ダンスボーカルユニット・PRIZMAXが、CDデビューの記念日である27日に、生配信で解散ライブ『PRIZMAX Live Level 0 ~FINAL~』を行った。
新型コロナウイルスの影響もあり、会場となる予定だった日テレらんらんホールにて無観客でライブを実施しつつ、インターネット配信で同時生中継が行われた同ライブ。会場は無観客となっていたものの、視聴しているPRIZMAXのファン・通称“ホリック”を中心としたコメントなどにより、物理的な距離を超えて画面越しに大きな盛り上がりと一体感を醸成する。PRIZMAXのメンバーと観客が改めて双方の強い絆を確認し合いつつも、この日15年の活動に幕を閉じた。
デビュー曲である「Mysterious Eyes」を皮切りにライブは幕を開けた。パフォーマンスを終えると、清水大樹が「ついに始まりました。画面超しで観てくれているホリックが沢山いると思いますが、(解散ライブという)大切な日にホリックをこの場に呼ぶ事ができないのが、辛いし、寂しい」と正直な胸の内を吐露しつつ、「3月27日、このライブをもって解散となるので、記念すべきライブ。どんな形だって、皆さんの胸にしっかり届くライブをするので、最後まで見届けてください」とまっすぐ前を見据えながら挨拶。「SNSを通じて、ライブに来る時と同じようにオシャレをしてくれていたり、ペンライトを用意してくれている様子も見ていた」と、会場に来られないものの、ライブに備えて準備をしてきたホリックについても触れる。
そして、攻めのラップやEDMサウンドで盛り上がり必須の「OUR ZONE」、切なくも優しいメロディとヴォーカルが印象的なラヴソング「Someday」、大人な余裕と雰囲気を感じさせるパフォーマンスと楽曲に森崎ウィンの甘く切ない歌声が響く「Never」、明るいポップチューン「Pleasure」と続けて披露。
攻めるサウンドから、包み込むような温かく優しい曲、切ない恋心で観客の心を締め付けるような楽曲まで、様々な世界観で瞬時に空気を完璧に塗り替えてパフォーマンスを見せる彼らのステージからは、10年以上活動してきたグループの実力と余裕を伺わせる。
続けて「デビュー前をずっと支えてくれた楽曲。今日は6人バージョンで初めてお披露目します」と口にし、各メンバーがフリースタイルのように自由に自分自身の事をラップで語る「HANDS UP」が始まるが、なんとメンバーが客席で生着替えを行いながらパフォーマンスを披露。その際、洋服を脱ぎ捨てるメンバーもいれば、椅子に腰かけて丁寧に洋服をたたみだす小川史記の姿が画面の後ろに映ることもあり、個性豊かで自由な素顔を楽しむ事ができた。
ステージ上に戻ると、ニコニコ生放送の配信の画面が写された大きなモニターとパソコンが用意されており、メンバー自身がコメントを観ながら、リアルタイムで返答という生配信ライブならではのコミュニケーションが行われた。
ファンの人気上位3曲を披露
ワクワクした様子が伝わるメンバーたちの様子を横目に、ウィンは「Lonely summer days」を熱唱。その合間もウィンが1人にならないようにとの配慮か、島田翼と清水がウィンやカメラの方を見ながら、楽しそうに身体を揺らしたりと、歌唱を盛り上げる。
その後、「夢唄」「春空」とメンバーによる弾き語りのナンバーが続いたが、「春空」で歌唱をしていた途中、森英寿が涙を堪えきれなくなり、歌が途中で途切れてしまう場面も。優しい笑顔と眼差しを森へ向けながら、そっとヴォーカルを交代するウィンの姿を目にすることができ、メンバー同士の絆が垣間見えた。
メンバーはステージ袖に腰掛けて「仕切り直し!」とトークタイムへ。島田は無観客である今回のライブを行ったことに触れ「みんなからもらっていた、生で受けるエネルギーは大きいし、そうしたエネルギーの掛け合いはすごく幸せな事だったと気づいた」と改めてホリックの存在の大きさについて口にし、清水もそれを受けて「ホリックはどういう気持ちで観てくれているのかな」とその場にいない観客たちを想いやる姿を見せる。
