俳優の古川雄輝が主演する連続ドラマ『LINEの答えあわせ~男と女の勘違い~』が、きょう2月1日から読売テレビ(毎週土曜24:58~)で放送。それに先駆け、日本と中国の大手動画サービスで同時配信される。

この“日中同時配信”というのは、ドラマにおいては異例の取り組み。実現の背景を、読売テレビで海外事業を手掛ける、編成局コンテンツビジネスセンターの多賀規恵プロデューサーに聞いた――。

  • (左から)古川雄輝、筧美和子、大西礼芳 (C)2020「LINEの答えあわせ」製作委員会

    (左から)古川雄輝、筧美和子、大西礼芳 (C)2020「LINEの答えあわせ」製作委員会

■ドラマを作るだけで終わらない

同ドラマは、東京カレンダーWEBで17年から連載され、No.1PV数を誇る人気連載『LINEの答えあわせ』を実写化するもの。東京のとある“1日料理教室”で出会ったITベンチャー社長(古川)ら、男女7人を中心に繰り広げられるLINEにまつわる恋愛模様を、男性側・女性側それぞれの目線から語り、そのエピソードから恋愛を成功に導くヒントを指南するという内容だ。

この原作に惚れ込み、2年前から交渉していたという多賀氏は「普通の漫画や小説と違い、本当に街の人がライターになって書いている小説というリアリティがすごく好きで、実写化したいというアプローチしたんです」と、ドラマ化のきっかけを説明。

それに加え、海外事業を担当する立場として、「ドラマを作るだけで終わらず、他の国でのリメイクなどコンテンツの最大化までを含めたプロジェクトを作ろうと思ったんです」と狙いを話す。東京カレンダーWEBの原作ドラマとしては、水川あさみ主演の『東京女子図鑑』(16年、Amazonプライム・ビデオ)が、すでに『上海女子図鑑』『北京女子図鑑』と中国でリメイクされ、現地で“東カレ原作”に一定の認知度があったことも背景にあった。

その海外展開として、読売テレビや系列各局での放送に加え、日本でTSUTAYAプレミアム、中国では日本のコンテンツファンを多く抱えるbilibili(ビリビリ)というプラットフォームで日中同時配信が決定(2月1日スタート、毎週土曜21:00最新話更新 ※日本時間)。中国で日本のドラマが同時配信されるのは、実は異例の取り組みだという。

中国では通常、外国のドラマ作品は、脚本や映像については審査が終了したものでないと配信されない。だが、日本で放送・配信されるのが終わって審査に回している間に、海賊版が横行してしまうという課題があった。これを解決するため、今作の製作委員会にbilibili、そして電通コンテンツビジネス・デザイン・センターのチャイナプロジェクトチームも参加し、日中同時配信を目指すという座組が作られた。

  • 上海で行われた「bilibili world 2019」 (C)2020「LINEの答えあわせ」製作委員会

■“複数恋愛”が望ましいとされない

bilibiliが製作委員会に入ったことで、同時配信できるだけでなく、中国でも受ける要素を作品に盛り込めるというメリットも。また、中国で放送・配信するドラマは “複数恋愛”を描くことがあまり望ましいとされないため、脚本の前のプロットの段階から、bilibiliの担当者と確認しながら作っていったという。

「日本だったら同時進行の恋愛もフィクションなので許されるんですけど、男の人の心がフラフラ揺れ動くのは中国の視聴者にとって受け入れ難いらしいんですよ。今回のドラマはLINEのやり取りが肝なのですが、『このLINEを送ったのは、あの人と完全に別れた後だから大丈夫です』とか、現地と確認しながら進めました(笑)。そういうところをきちんと説明しないといけないのは大変なんですけど、脚本家の方も(制作会社の)ROBOTの村上(公一)プロデューサーもみんなで面白がってやっていました」

一方のbilibiliとしても、今作を中国でヒットさせるため、積極的にプロモーションを実施。昨年10月に上海で行われたイベント「bilibili world 2019」には、主演の古川が登壇し、共演の主要キャストを発表するなどして、話題を作った。