一方で、現地語や英語の話せるスタッフが皆無だったことから、現地の人たちにシーンを理解してもらうため、水原自らが説明を行ったそう。「私がつたない英語で、向こうも英語が完璧なわけじゃないから、ほぼボディーランゲージで。もうパッションでやるみたいな感じでしたね(笑)」と熱量で乗り切った。
同行スタッフが少人数だったことから、このように臨機応変に対応する場面が多かったそうで、「みんな『自分が録音しなきゃ』『カメラ回さなきゃ』みたいな感じで、手作りだったので、すごく絆も深まりました。そこも、本当にドキュメントに近いんです」と、制作チーム全体の熱量も高かった。
そんな経験をしただけあって、「日本に帰ってきて、価値観は結構変わったと思います」と充実の表情。「カメラに映っていないところでもものすごいドラマが繰り広げられていたので、とにかく怖いものがなくなりました。あとは、その時に形が見えてなくても、まずは一歩踏み出して、自分から心を見せて壁を作らないことの大切さをすごく学びました」という。
さらに、「いろんな国に行くと常識がどんどん変わっていくから、自分が持っている概念がどんどん崩されては再構築してを繰り返して、頭が柔らかくなって、心や脳みそが拡張される感覚がありました。当たり前のことってないんだなって考えさせられて、いろんな視点が持てたから、そこはすごく良かったなと思います」と、得るものが大きかったようだ。
■すごくいい試練になった旅
今年30歳になる水原だが、「20代はチャレンジしたこともたくさんあるんですけど、わりと周りの人によって切り開かれていった道だったんです。それに、自分がやりたいことを結構守ってきました。でも30代は、とにかく恐れないことが大事だと思うんです。今まで、海外のオーディションは、英語でお芝居することにも慣れていないので、緊張していいパフォーマンスができなかったりして、わりと拒絶していたんですけど、今回の旅で言葉にとらわれないことが大事だと思いました。インターナショナルにもっと活躍したいと思っていた時にこの仕事が来たので、すごくいい試練になったと思います」と、一層のたくましさを身につけた。
あらためて今回の旅を振り返り、「本当に体を張って色んな国を旅した中で、かけがえない体験をさせてもらったので、見ている方にもその一部を共有して、世界の美しさ、人間の素晴らしさ、そういうものを感じてもらいたいです。絶景や、その国の文化も知れますし、“私たちはみんな人間なんだな”ってことを知って、歩み寄ることの大切さを感じられる作品になっていると思います」と見どころをアピール。今回はアジア編だが、「タイトルで“世界一周”と言っているので、シリーズとして続けていきたいなと思います」と意欲を示している。