その後、白い衣装に着替えて登場したメンバーたちは「愛をクダサイ」を歌唱。これまでのわちゃわちゃとした自然体な姿から一転、ウィンの切ない叫びのようなヴォーカルにのせて、しっとりしたラブソングを聴かせてくれた。
続けて激しいレーザーライトが会場中を照らし、重低音が鳴り響く中、「Beginning」「DADADADADADA」「Light The Night」と挑発するようなダンスチューンがノンストップで繰り広げられる。激しく鮮やかなフォーメーションも多々繰り広げられ、「まだまだ行けますか!」と画面越しに観客を煽り、ライブを視聴しているホリックたちのコメントも一気に熱を帯びる。
その後、ホリックにより選ばれたPRIZMAXの人気曲上位3曲が披露されるセットリストへ。第3位は楽しそうにヴォーカルを繋げるメンバーたちの姿が印象的な「HUG & KISS」。第2位はライブでも人気が高いポップチューン「カフェオレ」。ここまでほぼノンストップでパフォーマンスをしてきた6人は汗だくになりながらも、カメラに向かってコール&レスポンスを促し、画面越しながら観客のボルテージをどんどん上げていく。
その様子はライブ会場の臨場感そのもので、ホリックたちもコメントで次々とコールを返しながら、画面越しである事を忘れてしまいそうな程の熱い一体感が作り上げられていく。メンバーたちもそうした熱気を感じ取っているのか「どうしよう、死ぬほど楽しい!」「めちゃくちゃ楽しい!」「汗がすごい!」と満面の笑みを見せる。
そして息を整えた清水が「ラスト1曲。この曲をもって解散します」と静かに語り出すと、 1人1人それぞれ解散について胸の内を明かし出した。1年前にPRIZMAXへオーディションを経て加入した森・小川・ケビンは、自分たちをPRIZMAXというグループへ迎え入れてくれ、支えてくれたメンバー、ホリック、身近な人々や関係者へ深い感謝の気持ちを口にする。そしてケビンは「音楽は絶対にやめる事はない」と音楽に対する強い意志を示した。
人生の半分をPRIZMAXで過ごしたという島田は「幸せでした」と噛み締めるように何度か口にしつつ、ホリックたちの仲の良さを耳にしたことがある話に触れ「それが誇らしかった。その友情を続けて欲しい。そして僕らの話をして欲しいと思う」と静かに語る。
同じく「人生の半分を過ごした」という清水は、PRIZMAXのメンバーは“曲者が多い”と言いつつも、裏で支える事になっていた自身に対して気にかけてくれていたメンバーたち、ホリックたちの事が嬉しかったと吐露。「心優しいメンバーがいるから、心優しいホリックが集まる。当たり前だったものがなくなる事を実感している」と涙で言葉を詰まらせると、隣にいたウィンが清水の肩に励ますように手をかける場面も見られた。
そして最後にウィンは「カッコよく決めたかったけど、なかなか言葉が見つからない」と何度も口にしつつ、「PRIZMAXは帰ってくる場所だった。僕が音楽に出会って、好きになれたのもこのグループのおかげ。親友もできた。僕の人生はPRIZMAXなしには語れない。次に旅立とうとしているけど、次に踏み出すのが、めちゃくちゃ怖い」と噛み締めるように胸の内を明かす。メンバー、ホリックへ感謝を述べ「またみんなに分け与えられるようなエンターテイナーになりたいと思います」と締めくくった。
そして「しんみりして終わりたくないから! 楽しく終われるセットリスト持ってきたから!」という清水の言葉を皮切りに、「音楽がしたいんだよ、俺は!」と島田。「皆さん、楽しんでいきましょう!」という呼びかけで、ホリックが選んだ第1位の楽曲でもありラストナンバーともなる「Three Things」がスタート。銀テープも会場に放たれ、フィナーレに相応しい盛り上がりとなる中、ステージから客席が映されると、「I・("・"はハート) U (アイ・ラブ・ユー)」の文字が現れ、PRIZMAXからホリックへの愛が伝えられる“逆サプライズ”演出も登場した。