「実は、学外での個人制作で、4年間ほぼ毎日ゆるキャラを描いていました。ただ大学では、なんとなくなんですが『美術じゃない』と言われそうで怖く、作品として制作したことはありませんでした。

でも実際に作ってみたところ、そんなことは言われなかったんですね。だから大学の卒業制作で最後に出してみたんです。

あとは、『日本画でゆるキャラを描いたら面白いんじゃないか』という発想があり、それもきっかけですね」。

――なんと! このゆるキャラ絵は、“日本画”なんですね。驚きました……。

「日本画の先生方が多種多様な作品を描いていたことにも影響されたところもあるかもしれません。日本画といっても自由なんだなあって。様々な作品を見せてくださったり、教えてくださった先生方には感謝の気持ちでいっぱいです」。

――それでは改めて、この4枚のイラストについて解説をお願いしてもよろしいですか?

  • 【1年目】大学入学後初めて授業で描いた石膏デッサンです。でもこの授業では、受験的な感じではなく「自分の好きなように自由に描いていいよ」って言われて。本当は1体でよかったのに2体も石膏を描きました。初めて楽しいって思って描いたデッサンでした

  • 【2年目】これも授業で描いた絵です。百合の日本画ですね。人生で初めてきらきらした岩絵の具を使いました。ものすごく楽しかった。お気に入りの一枚です。ここで日本画の楽しさを知りました。この後、卒業までグラフィックデザイン専攻の授業と並行しながら日本画を学びました

  • 【3年目】テンペラ(顔料を卵黄で混ぜ合わせたもの)と油彩で描いたお魚の絵です。白で描写されてる部分が作ったテンペラの絵の具です。絵の具を作る工程を学んで、実際作って、ぼかしながら描いて、とても楽しかったのでこちらも気に入っています

――そして話題の、4年目の絵ですね