●朗読劇は作っていく過程も観てもらうことになる
――今回、朗読劇として展開される『嵐が丘』。アフレコやミュージカルなど、いろいろな芝居のなかでも、朗読劇ならではだと感じる部分はありますか?
白石 アニメや吹き替えなどは絵があってお芝居をしますが、朗読劇だと、基本的に絵はありません。音響や照明などはあるにせよ、基本は声と動きだけで観ていただく方に物語を想像してもらわないといけないんですよね。それだけに、自分がこう思って芝居しているということがちゃんと伝わるよう、より考えて演じなければいけないとも思います。
市川 場合によっては、違う受け取られ方をしてしまいかねないですもんね。
川島 そういう意味では、朗読を聞いてくれる方が目の前にいるということ自体が特殊な環境かも。今回は、ゲラゲラと笑う部分はないと思いますが、お客さんがどこでどういう反応をされるのか、本番まで分からないですから。なかにはくしゃみをされる方だっているでしょう。もちろん、そういう稽古とは違う音が入ってきたからと言って、芝居を変えるということはないです。ただ、完成系を作ったあとでお客さんに観ていただくアフレコとは違い、朗読劇などは作っていく過程も観てもらうことになるんですよね。だから、緊張感も違います。リテイクできないですし。
白石 リテイクは偉大です(笑)。
――確かに、朗読劇などで「やり直していいですか?」はないですもんね。
川島 そうなんです。
――そういう意味でも、何が生まれるか分からないんですね。
市川 それが面白さでもある気がします。僕はお客さんが入っていると、気持ちが一段上がる気がするんですよね。掛け合いも、稽古よりもブラッシュアップされたものが出てくることがあるんです。そういう独特の空気と緊張感から生まれる化学反応が、楽しみでもありますね。
川島 そうだね。
諏訪 私、今回初めて朗読劇に参加させていただくんです。稽古の段階から既に、マイク前に立って芝居するのとは違った空気感と緊張感でした。今日も皆さんとの掛け合いで引き出してもらった部分があったのですが、本番はどうなるのか……今はドキドキもワクワクもしています。
――最後に、今回の朗読劇で注目して欲しいポイントをそれぞれ語っていただければと思います。
諏訪 本作は内容が激しく、言葉も荒々しくて、日常では表現しないようなワードがたくさん出てくるんですよね。
川島 言葉が攻撃的だよね。「ゴミ」とか言うし。
市川 確かに(笑)。
諏訪 そういうどストレートに「ドン!」とくる言葉は時代感を表していて、本作の特徴でもあると思っています。それが伝わるように精一杯、演じます。
川島 今回は衣装を着て朗読するので、それは楽しみでもあります。
諏訪 本格的なものを用意していただいていますよね!
川島 そうだよね。ただ、難しい部分でもあって。朗読って、基本は台本を持って芝居をする訳じゃないですか。そこに衣装を着ると、どういう受け入れられ方をしてもらえるのかなとも思っていて。同じようなことで言えば、視線。役としての目線がいいのか、それとも、あくまで台本を読んでいる“役者”としての形にしておいたほうがいいのか……いつも迷うんです。
諏訪 私、稽古中は自然とヒースクリフの方に体が向いちゃっていました!
川島 役者としては、やっぱり向けたくなっちゃうよね。
諏訪 そうなんです! あとは何となく空を見上げたり、叩かれたときに反応したり……。そっか、それは決まりがなくて、自由なんですね。
市川 役として舞台に立つ方もいらっしゃいますし、朗読に専念される方もいますよ。
諏訪 それも、その日の空気感やキャストさんによって変わるんですよね。
――今回の朗読劇は、日によって演じる方が違うから余計に違いが分かるかもしれません。
市川 そうですね。だから、同じ登場人物の同じセリフでも、役者によってこんなに違うのか、という発見ができると思います。僕も他の方がどう演じられるか気になっていますから(笑)。また、1公演につき朗読するのは基本4人なのですが、その中の3人は兼ね役があります。しかも、時代がどんどんと進んでいき、登場人物も歳を取っていくので、その演じ分けにも注目していただきたいですね。
白石 僕もそれ、言おうとしていました(笑)。
市川 すいません(笑)。
白石 それ以外だと……。そうですね、やっぱり、生でやってみないと僕らも分からないところがあるんです。でも、それと同じように、当日来てくださった方にしか分からない楽しみがあるんじゃないかな。もしかしたら、僕たちが予期せぬところで笑いが起きるなんてことも。
諏訪 エドガーのあの対応とか、絶妙ですからね。
市川 シュールで、意外と笑いが起きちゃうかも。
川島 僕は笑いそうになったよ(笑)。
白石 もしかしたら、笑いが起きるかもしれないですね(笑)。でも、そういうことも含めて、今回の朗読劇をお客さんたちと一緒に作っていきたいです。それが面白味でもあると思いますので、ぜひ会場へお越しください。
●朗読で描く海外名作シリーズ音楽朗読劇『嵐が丘』
期間:2020年2月17日~24日
会場:TOKYO FM HALL
出演:
☆石谷春貴・市川太一・伊東健人・笠間淳・神尾晋一郎・狩野翔・川島得愛・菊池幸利・駒田航・笹翼・白石兼斗・田丸篤志・千葉翔也・土田玲央・中澤まさとも・中島ヨシキ・西山宏太朗・新田杏樹・濱野大輝・広瀬裕也・安田陸矢・山本祥太・米内佑希・若山晃久
★青山吉能・阿部里果・古賀葵・鈴木絵理・諏訪彩花・田中美海・沼倉愛美・村中知・山崎はるか・吉岡茉祐
(男女別五十音順)
チケット料金:7,000円(税込/全席指定)
公式サイトはコチラ