見逃しても1週間は大丈夫! ただしキーワード検索は改善の余地アリ

放送番組を一通り堪能してからNHKプラスアプリの画面をじっくり見渡すと、番組を見つけやすくするためのメニューが多数用意されていることに気付きます。

まず、画面下には、NHKがカテゴリやトピックごとにまとめた「プレイリスト」、番組名や出演者から見たい番組を探せる「キーワード」検索、日時で番組を探せる「配信カレンダー」があります。

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    画面下の各メニューの画面。左から「プレイリスト」、「キーワード」、「配信カレンダー」

そして画面上には、同時配信の画面がある「放送中」のほか、カテゴリやトピックごとに映像をまとめたタブを横スクロールしてザッピング的に映像を楽しめる「まとめ」があり、上部右端の「検索結果」からは以前探した映像の一覧リストにすぐアクセスできます。

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    画面上の各メニューの画面。左から「放送中」、「まとめ」、「検索結果」

NHKプラスでは、放送番組の同時配信に加えて、放送終了時刻から数えて7日間の見逃し配信を行っていますが、上記のメニューは見逃し配信の対象番組を探すのに役立ちます。さらに各番組を再生するプレーヤー画面にも、下部にサムネイルを並べることで、関連番組を次々に楽しめるように作られていて便利です。

ドラマなどの見逃し配信は、最新話の同時配信が終了するまで前回の放送話を見られます。見逃し配信が終了するタイミングが分かりやすいよう、配信終了日が近づくと該当番組に「残り○日」というタグが自動で付くほか、「#まもなく配信終了」といったまとめページからも探せます。

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    「まとめ」や「プレイリスト」に用意された「#スカーレット」から見逃し配信番組を再生。タップして再生メニューを表示し、画面を上に引っぱると、下に前後の放送回のサムネイルが並びます

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    キーワード検索や配信スケジュールから番組を再生。こちらも画面を上に引っぱると、関連する放送番組のサムネイルが左右に並びます

気になるところもあります。プレイリストは、自分で好みの番組を並べ替えたり整理できるわけではなく、NHKがキーワードに沿って用意した番組リストのようなもの。また、カテゴリやトピックの文頭に付けられた「#」は、SNSなどのハッシュタグとは違い、リンクを伝ってジャンプする機能はありません。ネット文化を取り込みつつも、NHKプラス内では独自の意味づけがなされているようで、こうしたネーミングには個人的に違和感を覚えることもありました。慣れの問題かもしれませんが……。

キーワード検索については、たとえば「ニュースウオッチ9」の数字を「ナイン」とカタカナで入れたり、ひらがな入力にするとヒットせず、ぴったり同じにしないといけない、といった課題も。サービス開始当初はこうした仕様と上手に付き合っていく必要がありそうです。将来的にはあいまい語検索の技術を導入し、タレントや場所などの名前がうろおぼえでも探せるようにすると、ユーザーにとって親切な作りになるでしょう。

放送番組を全部見られるワケではありません

NHKスペシャルなどのドキュメンタリー番組や「沼にハマってきいてみた」など、良質な番組を録画して観ている筆者にとってはありがたいNHKプラス。ですが、正式スタート前だからか、自分が見たい番組のバリエーションがまだまだ多くはないな、というのが正直な感想です。

たとえば、執筆時点では音楽番組「SONGS」は検索しても見つかりませんでした。おそらく権利的な問題がクリアされていないために、NHKプラスでは配信できないのでしょう。また、NHKプラスの放送時間(午前7時から翌日午前0時までの17時間)を過ぎた遅い時間帯のアニメ「映像研には手を出すな!」も、当然ラインナップされていません。

こうした番組の放送時間は、同時配信画面に「現在放送中の番組は配信しておりません」というメッセージとともに、NHKキャラのどーもくんやうさじいの映像がループ再生されます(深夜は放送休止の案内表示が出ます)。NHKキャラの映像は見ていると若干なごみますが、こればかり表示されてもうれしくはないので、正式スタートの折にはぜひ配信番組のバリエーションを増やして欲しいと思います。ちなみに、配信対象の番組が再生されている最中でも、「この映像は配信しておりません」という「ふたかぶせ(代わりの静止画を差し込むなどの処理)」が差し込まれることもあります。

新型コロナウイルス感染症のまん延を防ぐ施策のひとつ、全国小中学校・高等学校などの休校を受け、NHKではこの3月、Eテレを中心に番組を特別編成で放送するとのこと(詳細PDF)。NHKプラスアプリでは今のところ、朝~昼のEテレサブチャンネルの放送時間帯にサブチャンネルのタブが増えることは確認できましたが、ほとんどの番組が配信対象外のようで、上記の「現在放送中の番組は配信しておりません」がずっと流れていました。今後、NHKプラスのEテレサブチャンネルも活用されることに期待です。

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    朝~昼の時間帯には、Eテレのサブチャンネルも表示されますが、多くの番組が現状では配信対象外のようです

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    中央左のEテレサブチャンネルの、本来のラテ欄情報(BDレコーダーのEPG情報)はこんな感じ

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    Eテレのサブチャンネルは常設ではなく、終了時間が来るとこのような画面表示に切り替わります

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    NHKプラスアプリでは、高校講座などの教育番組が配信されていません。こうした一部の番組は「NHK for School」や「NHK高校講座」などのWebサイト上で配信しています

IDひとつでホントに5人同時に見られる?

