――スーパー戦隊シリーズを長年支えられている特撮監督の佛田洋さん、アクション監督の福沢博文さんとのコンビネーションはいかがでしたか。

それはもう、お2人ともスーパー戦隊のことを熟知されていますから、こちらとしては何の心配もなく、自由にアイデアを出していただきました。僕としては、お2人のアイデアに乗っからせていただいたところが多いです。たとえば、放送前に公開されたスペシャル動画で、5台の魔進が合体して完成するキラメイジンの活躍シーンがナイターになったのは、佛田さんの「キラメイジンのキラキラは、夜でこそ映えますよ」という提案あってこそですし、福沢さんはキラメイジャーの名乗りにバレエのリフトを取り入れて、あの大胆なポーズを作りあげました。

――キラメイジャーになる5人の俳優さんの起用の決め手は何だったでしょう。

レッドの小宮(瑠生)は演技経験がほとんどない新人なので、演出するほうとしては苦労もありますけれど、何よりも初々しい雰囲気を持っているところがいいんです。撮影をいくつかこなした現在、小宮もだんだん仕事に慣れてきて、初々しさはそのままで「内なる輝き」というか、これからキラキラと光を放とうとする感じがいっそう鮮やかに見えてきたので、改めて彼をレッドにしてよかったと思いました。充瑠を中心に、5人が並んだときの身長差のバランスや、各々の見た目の雰囲気など諸々を考慮し、個性の強い、良いメンバーがそろってくれたと思います。

――キラメイピンクの工藤美桜さんは、山口監督とは『仮面ライダーゴースト』(2015年/深海カノン役)でご一緒して以来だと思います。ひさびさに工藤さんとお会いして、どんな印象を持たれましたか。

美桜ちゃんは『ゴースト』のときは芝居をするのがほとんど初めてだったようですが、そこに"妹"感があって良い存在感を発揮していました。でも、キラメイピンクの小夜は「美人すぎる天才外科医」の役ですから、今回オーディションをするまでイメージに合うかどうかわからなかったですね。でも、あれから数年が経って彼女も芝居を勉強し、演技面での成長がはっきりと伝わってきたので、驚かされました。木原瑠生くん、新條由芽さん、水石亜飛夢くんもこれまでキャリアを重ね、すでに備わった演技力がありつつ、フレッシュさ、伸びしろもしっかりとあります。"キラキラ輝く若者"というコンセプトに対して、とてもバランスがとれていると思います。

――『キラメイジャー』テレビシリーズの前日談として、映画で『エピソードZERO』が公開されました。これはどういった狙いから作られたのですか?

テレビの第1話はふつうの高校生だった充瑠がレッドキラメイストーンに選ばれて、キラメイレッドになってヨドン軍と戦うまでを描いているのですが、『エピソードZERO』ではそこに至るまで、つまりイエロー、グリーン、ブルー、ピンクがキラメイストーンやマブシーナと出会い、キラメイジャーになった経緯が描かれます。もちろん第1話からテレビを観ても内容がわかるようには作っていますけど、『エピソードZERO』を観るとよりいっそう『キラメイジャー』の物語に深みが出て、興味がわいてくるのではないかと思っています。下地となる『エピソードZERO』をやることができたのは良かったですね。

――若いキラメイジャーをバックアップする存在として、古坂大魔王さん演じる博多南無鈴が登場し、コミカルな風味をふりまいています。古坂さんの現場での印象を教えてください。

僕たちがテレビで観ている古坂さん、そのままでしたね。いるだけで周囲の雰囲気がなごみ、明るく楽しくなる。みんなの緊張を取り除き、場を盛り上げてくださいます。