ラインナップとパフォーマンス
次に、製品ラインナップとそのパフォーマンスについてまとめておきたい。まずのっけから示されたのがこのスライド(Photo16)。正直言えば筆者もそう思ったし、恐らく多くの人が同じことを考えると思う。
それはともかくとしてまずはメインストリーム向け。Ryzen 7(Photo17)は4700Uと4800Uで、Core i7-1065G7と10710U/10510Uがそれぞれ競合となる。まずはCineBenchと3DMark TimeSpyの結果がこちら(Photo18)。Productivity(Photo19)やContents Creation(Photo20)ではCore i7-10510Uをリファレンスとした相対性能になっているが、これは結果のスケールがバラバラなためだろう。Gamingでは内蔵GPUを使って1080O/Low Setting(Photo21)の結果で、まぁどれもそれなりではあるが、一応ここに挙げられた6つのゲームタイトルは、Ryzen 7ならPlayableなフレームレートを実現出来ている、とする。
ちなみにTDP枠を25Wまで引き上げるとどうなるか? というのがこちら(Photo22)。Single Thread Performanceは変わらないが、Multu-Thread Performanceはそれなりに向上することが示された。
続いてRyzen 5。こちらでは4500Uと4600Uがラインナップされている(Photo23)。まずCineBenchと3DMark TimeSpyの結果(Photo24)を見ると、CineBench 1Tの結果はともかくCineBench nTとかTimeSpyでの差が大きくなっているのが判る。Photo18と見比べて頂くと判るが、CineBench nTとかTimeSpyのスコアはCore i7を上回っており、それはCore i5では太刀打ちできない訳である。当然Productivityも全般的に高め(Photo25)だし、Creativityも大差がついている(Photo26)。Gamingは、もうこのクラスだと内蔵GPUでのプレイは結構厳しいはずだが、それでもRyzen 5 4600Uだとまだぎりぎり行ける、という感じだ(Photo27)。
最後がエントリ向けのRyzen 5で、AMDはRyzen 3 4300Uのみのラインナップである(Photo28)。まずCineBenchと3DMark TimeSpyの結果(Photo29)であるが、2 Core/4 ThreadのCore i3と4 Core/4 ThreadのRyzen 3では性能に大差が付くのはまぁ当然の事である。当然Productivityもそれなりの差になる(Photo30)。Contents Creationは仕方ないところだろう(Photo31)。ゲーム性能も、GPUが5CUということもあり、性能差はともかくとして絶対性能ではRyzen 3 4300Uもあまり褒められたものでは無い。まぁRocket LeagueとCS:GO位がPlayableな範囲だろう(Photo32)。
次が、TDP 45Wの製品。要するにGaming NotebookあるいはWorkstation Notebook向けの製品である。CESにおいては、Ryzen 7 4800HとRyzen 5 4600Hの2製品が発表された(Photo33)が、このクラスとなるとDiscrete Graphicsが前提となるためか、GPUは6ないし7CUに減らされている。さて、この45W枠での性能は?ということで、IntelのHシリーズ製品との比較がこちら(Photo34)。なぜか比較が3DMark FireStrikeのPhysics Testではあるが、同じ45W枠でCore i9-9880H比で3割以上高速とする。またCineBenchの結果でも有利、という説明だ(Photo35)。
実際のアプリケーション比較は、Core i7-9750Hが対抗馬で、NVIDIAのGeForce RTX 2060 Mobileと組み合わせた状況での比較となったが、まず一般的なアプリケーション性能(Photo36)では全般的に有利。eスポーツ向け(1080PだけどSettingはHigh)での性能も悪くなく(Photo37)、通常のゲーム(Photo38)でも結構有利としている。
さて、ここからが新発表である。先にPhoto33のキャプションでもちょっと書いたが、Ryzen 9 4900Hが追加で発表された(Photo39)。この結果、ラインナップはこんな具合になっている(Photo40)。
これに加えて、TDPを35Wに制限したHSシリーズもやはり追加された(Photo41)。ハイエンドのRyzen 9 4900HSのみBase/TurboともややHS版では周波数が下がっているが、Ryzen 7 4800HS/Ryzen 5 4600HSについてはBase/Turbo共にRyzen 7 4800H/Ryzen 5 4600Hと同じに設定されている。このHSシリーズを搭載した最初の製品として紹介されたのがAsusのROG Zephyrus G14であった(Photo42)。性能比較では、45WのCore i9-9880Hと35WのRyzen 9 4900HSを比較し、ProductivityではほぼRyzen 9が有利(Photo43)。Gamingに関しては比較対象は無しだが、Discrete GPUとしてGeForce RTX 2060 MaxQを組み合わせた状態で、主要なゲームが1080P High Settingで問題なくプレイできるとしている(Photo44)。改めて製品一覧を示すとこんな感じ(Photo45)である。
と言う訳で、AMDはRyzen 4000 Mobileで15/25/35/45Wの4つのTDP枠に非常に競争力のある製品ラインナップを用意することに成功した形だ(25Wは、15W枠の製品をConfigurable TDPで設定可能)。現状欠けているのはCore mに対抗する10W未満の枠だが、今はそこまで手を伸ばすつもりはないのだろう。OEMへの出荷が16日から、ということは製品出荷は早くて3月末、実際には4月以降になるとは思うが、各社の春商戦あるいは夏商戦向けに、なかなか楽しい事になりそうだ。
ちなみに現状、Desktop向けの話は一切無い。こちらはもう少し後になりそうだ。