ところで、LINEは中国で規制されて使えないサービスだが、今作ではどのように描いているのか。
「それはどうしようかと最初から話し合っていたんですけど、中国にはLINEと同じような位置づけになるWeChat(微信)があり、基本的にLINEと同じ画面構成なので、世界共通のメッセージアプリとして扱うことにしました」という。「ただ、“LINE”という言葉をタイトルに入れることはできないので、中国版では“ドキドキするメッセージ”という意味の全然違うタイトルにしました」とのことだ。
WeChatには「既読」が付く機能はなく、“既読スルー”の概念もないが、「あくまでメッセージを通じてすれ違ったり、誤解が生じたりするというのをなくして、恋愛を成功に導くヒントを指南する “恋愛実践トレーニングドラマ”ということで、中国の方でも楽しめるようになっています」と工夫している。
また、東京が舞台であることを生かし、実在のレストランでロケをすることで、中国の視聴者が来日した際に、実際に訪れることができることも意識。bilibiliで配信される日本ドラマの人気ジャンルは、恋愛モノに加え、お仕事モノが台頭してきていることから、「今回の作品の中では、このキャラクターはこういうところに住んで、こういう職業に就いているというバックグラウンドを大切にしています」と、仕事のシーンも多めに描いている。
■古川雄輝の新たな一面を
そんな今作の主演を務める古川は、中国で「男神(憧れの男性)」と呼ばれるほどの人気を誇る存在で、多賀氏は「やはり中国でも多くの方に見ていただきたいというのは、起用にあたって大きなウェイトを占めています。中国だけでなくグローバルに活躍される俳優さんですので」と期待。
それに加え、「古川さんは様々な役を演じられる俳優さんですが、今まではどちらかというとクールでカッコいい役が多かったかと思います。そんな中で “ちょっと残念なイケメン”という“ラブコメ”を演じている古川さんをぜひ見てみたいと思いました。さらに、今回はITベンチャーの若手社長役なんですが、古川さんは大学も理系の学部を卒業されていて、俳優になっていなかったら本当にIT社長の道を進んでたかもしれないという経歴もあって、彼の持っているバックグラウンドにリアリティがあるなと思いました」と起用理由を明かした。
人気漫画『シティーハンター』の中国での実写映画化プロジェクトなども手掛けている多賀氏だが、「中国のビジネスパートナーの方は決定権を持ってる人に若い方が多くて、日本より仕事のスピード感がすごく早いと思います」と実感しているそう。「『LINEの答えあわせ』にこじつけているわけじゃないんですけど、中国の方はビジネスの連絡も、全部WeChatでしてくるんです。こっちが電話に出られなかったら、時間がもったいないのでかけ直すなんてことはせず、すぐに音声メッセージが送られてきますね」と具体例を挙げる。
また、女性の活躍もめざましく、海外事業でさまざまな国の人と仕事する立場から見て、「バリバリ仕事をしてカッコいいと思う女性は、中国の方がとても多いです」とも話し、刺激を受けているそうだ。