俳優の沢村一樹が主演するフジテレビ系月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(毎週月曜21:00~)が6日にスタートし、初回視聴率10.6%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と上々のスタートを切った。上戸彩主演で2010年に『未解決事件特命捜査』、翌11年に『特殊犯罪潜入捜査』としてヒットした人気シリーズで、18年の前作から沢村を主演に迎え、未来の犯罪を予測して捜査する「未然犯罪捜査班」(通称・ミハン)の活躍を描く新たなシリーズとして生まれ変わった。
このドラマの企画を担当するのは、フジテレビの稲葉直人プロデューサー。これまで映画『SP 野望篇/革命篇』(10年・11年)や、『テルマエ・ロマエ』シリーズ(12年・13年)、『信長協奏曲』(16年)など、大ヒット映画をプロデュースしてきたほか、昨年は深田恭子主演『ルパンの娘』のプロデューサーを務めるなど、様々なジャンルで意欲作を数多く手がけてきた。
そんな稲葉プロデューサーに、物語の作り方や今作にかける思い、そしてアクションシーンの秘密などを聞いた――。
■“ひっくり返り”を作るのが大変
――通常の刑事ドラマと違い、犯罪が起こる前の話が展開されるので、脚本作りが難しそうな印象を持ちます。
今作も浜田(秀哉)さんに脚本をお願いしているんですが、一緒に物語を作っています。まずドラマの全体的なストーリーや縦軸の謎、そこに各キャラクターがどう関わっていくか、というところから考えます。
1話単体で言うと、物語のパターンがあって、例えば危険人物は分かっているけど、殺すのは誰か分からない。Aか?Bか?と思わせて実はCだったという意外性を持たせるパターンとか、いくつかフォーマット的なものがあるので、その大枠をどれにするかを決めます。その後、どういう事件が起きるのかをはめ込んでいって細部を詰めていく感じですね。事件を未然に止める話なので、2~3回はひっくり返らないと1時間は持たないので、その“ひっくり返り”を作るのが大変です。
――そうすると、相当時間をかけて作ってるんですね。
“本打ち”(脚本づくりの打合せ)は、通常のドラマの4倍以上かかりますね。
■前作よりも縦軸の物語は強い
――今回の第1話は、冒頭から未来の衝撃的なシーンで始まって驚きました。
フラッシュフォワード方式(未来の出来事を物語中に組み込む手法)を採っていて、基本的に毎回、頭と終わりに未来の物語を入れていこうと思っています。その未来というのが、3月に開催される「東京サミット」という設定なんですけど、本当に井沢(沢村一樹)は香坂(水野美紀)を殺してしまったのか 、テロとは何なのか、一体未来で何が起きているのか、という縦軸の物語を、脚本の浜田さんと一生懸命考えて作っています。
2話以降もめくるめく展開があるんですが、刺激を用意しつつ、すべてのピースをパチパチと最後に合わせていく作業がしびれますね。自分で言い出しておいてなんですけど、ただでさえ1話を作るのに4倍も5倍もかかるのに、縦軸の話の見せ方を考えるのにすごく骨が折れます。
――全体の物語はもう考えてあるんですね。
そうですね、全体の大枠は考えてあります。あとは細かい見せ方ですよね。キャラクターの見え方を反転させたり、立場を逆転させたりとか、細かい部分を詰めている段階です。驚かすのはいいんだけど、整合性はちゃんと取れているのか。時制とか関係性とか…頭使うなぁ!って思いますね(笑)。今作も1話完結だけじゃない構成なんですが、前作よりも縦軸の物語は強いですよ。
――浜田秀哉さんはどんな脚本家ですか?
とってもロジカルですね。僕も基本的にロジカルなんですけど、浜田さんと仕事する時はロジカルな部分は任せちゃっていますね。たまに「整合性考えてくださいよ」って怒られますが(笑)、浜田さんに任せていれば大丈夫だって思っています。だから僕は思い切ったアイデアやキャラクターの見せ方、アクションの部分を浜田さんに投げるように心がけています。役割分担的にはそういう感じで、浜田さんはどう思っているか分からないですけど、それが僕はすごく心地よくて感謝しています。