――ドラマでは、楓の気持ちが2人の男性に出会うことで変化していくところも見どころですが、どうやって役作りをしていったのでしょうか?
萩原健太郎監督の演出が独特で「楓はこの時どう思っているの?」と楓としての私に質問をしてくれるんです。通常、本読み(セリフ合わせ)は1回のことが多いですが、今回は2回あって、そこで綿密に役を作っていくことができました。役作りは、自分を信じて作るしかないので不安もあるんですが、萩原監督は必ず「よかったよ」と言ってくださるんです。今回、そういう風に役を作っていったのが面白かったですね。
――萩原監督はすごく丁寧に人物を掘り下げていく方なんですね。
萩原監督の口調が、子供に話しかける小学校の先生みたいなんですよ。役者の自主性を引き出そうとしてくれる感じが、懐かしかったですね。初心に返ることができたというか、役者を始めた頃に出演した『桐島、部活やめるってよ』の現場を思い出しました。あの時は1カ月間くらい、みっちりと役作りのための時間があって、自分の役についてルーズリーフの裏表にぎっしりレポートを書いたりしていました。
■眞栄田郷敦&工藤阿須加の共通点は…
――今回、初共演された、道林征史郎役の眞栄田郷敦さんの印象を教えてください。
眞栄田さんは、とても静かで落ち着いた印象でした。すごくストイックで、あんなに忙しそうなのに、自分でササミを茹でてきたり、おにぎりを作って持ってきていて偉いなと思いました。お芝居に対してもすごく真摯(しんし)に向き合っている方でしたね。
――眞栄田さんのお兄さんの新田真剣佑さんとも以前共演されていますが、似ているところはありましたか?
正反対のタイプなのでびっくりしました! 眞栄田さんは静かですけど、マッケン(新田)は現場にいる時ずっと歌ってましたから(笑)。「兄弟でもこんなに違うんだ」と思いました。
――澤村シェフ役の工藤阿須加さんの印象はいかがでしたか?
工藤さんも真面目で、熱血で明るい方ですね。眞栄田さんと共通しているのは、2人とも体育会系で、ストイックなところだと思います。休憩時間でもイスがあるのにずっと座らなかったり。眞栄田さんは寒くてもカイロを貼らないでいたので、「体調管理も大事だから貼った方がいいよ」と思ってました(笑)
■空気感の変化を楽しんで
――では、『あと、3回君に会える』の見どころを教えてください。
三角関係の恋のキラキラした部分が注目されがちなんですが、「あと3回会える」というファンタジーの要素が1つ加わったことで、人間ドラマとして深みのあるものになっていると思います。人と人の空気感をすごく大切にした作品なので、そこを観ていただきたいですね。セリフだけではなく、楓と征史郎の空気感が、その後どう変わっていくのかを観ていただきたいです。
映像も、普段CMを手掛けられているスタッフさんが照明を美くしくしてくださったので、すごくきれいになっていると思います。国立競技場や渋谷など、「いまの東京」を切り取った映像がたくさん使われているので、何年か後に観ても「あのときの東京はこうだったな」と思える作品になっているんじゃないでしょうか。
――今回は、放送終了後に男性側の視点からのドラマ『君と会えた10+3回』がU-nextで配信されますね。
別々のドラマを2本撮ったというより、同時進行で撮影していきました。そこから楓の表情が別のアングルやカットでどう使われているのか、私も楽しみにしています。本編の結末観た後に、「あの時、この人はこういう表情をしてたんだ」と答え合わせをしながら観てもらえると、より一層楽しんでもらえると思いますね。
●山本美月
1991年生まれ、福岡県出身。09年に行われた第1回「東京スーパーモデルコンテスト」でグランプリを受賞し、CanCam賞にも選ばれる。以後、ファッション誌『CanCam』(小学館)の専属モデルとして活躍。11年にドラマ『幸せになろうよ』(フジテレビ)で女優デビュー。12年には『桐島、部活やめるってよ』で映画初出演。14年のドラマ『アオイホノオ』(テレビ東京)で初ヒロイン、15年の『東京PRウーマン』で映画初主演を務め、20年『ランチ合コン探偵~恋とグルメと謎解きと~』(読売テレビ・日本テレビ系)で地上波連ドラ初主演を務めた。4月24日には、映画『糸』の公開が控える。