VAIOは1月23日に、14型ディスプレイを搭載するモバイルノートPC「VAIO SX14」の新モデルを発表しました。
同時に12.5型ディスプレイを搭載する「VAIO SX12」も登場。VAIOのラインアップでは従来からあるSX14とSX12でありますが、「処理能力のSX14、モバイル性のSX12」という棲み分けを想定しているようです。とはいえ、VAIO SX14も本体の重さが1キロを切っており、常時の持ち歩きが十分に可能です。
今回はこの新しくなったVAIO SX14をレビューしてみたいと思います。
性能と美しさを兼ね備えた新しい14型ノートPC
搭載するディスプレイのサイズこそ14型ですが、VAIOは「13型ディスプレイ搭載ノートPCと同等のフットプリントに14型ディスプレイを搭載」と訴求しています。
実際にサイズを比較してみますと、VAIO SX14の本体サイズは約320.4(幅)×222.7(奥行)mm。競合他社の13.3型ディスプレイ搭載モバイルノートPC(例えばASUSのZenBook 13)の310(幅)×216(奥行)mmと比較するとと約1㎝ほど大きいものの、ほぼ同等といえる範囲でしょう。加えて、14型ディスプレイ搭載ノートPCの多くで本体の重さが1.3~1.4キロのモデルが多い中、VAIO SX14は最軽量構成で999グラム、それ以外でも1キロをわずかに超えるだけという軽量化を果たしています。
塗装を重ねた深みのあるレッド
VAIO SX14(に限らずVAIOの製品はそうなのですが)は、従来モデルで「勝色特別仕様」モデルを用意するなど、デザインも重視。今回登場するVAIO SX14(とVAIO SX12)でもその思想を継承しています。
その典型的なモデルが「RED EDITION」。天板、そしてキーボードフレームとパームレストを明るい赤色として、左右側面と正面(そして底面)の黒と合わせたカラーリングを施しています。天板パネルは四層構造で、最も下層はカーボンファイバーパネルを用い、その上にピンクメタリック塗装を施し、その上にレッド塗装を重ねています。さらに、最上層にはUVコーティングをかぶせることで、光沢のある表面となりました。
光沢のある外装パネルでは、往々にして本体を持った指や手のひらの脂がついて跡を残します。VAIO SX14もその例に漏れず、評価作業中私の脂は天板に容赦なくペタペタと後を残したのですが、拭き取り用のマイクロファイバクリーニングクロスが標準で付属するので、いつなんどきでも見た目を大事にしたいユーザーも、努力次第では天板をきれいな状態に保つことができます(ものぐさな私はそのままで使い続けましたが)。
パームレストも天板と同じカラーリングを施していますが、パネル素材にはアルミを用いています。このアルミに赤い塗料を染めているわけですが、VAIOの説明によると、特別な溶液で長い時間をかけて化学的に研磨することで表面の輝度を上げ、通常の倍の時間をかけて染めることで濃い色で仕上げたとしています。
「隠し刻印」で見た目すっきり
加えて、今回の新モデルから選択できるようになったデザインオプションとして、キーボードの「隠し刻印」が加わりました。開発に2年を要したこの隠し刻印は、キーボードのキートップに記した文字を「目立たなくする」ことで、キーボードの外観をALL BLACK EDITIONにあった「無刻印キーボード」に寄せるとともに、「キーが判別できないと使う自信がない」というユーザーでも使えるようにする工夫といえます。
VAIOで採用している通常のキートップでは、使用しているうちに擦れて見えなくなる印刷ではなくレーザー刻印を用いていました。レーザー刻印ではキートップの下に白色塗装の層を設け、レーザー刻印の部分で下の色を透かすことで文字を視認できるようにしています。
新開発の隠し刻印では、下層の色を白ではなく「黒に近いけれどキートップ上層の黒とはコントラストが異なる」色を特別に調合し、かつ、上層と組み合わせたのちに実施するレーザー刻印工程で下層が刻印されても大丈夫なように、もう一層下に重ねた三層構造になりました。
今回評価した機材も「隠し刻印」付き。遠目には無刻印に見える……と言いたいところですが、文字があることは分かります。ただ、コントラストが低いので、薄暗いところで使うと刻印がよく視認できません。中高年の人の中には視力が衰えるとともに「感度」も衰えて暗いところで見えにくくなるケースがあり、何を隠そう私も現在視力とともに感度が年相応にしっかり衰えていて、薄暗いところ、具体的には夕方近い室内でキートップの刻印が見えにくくなりました。
アルファベットキーは“体が覚えている”ので何とかなるのですが、PrintScreenやディスプレイ輝度変更などの機能キーはPCベンダーやモデルによって異なるため、キートップで場所を確認しないと今一つ自信をもってタイプできません。ああ、まさにこれは無刻印キーボード状態。
ということで、アルファベットキーは見ずに打てるけど、特殊キーの位置はやや不安……というユーザーにはぴったりですが、特に加齢に伴う目の感度の衰えを自覚しているユーザーは、通常のキートップ刻印を使うのがよろしいかと思います。