女優の清野菜名と俳優の横浜流星がW主演し、世の中のグレーな事件にシロクロつけるシニカルミステリー『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系、毎週日曜22:30~)。次々に沸き起こる謎や、清野&横浜の迫力あるアクションで話題を集めている。

プロデュースは『ブラックリベンジ』(17年)、『ブラックスキャンダル』(18年)など“復讐(ふくしゅう)もの”を担当してきた読売テレビの福田浩之氏。主演2人の起用理由や現場での様子、また昨今のインターネットを活用した “仕掛け”などについても話を聞いた。

  • 『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』W主演の清野菜名(左)と横浜流星

    『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』W主演の清野菜名(左)と横浜流星 (C)ytv

■清野菜名&横浜流星だからこそ生まれたキャラクター

今作は、巷にあふれる悪質なセクハラやパワハラ、組織の不正や権力者の忖度などの隠された真相を謎のヒロイン・ミスパンダと、その正体である川田レン(清野)に暗示をかけてミスパンダを生み出した飼育員さんこと森島直輝(横浜)が、隠された真実を暴き出すミステリードラマ。アメリカンコミックのような独特の世界観のほか、清野と横浜のキレッキレのアクションシーンがSNSで話題となっている。

本作を可能にしたのは、『今日から俺は!!』(日本テレビ)でも本格的アクションを見せ、その実力が広く世間に認知された清野、そして極真空手を特技とする横浜という2人の役者の存在だ。

「ミスパンダという存在を考えたときに、やっぱり清野菜名さんしかいませんでした。アクションはもちろんですが、清野さんは繊細なお芝居の力も持ってらっしゃいます。出演のOKをいただけた時点で、ミスパンダという格闘技術を持った謎の女、そして川田レンというネガティブな囲碁の棋士という静と動の顔を持つキャラクターが可能になりました」(福田氏、以下同)

横浜に関しても同様。元々はミスパンダの飼育員さんとしての優しい顔と、催眠をかけているときの怪しい顔、また、殺害された父の復讐を目論む荒々しい顔など、さまざまな顔を演じ分けられる俳優としてオファーをかけた。

「この若さでその怪しさ、またこれらを表現できる俳優さんは数少ない。横浜さんもアクションが得意ですので、OKをいただけたことで、森島直輝にもアクションシーンが誕生したのです」

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■2人から「こんなアクションをしたい」

この2人の主演について、「想定した以上の手応えがあった」と福田氏。「まずアクションに関して、清野さんと横浜さんが主導して『こんなアクションをしたい』『するべき』とアイデアを出してくれます。またお2人ともご自身の演じるキャラクターを深掘りして考えてくださっており、『川田レンはこうあるべき、ミスパンダはこうあるべき』、また『森島直輝はこういう男だ』ということを1カット1カット考えてくださるので、共に作っている一体感が強く、またさらに面白い人物像が描けているように思えます」

清野はそもそも強く前に出て主張しないタイプ。とくにネガティブな川田レンを演じているときの口数は少ないが、奔放なミスパンダを演じている際は、オフでもよく話すという。

一方、横浜は「今の森島直輝、これで良かったですかね」と事あるごとに問題提議をするタイプ。制作陣が考える森島直輝、自身が考える森島直輝、そのどちらが面白いかを「こちら側に提示し、すべてのシーンが勝負・対決するような活気ある現場になっています」

例えば、横浜発のアイデアで採用されたのは、森島直輝の川田レン催眠シーン。普通、パンケーキにシロップをかけるときはパンケーキを見ながらかけるものだが、横浜は川田レンの顔を見ながらシロップを垂らす。現場ではこれを「直輝がけ」と呼んでいるそうだ。

第3話では、直輝がレンを抱きしめた後、「パンケーキを食べに行こうか」と笑顔を見せるシーンがあったが、「ギュっとしている間は深刻な表情で、腕からレンを解放したときに笑顔だったら怪しさが増しませんか?」という横浜の意見で、そのシーンが生まれた。

第4話で魅せたパルクールのアクションでも、直輝は動きが一段落するごとにメガネの位置を直したり、服装を整えたりと格好をつけていたが、これも横浜のアイデア。きょう9日放送の第5話では、ミスパンダと直輝のアクションに、清野と横浜が元々の動きに意見と手を加えていき、見応えのあるシーンが完成したそうだ。