NHKプラスでは、「1つのNHKプラスIDで最大5画面の同時再生が可能」と説明しましたが、本当にできるのか簡単に調べてみました。家族1人につき1台利用するという想定でスマホとPCを計5台用意し、同じNHKプラスIDでログインして番組を流すだけです。

実際に試すと、確かに5画面で同時にNHKプラスを利用できました。宅内のネットワークとインターネット回線が良好なら、特に問題なく使えそうです。

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    ひとつのNHKプラスIDで最大5ストリーム再生できます。写真には写っていませんが、実際に5画面で同時再生できました

5台の機器で表示しつつ、6台目のPCから同一のNHKプラスIDでログインしてみると、正常に画面が映りました。その代わり、既にログイン済みのスマホ1台の画面から映像が消えて真っ暗になり、「同時に視聴できる端末数の上限を超えました」というメッセージが表示されました。各端末の認証状態は、どうやらリアルタイムで把握しているようです。

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    6台以上のスマホ/タブレット・PCで見ようとすると、しばらくしてからひとつの画面から放送画面がブラックアウトして消え、「同時に視聴できる端末数の上限を超えました」と表示されました

スマホからのキャスト出力はできません

2月に行われたNHKプラスの事前説明会において、質疑の中で挙がった「NHKプラスの映像は外部出力できるのか」問題。NetflixやYouTubeといった一般的な映像配信アプリでは、同一ネットワーク内のメディアプレーヤーやスマートテレビにWi-Fi経由でキャスト出力できますが、NHKプラスは有線ケーブルによる出力も含めて、テレビやチューナー非搭載のモニターで視聴できないように設計されているとのことです。

実際にAndroidスマホの画面キャスト機能を使ってみると、NHKプラスのアプリ画面は表示されました。しかし、放送番組の映像は真っ黒のままで、音声だけが流れます。

なお、NHKプラスアプリはバックグラウンド再生や(Androidの)分割画面に対応していません。テレビの音声だけを聞いたり、番組を見ながらネットで調べ物をするといった使い方もできませんでした。こういった使い方をしたいときは、素直にテレビの前に座ったほうがよさそうです。

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    Androidスマホの画面キャスト機能を使ってみると、配信番組の映像は表示されず、音声だけが流れました

スマホを機種変したらどうなるの?

ちょうどiPhone 7からiPhone XSに乗り換えるタイミングだったので、今回はiPhoneを機種変したときのNHKプラスIDの扱いも調べてみました。

結論から言うと、旧機種のNHKプラスアプリからログアウトし、新機種で同じIDでログインすれば問題ありません。旧機種のNHKプラスアプリにログインしたままだと、バックアップデータを新機種にそっくり移し替えても、NHKプラスのログイン情報は引き継がれません。そのため、新機種でNHKプラスアプリを立ち上げると、受信契約確認メッセージがまた表示されます。

NHKプラスに限りませんが、スマホを機種変して旧機種を手放す場合は、各種アプリ・サービスからログアウトして、本体のリセットを忘れないよう気をつけましょう。

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    iPhone 7(右)のiCloudバックアップから新しく入手したiPhone XS(左)に復元しても、ログイン情報は引き継がれませんでした。旧機種でいったんログアウトしておき、新機種でログインし直せば受信契約確認メッセージは消えます

NHKプラスを使わなくなったら? 解約できる?

NHKプラスIDを登録してみたけれど、アプリ(サービス)はもう使わないのでIDを削除したいという場合は、NHKプラスの「マイページ」から削除できます。

マイページの最下段に「ID利用終了手続き」というリンクがあり、画面の案内に従って手続きするだけで削除完了します。NHKプラスを止めても受信契約の解約とはなりません。逆に、受信契約を解約したらIDも自動的に削除されます。

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    NHKプラスIDの利用終了画面

放送・オンデマンドのさらなる融合に期待

テレビ放送とオンデマンドの垣根を(部分的ながらも)取り払った「NHKプラス」。現行のテレビ放送の付帯サービスという位置づけであり、NHK受信契約を伴わない利用は想定されていません。Netflixといった既存の映像配信サービスとは立ち位置が異なりますが、NHKプラスの登場は個人的には歓迎しています。見逃し配信が基本のTVerや、インターネットテレビ局として幅広く利用されているAbemaTVといった民放側のサービスも、これを機に放送とオンデマンドのさらなる融合を目指して切磋琢磨して欲しいと思います。

放送局としての方向性に疑問を持たれたり、賛否両論があることも分かりますが、NHKが受信料を元に制作した良質なコンテンツを多数抱えるコンテンツホルダーであることもまた事実。放送事業とは別立てで展開されている有料配信サービス「NHKオンデマンド」との関係も気になるところですが、NHKプラスの使いやすさや豊富なコンテンツの見せ方が進化していくことに期待しています。