ラジオエキスポはレギュラー化するのか
編:今回、イベントのタイトルが「ラジオエキスポ TBS万博2020」ですが、2020ということは、2021年以降の開催も計画中ですか?
野:まだ決まってはいませんが、可能性は否定しません。今回のテーマとして「新しいラジオ体験」というのを打ち出していますが、「ラジオとリアルの接点」といいますか、そういう空間は残していきたい。ラジオは放送だけでも成立するメディアですが、こういう場はあった方がいいのではないかと思います。
編:その通りだと思います。先日、「たまむすび」(月曜~金曜、13時から放送中)で「番組特製すごろく」の配布がありましたよね? 私も欲しかったので赤坂サカスに来たのですが、人があふれかえっていたので、あきらめて帰りました。
内:2,000人くらいの来場を想定していたのですが、結果、3,500人がいらっしゃいました。
野:TBS中で「サカスで何が起きているの?」っていう空気になりましたからね(笑)。
編:その時にも思ったんですけど、ラジオのリスナーさんの中には、番組や放送局に対する熱量の高い人が多いといいますが、何かあったら駆けつけたいという欲求がすごいですよね? そういった思いにこたえるためにも、リアルイベントは必要だと思います。ラジオは基本、1人で聞くメディアだと思うんですけど、そういったイベントで時々、ほかのリスナーさんの存在を確認するのは、なんとなくうれしいことですし。
内:それで、笑いどころが一緒だったりすると、うれしいですよね。
編:今回のラジオエキスポは新しい試みということですが、お金の面でも、アイデンティティの面でも、TBSラジオにとって重要なコンテンツに育っていけばいいですね。
内:そうですね。例えば「こどもエキスポ」なんかは、うまくいけば、これだけ切り離してイベントにしてもいいわけです。「ミュージックEXPO」だって、音楽フェスとして独立させてもいいし。
野:今回、横浜ローカルの飲食店にご協力をお願いして「横浜フードEXPO」(フードエリア)を展開しますが、今後、食のフェスを開催するということも考えられると思います。
内:ラジオエキスポで生まれたものは、今後の展開にも期待できます。
野:展開させたいですね。せっかく、これだけのことを「よっこらしょ」と立ち上げたので、一過性では終わらせたくない。それに、このイベントの準備を通じてご縁をいただき、開催に向けてご尽力いただいた方々がたくさんいるので。
編:種をたくさんまいた感じ。
内:本当に、ラジオエキスポには考えうることを全て入れているんで。「エンタメのすべて」とうたっているのは、そういう意味なんですよ。今のTBSラジオから発信できるものは、全部入っているという感じです。
編:ラジオエキスポを目撃しておけば、これからのTBSラジオを見ていく上でも、楽しみが増えそうですね。
新たなリスナーに出会えるか
編:TBSラジオでは、三村社長もおっしゃっていますが、「ノンリスナーのリスナー化」とか、「まだ出会っていない人に出会う」といったようなことを目指していると思います。その文脈で、ラジオエキスポは語れますか。このイベントを開催することで、TBSラジオを聞く人は増やせるのでしょうか。
内:ラジフェスをやっている時も、非リスナーの方にどれだけ来ていただけているかというのは課題でした。でもやっぱり、ラジフェスといっている以上、放送の延長のイベントなので、リスナーさんがいらっしゃるのは当たり前の話です。ただ、今回のラジオエキスポもそうですが、出演者は一般的にも有名な方ばかりなので、誰が見ても楽しいイベントにはなっていると思います。
それと、その文脈でいえば、子供たちに来てもらえるかという意味で、こどもエキスポはチャレンジです。こどもエキスポで楽しんでもらった後、実は、それがラジオのコンテンツだったと気づいてもらう感じにしたい。TBSラジオが持っているコンテンツで、子供たちを満足させたいんです。子供たちは完全に、非リスナーですからね。
編:こどもエキスポが楽しい思い出になれば、その子たちが親に「ラジオが聞いてみたい」というかもしれませんし、大きくなってリスナーになるかもしれないですね。
野:大人になって急に聞き始める人もいないわけじゃないですけど、ラジオ体験は若ければ若いほど、習慣となって残ります。そうすると、一度はラジオから離れた方でも、もう一度、聞き始めるということもある。子供たちに、習慣的な面白い体験として、いかにラジオを届けるかというのは、放送局として、今回のチャレンジかなと思います。 *
編:ラジオという選択肢があると知って大人になるのと、知らないで大人になるのとでは、全く違いますね。
内:今はスマホで聞ける「ラジコ」(radiko)があるので、実はみんな、ラジオを持ってはいるんですけどね。
編:確かに。ただ、スマホで見たり聞いたりするものは山のようにあるので、ラジオという選択肢を持っていないスマホユーザーを振り向かせるのは、とても難しそうです。
内:そういう意味でも、ラジオ局として、リアルイベントを持っていることは大事なんです。