新搭載のスマートコントローラーが使いやすかった

練習風景とはいえ、選手はラグビーならではの素早い動きをするため、普段こうした超望遠レンズを使うことがない筆者は追いかけるのがやっと、という感じでした。しかし、フレーム内に選手を入れられれば、多くのカットでピントがバッチリ合った写真が撮れました。

ほとんどの設定はカメラが自動でやってくれるため、撮影者は選手の動きやフレーミングに集中できました。この点は、さすが最新カメラだと感じました。

AFフレームを任意に動かす場合は、新搭載の「スマートコントローラー」がとても便利でした。右手の親指位置にあるAFスタートボタンと兼用になっており、指でボタンを軽くなでるようにスライドさせると測距点が動く仕組みです。スマホ対応の手袋をしたままでも動かせました。

  • AF-ONボタンに、光学センサーを内蔵するスマートコントローラーを新たに搭載した

  • 光学センサーなので、手袋をしていても問題なく操作できる

ライブビューも試してみた

ファインダー撮影時のAFのすごさを実感した筆者は、続いてライブビューでの撮影を試しました。設定はファインダー撮影時とほとんど同じですが、ライブビューでは顔認識や瞳検出ができるので活用しました。選手が離れているので瞳まではなかなか捉えられませんでしたが、顔検出はしっかりできていました。

  • 背面液晶を見ながら撮影するライブビューの撮影も試してみた。ファインダーではライブビュー撮影に対応しないのが、EOS Rなどのミラーレスとの大きな違いだ

こちらもピントなどは問題ありませんでしたが、やはり動きものを背面液晶モニターで追いかけるのはなかなか難しく、慣れが必要だと感じました。また、撮影場所が夕陽の逆光になっていたので、モニターが少し見にくい状況になったのも気になりました。こうした点では、ファインダーのほうが使いやすく感じました。

ほかにも先進の機能を満載

動体撮影では申し分のない性能を持っているEOS-1D X Mark III、次世代カメラとしての先進性もしっかりと備えています。

たとえば、PQ方式のHDR画像をHEIFフォーマットで記録することもできます。今回は試していませんが、HDR対応ディスプレイで表示すれば、より広色域でリアルな写真を見ることができます。さらに、HEIF画像からHDRライクなJPEG画像を作ることもできます。

記録メディアも、新世代の高速メディアである「CFexpressメモリーカード」をデュアルスロットで搭載。RAW+JPEGラージで1,000枚以上の連続撮影が可能です。今回はJEPG記録のみで撮りましたが、連写速度が落ちるようなことはまったくありませんでした。

  • メモリーカードスロットは、読み書きが高速なCFexpressメモリーカードのダブルスロットとなる

動画撮影も、同社のスチルカメラでは初めてとなるRAW記録に対応しました。色調整などの自由度が格段に高いRAW動画は各社が対応を進めており、今後注目される機能の1つとなっています。

フラッグシップ機というと、一般の写真ファンにはあまりなじみがないかもしれませんが、EOS-1D X Mark IIIのために開発された新機能のいくつかは、いずれコンシューマーモデルに搭載される日が来ることでしょう。そう考えると、今後の発展をあれこれ想像するのも面白くなってきます。そして、来る2020年東京五輪のカメラマン席がどのようになっているのかと想像は尽きません。