コーヒー好きが高じて喫茶店のオーナーになり、本まで出した家電流通コンサルタントの得平司氏が、コーヒーメーカーの正しい選び方を紹介します。美味しいコーヒーを飲むためには努力を惜しまない人だけに、気になる製品を1台ずつ実際に購入し、歯に衣着せずに評価していきますよ! 今回は、焙煎したコーヒー豆を挽くところから楽しめるミル付きのコーヒーメーカーを試します。まずはデカフェ豆にも対応したパナソニックの沸騰浄水コーヒーメーカー「NC-A57」です。
1台で豆の粉砕から抽出まで一気通貫
コーヒーの美味しさは、豆の品質、抽出、飲み方などによって変わります。特にコーヒー豆を挽いて粉にするときは、粉の粒のキメをそろえることと、微粉の量を抑えることです。これは抽出プロセス全体の中でも、大事なポイントの1つになります。
コーヒー豆を挽く機器は、ミル(mill)やグラインダー(grinder)といいます。厳密な呼び分けはないのですが、家庭用がミル、業務用がグラインダーと呼ばれることが多いようです。ミルを内蔵するコーヒーメーカーは、1台で豆の粉砕から抽出までを一気に行えるのがメリット。パナソニックのNC-A57は、豆からはもちろん、粉からも淹れられるので、コーヒー豆をどんな状態で入手しても大丈夫です。
NC-A57のスペック
- 発売日:2018年9月
- ミル:搭載(最大使用容量40g)
- フィルター:ペーパーフィルター
- 最大使用水量:670mL
- 一度に淹れられるカップ数:5カップ
- 本体サイズ:W220×D245×H345mm
- 重さ:約3.0kg
- 本体カラー:ブラック(-K)
NC-A57には、内蔵ミルで豆を挽くときに、粗さを調整するためのメッシュフィルターが2種類付属します。中細挽き用が茶色、粗挽き用が緑色です。なお、カフェインレスのデカフェ豆を使うときは、中細挽き用にします。
抽出コースにはマイルドとリッチが用意されており、豆の挽き方と抽出コースを組み合わせて、コーヒーの淹れ方を調整できます。
得平:コクと苦味のあるブレンディな味には中細挽き用を使い、マイルドコースに設定します。アイスコーヒーやカフェオレも中細挽き用で、コースはリッチを選びます。一方、渋みが少なく後味の良いマイルドなコーヒーにしたいときは、緑色の粗挽き用がよいでしょう。アメリカンコーヒーは、粗挽き用でマイルドコース、スペシャルティコーヒーは粗挽き用でリッチコースがオススメですね。
メッシュフィルターは、本体の前面からペーパーフィルターをセットするバスケットを手前に引き、豆容器下部にパチっとはめるようにセットします。
続いて、水容器(給水タンク)に水を入れて、ガラス容器(サーバー)と合わせて本体にセット、電源を入れます。NC-A57に限らず、コーヒーメーカーの水容器やガラス容器などは、初めて使うときは必ず水洗いしてください。
NC-A57の水容器には、ホットとアイスの目盛りに加え、マグカップサイズ用の目盛りも付いています。また、水道水で淹れるときは、水容器の上部に活性炭フィルターをセットします。
得平:目盛りが内側になるので、水容器を外さないと入れる水の量を測れません。ただしお手入れを考えると、水容器を外せるのはメリットでもあります。
抽出したコーヒーが落ちてたまるガラス容器(サーバー)のフタにも注目。このフタには、交換不要のミネラルフィルターが付いており、「酸味調節レバー」を使って、ソフトとストレートを切り替えられます。ソフトに合わせると、抽出したコーヒーがミネラルフィルターを通過することによって、酸味が抑えられます。ストレートは、ミネラルフィルターを通しません。
得平:風味が落ちてきた豆は酸味がきつくなります。豆をまとめて購入して何日もかけて飲んでいると、最後のほうは酸味の美味しさが損なわれがちです。NC-A57なら、豆をまとめて購入しても、ミネラルフィルターを「ソフト」にして淹れることで、酸味の劣化に伴う風味の低下をある程度は避けられそうです。逆に、焙煎したばかりの豆を調達したときは、酸味の美味しさも楽しみたいもの。その場合はミネラルフィルターを「ストレート」に合わせて、ミネラルフィルターをスルーして淹れましょう。