楽天・三木谷氏、海外展開へ意気込む

メガベンダーによる独占、Huaweiの通信機器をめぐる疑惑から、5Gの無線アクセスネットワークのオープン化を求める声が強まっている。そうした中、5Gを新たなインフラと見なすQualcommもネットワークをオープンに進化させる取り組みを行っている。

その1つが2018年5月に発表した「Qualcomm 5G RANプラットフォーム (FSM100xx)」である。会見では、Altiostar、Sercomm、Verizonなど、FSM100xxの採用に踏み出す企業が順調に増えていることが示された。その中で「世界初の完全仮想化ネットワークで5Gに取り組む企業」として楽天モバイルを紹介、三木谷氏を壇上に招いた。

  • 完全仮想化ネットワークで「不可能を可能にする」と三木谷浩史氏

Buy.comを買収した楽天は米国でもオンラインショップとして知名度を上げているが、どのような企業なのか知っている人はまだ少ない。三木谷氏は創業時からの歴史を紹介し、楽天の根にあるスタートアップ精神を伝えた上で今日のモバイル戦略について語った。後半は楽天モバイルCTO (最高技術責任者)のTareq Amin氏が完全仮想化によるクラウドネイティブネットワークについて説明。海外展開への意気込みもアピールした。

日本ではサービスの内容や質が話題だが、米国で楽天モバイルは5G時代のチャレンジャーとして注目されている。例えば、Fierce Wirelessの「2019年、ワイヤレス技術で最もパワフルな人物」にAmin氏が選ばれた。ただ、そうした知名度はまだワイヤレス産業に限られている。もしこれが一般向けのテック系ニュースでも取り上げられるMWCで予定通り行われていたら、欧米における楽天のイメージを変えるきっかけになっていたかもしれない。

「5Gで何が変わる?」を考える

「5Gで何が変わる?」……これまで多くの人によって何度も繰り返されてきた疑問である。

その答えが今年のMWCでは見えてくるはずだっただけに開催中止は残念である。しかし、今はそれを惜しむべき状況ではない。ライブストリーミングイベントは、現状で安全確保と5Gの早期普及の両方を進められる最善策だったと言える。

付け加えると、ライブストリーミングを見ながら、もしこれが5G普及後だったらと考えた。セルラーネットワークに接続するモバイルデバイスからでも、より多くの人達が高品質なストリーミングにアクセスできる。XRヘッドセットを使ったその場にいるような体験も当たり前になっているかもしれない。そう想像したのは私だけではなかったはずだ。