びっくりはしたけど、周りの人からも「言葉の使い方がうまいね」と言われてたから、「まあこんなもんかな」と(笑) ただ、共感を得られる内容というだけだと、ダサい気がして、なにか嫌で。だってそれは誰でも描ける言葉だから。うまいことを言いつつ、共感も得られる、みたいなことを、やりたい。共感されなかったとしても、自分が好きなことを描きたいというのがあります。
――イラストより先に言葉を思いつくんですか?
それは、ずっとそうですね。イラストは、挿絵ぐらいの気持ちで描いていて。セリフから広がって、ありがたいことに今ではアイコンを描いてほしいとか、個展でも似顔絵を頼んでくださる方がいて、絵だけでも求めてもらえるようになったんですけど、言葉の表現が無かったら、こんなにはなってなかったと思います。やっぱり美術は3なので。言葉のおかげで見てもらえる機会があったから、自分は絵がうまいとは思ってないんです。ずっと。「言葉だけだと読みにくいかな」というところで、可愛い、ゆるい絵でキツさを誤魔化しているというのがあります。
――個展のお話がでたのですが、個展『さよならさんかくねえきてちかく』が2月にありました。そこで展示されていた絵の枚数が、218作品あったということで話題になりました。会場に行った皆さんのツイートなんかを見ても、「めちゃくちゃ数があった」とびっくりされている人が多い印象で……。普段はどんなふうに絵を描かれてるのかなと
ふゅの学生最後の個展「さよならさんかくねえきてちかく」。''短歌イラスト''もたっぷりでまずすごい物量。本人曰く「全部ネームが先で絵が後」ということなので、そもそもこれは''イラスト''というより''毒女子一コマ漫画''なのかも。とにかく圧巻なのでぜひ。明日23日(日)まで。#ミスiD2019SKYHI賞 pic.twitter.com/c3ufwziueb
— 小林司🌐 (@mosatsu_p) February 22, 2020
まずは言葉から考えます。思いつくときは、一晩で20個とか。それをiPhoneにメモしておきます。良いセリフを思いついたときが、一番アドレナリンが出ますね。個展前とか、絵をツイートしようかなというときに、そのアイデアを引っ張り出してきて、挿絵の女の子を描くという流れです。
「描くのが早い」というのは言われますね。個展では218作品、出しましたけど、これでもかなり削って、削っての218です。日替わりで変えてる絵もあるので、本当はもうちょっとありました。
――えー! 個展というと、普通は10枚とか、15枚とか、そのくらいですよね
ゆえさん:ギャラリーの人が来て、びっくりしてました(笑) 今回の個展が最後かもしれないというのがあって、多めに出したというのはあります。それまでの個展でも、60枚から、80枚ぐらいあったかな。だんだん増えてるんです。
ふゅさん:私、本当に絵を描く以外のことができなくて……。物販の接客とかも全部(ゆえさんに)お願いしていて、お給料も出しているけど、一人で個展は無理ですね。絵しか描けなくてゴメン、とはよく言ってますね。
――そうなんですね。2人で、二人三脚というか
ツイッターは一人でできるけど、個展となったら完全に無理。私は、絵しか描けないと思ってるんで。難しいことにチャレンジするときも、(ゆえさんは)「無理だよ」とか言わずに、一緒にいてくれて、ずっとお世話になってる。性格が良いんですよ。私、自分の性格はクセが強いと思っていて、本当に友達いないから、自分と仲良くしてくれる人は、本当にいい人だって思ってます。
(中編に続く)