美しいデザインの薄型軽量ボディや手ごろな価格を武器に、ノート型Macの主力として学生や社会人など幅広い層にヒットしているのがアップルの薄型ノートPC「MacBook Air」です。2018年秋、ディスプレイをRetina化するなどしてフルチェンジした新世代モデルが登場したことで再び注目が高まり、2019年にはシリーズで最高となる出荷台数を記録したといいます。
そのベストセラーモデルが、登場から1年半で早くも大幅な改良を施してきました。MacBook Airならではの魅力をしっかりキープしつつ、これまでのモデルで感じることがあったストレスを軽減しており、WindowsノートPCの購入を検討している人も選択肢に入れるべき1台に仕上がっていると感じました。税別10万円チョイで買える低価格に抑えた点も評価できます。学生ならば、なんと税別9万円台で買えるんです!
打鍵感も配列も改良されたキーボード
新しくなったMacBook Airですが、先端に行くほど細くなる特徴的なくさび形ボディや、見た目からも手触りからも質感の高さを感じられるアルミニウム製のボディなど、外観は従来モデルと変わりません。アルミニウムは100%リサイクル素材が用いられているのも、これまでと同様です。
大きく刷新されたのがキーボード。従来は、キーストロークの短い「バタフライキーボード」が採用されていましたが、新たに「Magic Keyboard」と呼ばれる新構造のキーボードに置き換えられました。
Magic Keyboardは、面積が大きくて今風の見た目をもたらすキーキャップ、ほどよい重さの反発をもたらすラバードーム、ブレを抑えてキーを安定して沈み込ませるシザー構造の3つが特徴となっています。見た目こそバタフライキーボードとそっくりですが、キーストロークが深くなって打鍵感がよくなったので、長く入力作業を続けていても疲れやストレスを感じにくくなったと感じます。打鍵音も従来よりもマイルドになり、周りにいる人の「タイプ音がうるさいなぁ」というストレスも軽減されるでしょう。
タイプ感の改善とともに評価したい改良が、ゴミやホコリによるトラブルが起こりにくくなったこと。従来のバタフライキーボードは、キーのすき間からゴミやホコリが入り込むと、キーが正しく入力できなくなる欠点がありました。キーを押したのに反応しなかったり、複数の文字が連続で入力されたりと、イライラを招く要因になっていたのです。Magic Keyboard化でその心配がなくなり、要らぬストレスとは無縁になりました。
地味ながら意外に好ましい改良だと感じたのが、矢印キー(カーソルキー)の配置が逆T字型になったこと。従来のバタフライキーボードでは、左右キーが一般的なキーと同じ高さだったのですが、Magic Keyboardでは左右キーの高さが半分に抑えられて逆T字型になりました。
左右キーが大きいほうが使いやすいのでは…と思うかもしれません。しかし、逆T字型は左右キーの上部に生まれる余白をもとに手探りで指が添えられるため、わざわざ矢印キーに視線を向ける必要がなく、キビキビと操作できるのです。一見すると地味に見えますが、ユーザーの声を反映した好ましい改良だと感じます。
CPUもストレージも欲張れるようになった
パソコンとしての性能が底上げされたことも、ストレスなく使えることを後押ししてくれます。CPUは最新世代のCore i3やCore i5になり、グラフィックスも性能が向上しました。特に、BTOではクアッドコアのCore i7も選べるようになり、処理性能重視の人も満足できるでしょう。
ストレスフリーの観点では、ストレージ(SSD)が最大2TBまで選べるようになったのも評価できます。ノート型Macはストレージの変更や追加が不可能なので、購入後に容量が足りなくなったと思っても外付けのストレージに頼るしかなく、不要なデータの削除に追われてストレスがたまります。購入時、多少お金をかけてでも多くのストレージを積んでおきたい…と考える人にとって、選択肢が広がったのはうれしいポイントといえます。
今回は、クアッドコアのCore i5(1.1GHz)を搭載したモデルを試用しましたが、RAW現像ソフトやApple Arcadeのゲームもほぼストレスなく利用できました。負荷が高くなると排気ファンの音がいくぶんうるさくなるものの、甲高さは抑えられているので、気になるほどではありません。