ダンスボーカルユニット・M!LKのメンバーで俳優の佐野勇斗と、モデルで女優の飯豊まりえがW主演する、AbemaTVのオリジナルドラマ『僕だけが17歳の世界で』(20日スタート、毎週木曜23:00~ ※全8話)。プロデューサーは、昨年6月末にフジテレビを退社した藤野良太氏で、『恋仲』『好きな人がいること』を彷彿(ほうふつ)とさせる“月9”の王道だったラブストーリーを新たなフィールドで手掛けることに注目が集まっている。
そこで、これまで経験してきた地上波テレビと、インターネットテレビ局であるAbemaTVにおける制作スタイルの違いなどについて、藤野氏に聞いてみた――。
■民放で戦ってきた仲間が集結
今作は幼なじみの航太(佐野)と芽衣(飯豊)がお互いに“好き”という気持ちに気づくも、想いを伝えることなく突然航太が亡くなってしまい、7年後の季節外れの桜が咲く期間だけ戻ってくるという“恋愛ファンダジー”。
脚本は、藤野氏がプロデューサーを務めた『ビブリア古書堂の事件手帖』(13年)で出会った相沢友子氏。『恋ノチカラ』や『鍵のかかった部屋』など月9でヒット作品を多数手がけてきた実力派だ。
それ以外も、『恋仲』『好きな人がいること』『グッド・ドクター』でタッグを組み、昨年末にフジテレビを退社した金井紘ディレクターや、音楽を担当する得田真裕氏とも『グッド・ドクター』に続いてタッグを組む。『恋仲』から一緒に仕事をしてきたカメラマンやスタイリスト、編集チームら民放の連続ドラマを共に戦ってきた「勝手知った仲間たち」が集結した。
現在は月9をはじめ民放各局でも、恋愛ドラマが放送されなくなっていることから、スタッフ陣は腕が鳴っているそう。「やっぱり恋愛ドラマが見てる人の心を一番動かすと思うんです。さらに、恋愛ドラマの良いところは、ここから新しいスターが生まれる可能性があることです。この作品を通じて佐野勇斗と結木滉星にはさらにスターになってほしいと思っています(笑)。どう撮影すればカッコよく撮影できるか、よく研究してますよ。飯豊まりえが涙を流すシーンでは、どちらの眼から涙が出るかを研究してカメラマンがアングルを決めてました」とスタッフの熱量を語る。
それだけに、今作では「フジテレビで培ったクリエイティブのノウハウを完全に注ぎ込んでいます。10年間のドラマ作りの中で自分がたどり着いたルールとか法則とか、そういうのを全部詰め込んでます(笑)」と明言。「なにより集まってくださったスタッフの方たちのレベルが本当に高いです。若い世代にドラマを届けよう、クオリティ高いものを世に出そうと、本当にモチベーション高く、皆で同じ目標に向かって走っています」と明かす。スタッフの人数は、地上波ゴールデンタイムと比べても遜色ないといい、「画のクオリティはすごくいいと思います。地上波にも負けません」と胸を張った。
■1話に1枚“記憶に残る画”を
一方、AbemaTVということで、「スマホ視聴は意識してカットを作っています」とのこと。「短尺コンテンツの視聴に慣れている10代の子たちにドラマを見てもらうには、相当工夫しなければいけないと思っています。キャスト陣には、顔の表情の芝居がとても大切だと伝えました。初めてドラマを見る子が視聴したときに、『佐野勇斗が飯豊まりえのことが好きなんだな』とか『思いが届かなくて葛藤してるんだな』とか、キャラクターの感情を伝わりやすく見せようと話してます。(ロケ地の)長野のロケーションが素晴らしすぎて、風景を撮りたくなってしまうんですけどね(笑)。ただ、実力派の監督陣なので、演出には何の心配もしていません」。
それに加え、「1話の中で1枚、“記憶に残る画”を作っていくというのをコンセプトにしています。ドラマって、それこそ膨大な時間を使ってストーリーを一生懸命考えるんですけれど、細かなことまで覚えている人は悲しいながらそんなにいません(笑)。結局記憶されるのは、例えば『ロングバケーション』のスーパーボールのシーンなんですよね。強烈に心を動かされる点こそ大切なんだと数年前にたどり着きました。そういう憧れることができる“画”が1話に1回あれば、ドラマを見るモチベーションになってくれると思うので」と狙いを語った。