きょう6日に放送されるフジテレビ系月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(毎週月曜21:00~)を皮切りに、1月期の冬ドラマが続々とスタート。テレビドラマの脚本家や監督などの制作スタッフに精通する「テレビ視聴しつ」室長の大石傭平氏が、過去作や放送枠に焦点をあてながら、この冬注目のドラマを紹介する。
脚本家という視点でまず注目したいのは、福田靖氏が執筆する、桐谷健太&東出昌大W主演の『ケイジとケンジ』(16日スタート、テレビ朝日系 毎週木曜21:00~)。福田氏は、江口洋介主演『救命病棟24時』(フジテレビ系、99年~)を皮切りに、木村拓哉主演『HERO』(同、01年~)、伊藤英明主演『海猿』(同、04年~)、福山雅治主演『ガリレオ』(同、07年~)、沢村一樹主演『DOCTORS~最強の名医~』(テレ朝系、11年~)など、数々の大ヒットシリーズを手掛けてきたほか、福山雅治主演の大河ドラマ『龍馬伝』(NHK、10年)や、安藤サクラ主演の朝ドラ『まんぷく』(同、18年)など、国民的ドラマでも手腕を発揮したヒットメーカーだ。
今回は『HERO』の検事モノと、『ガリレオ』の刑事・謎解きモノのハイブリッド版というところだろうか。どちらも得意分野の設定を使ってオリジナルドラマを展開させる。個性的なキャラクター描写と、ウィットに富んだ会話劇も得意とする脚本家なので、気軽に、そしてじっくり楽しめる作品になりそうだ。
■屈指の医療知識で新たな分野へ
脚本家でもう1人注目したいのが、天海祐希主演『トップナイフ―天才脳外科医の条件―』(11日スタート、日本テレビ系 毎週土曜22:00~)の林宏司氏。これまで『救命病棟24時』(02年の第2シリーズ、共同執筆)や、坂口憲二主演『医龍』(フジ系、06年~)、東山紀之主演『GM~踊れドクター』(TBS系、10年)、玉木宏主演のSPドラマ『事件救命医~IMATの奇跡~』(テレ朝系、13年・14年)、山下智久主演『コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―』(フジ系、08年~ ※第2シリーズまで)と、多くの医療ドラマを手掛けてきた。
中でも『医龍』=心臓外科、『GM~踊れドクター』=総合診療、『コード・ブルー』=ドクターヘリと、同じ医者が主人公のドラマでも、それぞれ視点やテイストが全く異なる物語に挑戦してきており、これまでに培った医療の知識は、日本の脚本家の中では右に出る者はいないと言っていいだろう。
今回は脳外科がテーマと、こちらもこれまで見たことのない視点で、新たな医療モノが見られそうだ。また『離婚弁護士』(フジ系、04年~)や『BOSS』(同、09年~)シリーズでも林氏とタッグを組んだ、相性抜群の天海がどんな姿を見せてくれるのかにも注目したい。
■月9らしからぬショッキングな描写
さらに、『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』の浜田秀哉氏も挙げておきたい。最も印象に残っている作品は、相葉雅紀主演の『ラストホープ』(フジ系、13年)で、断片的な映像が挿入されていく複雑な構成や、最終回で明かされる衝撃的な主人公の境遇など、かなり振り切った内容だった。その中で最も画期的だったのは、医者同士の“カンファレンス”の面白さ。視聴者になじみのない医療用語を多く含んだ内容だったにもかかわらず、会話劇としての面白さを出した点が新しかった。
前作の『絶対零度』(18年)を振り返っても、中盤で仲間の裏切りと死が待ち受ける構成、月9らしからぬショッキングな描写、そして仲間たちが会議室で繰り広げる会話劇の面白さなど、浜田氏の得意とする部分が十二分に発揮されていた。今作はそこからさらにパワーアップした作品になっていることを期待したい。