて、そのラインから始めてもらうとよいかもしれません。
ケース2:先輩や顧客にもタメ口
【先輩や顧客にまでタメ口で話してしまい、何度注意しても変わらない】
まず、その新人がなぜタメ口をきくのか、その意図を聞いてみましょう。フレンドリーに接することがよいと思ってタメ口にしている人もいれば、単に「慣れ」やそういう口のきき方しか知らないという場合もありますね。どんな意図であれ、ひとまずは否定せずに受け止めましょう。
そのうえで、「仕事でやり取りをしていく相手がすべて自分と同じ捉え方とは限らない」「仕事を任されるような安心感を持たれるには、敬語が使えたほうがいい」など、タメ口をあらためるべき理由やそのメリット、デメリットなどを伝えましょう。その後どうするかは自己決定させ、本人の判断に任せましょう。