脳波をリラックスさせるスマートバンド「muse」

InteraXon(インタラクション)は、脳波をコントロールしてメディテーション(瞑想)をサポートするスマートデバイス「muse」シリーズを手がける、スリープテック(快適な睡眠をサポートするITテクノロジー)を得意とするカナダのスタートアップです。

CES Unveiledの会場には、同社が直近で販売しているハードタイプのヘッドバンドを採用した「muse 2」とソフトタイプの「muse S」を展示していました。

  • 新製品のソフトなバンドを採用する「muse S」

  • 先駆けて発売されたハードタイプのバンドを採用する「muse 2」

各製品には、電気信号で脳波を測定する「EEG」と呼ばれるセンサーと電極が内蔵されています。ヘッドバンドを身に着けている時に、脳の活動をトラッキングしながら静かに心を落ち着かせる瞑想状態に導くための電気信号をニューロフィードバックとして返すことにより、自律神経を安定状態に導きます。

同社のスタッフの説明では「このようなトレーニングを毎日5分間、5日以上続けて行うことで、メディテーションの効果が現れてくる」とのこと。気分をリラックスさせれば心地よい睡眠が得られる、という理屈です。ちなみに、どちらの製品もLEDによる光学方式の心拍測定用センサーを内蔵しているので、トレーニングの際に脳波と心拍が同時に測れます。

CES Unveiledのとても賑やかな会場でも、時差ぼけで変に高揚した気分をリラックスできるのか、新製品のmuse Sを身に着けて試してみました。5分間のトレーニングはiOS/Android対応のアプリに組み込まれていて、ボイスナビゲーションを聞きながら、ゆっくりと気持ちを落ち着かせます。

  • 筆者もmuse Sを体験してみました

  • データを見ると、騒々しい会場の中でも気分がリラックスできたようです

ヘッドホンを身に着けると、静かな音楽をバックに、女性の声でボイスガイドが聞こえてきます。たった1回のトレーニングですぐに効果が出るわけがないのに、英語の説明がよく分からなかったからでしょうか、椅子にゆったりと腰掛けて5分過ごしたあとは体がぼんやりと心地よくなって眠気も出てきました。筆者も、このレポートを仕上げたあとはよく眠れそうです。

同社のスタッフは「ぜひ日本市場にも進出したい」と熱く意気込みを語ってくれました。2019年、フィリップスの「SmartSleep」がようやく日本にも上陸したので、2020年は国内でもスリープテックが盛り上がりそうです。muse Sは装着の負担感がとても少なかったので、あとは日本の暑い夏に向けた対策ができたらヒットするのではないでしょうか。

日本の公道も走れる一人乗り電動スクーター「LOM」

和歌山県に拠点を置くスタートアップのglafitが、一人乗りの電動式スクーター「LOM=Last One Mile」をCES Unveiledに出展して注目を浴びていました。

  • glafitが開発する一人乗りの電動式スクーター「LOM=Last One Mile」

LOMは、電動スクーターとキックボードの中間のような立ち乗り二輪車です。フロントライトを備える本体にはナンバープレートが装着でき、第一種原動機付自転車としても登録が可能。残念ながら、CESの屋内会場では試し乗りできなかったのですが、前輪12インチ、後輪10インチの電動バイク用タイヤをセットし、両足を乗せて運転できるため、高い安定感が得られるそうです。ハンドルやハンドルポストをコンパクトに折りたたんで、自動車のトランクに積んで移送することもできます。

  • 本体はコンパクトに折りたためます

最大時速は約25km/h。本体に積む電源を約3.5時間で満充電にしたあとは、約40kmの距離を走行できます。商品として発売する時期には専用アプリを用意して、本体のバッテリー残量や航続可能距離を確認したり、電源のオン・オフのリモート操作が可能になるそうです。

同社は、2017年に誕生したばかりの若いスタートアップです。LOMの商品化に向けた展開は今後、Kickstarterのクラウドファンディングを舞台に、北米市場への投入を視野に入れた展開を進めていきたいとスタッフが話していました。小売価格は1,300ドル(約14万円)を予定しています。

耳に付けて目立たない聴覚支援イヤホン

韓国のOlive Unionは、聴覚支援機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホン「Olive Smart Ear X」をCES Unveiledで発表しました。北米の販売価格は600ドル(約6.4万円)を想定しています。

  • 完全ワイヤレスイヤホンタイプの聴覚支援ウェアラブル「Olive Smart Ear X」

  • 片耳タイプの「Olive Smart Ear」も先行発売されています

両耳タイプの密閉型エンクロージャーを搭載するイヤホンは、スマホとペアリングして音楽を聴くこともできます。同社のスタッフが「聴覚支援用のデバイスであることをなるべく意識させないスマートなデザインを重視した」と語る通り、スタイリッシュなオーディオイヤホンのようなルックスに仕上がっています。

専用アプリ「Olive Smart App」を使って静かな場所で5分前後の聴覚測定プログラムを行うと、ユーザーの正確な聴覚データが解析・取得できます。こちらのデータに合わせて最適な補正をかけることによって、会話の声が聞きやすくなります。通常の音楽リスニング時には約7時間の連続再生が可能。ハンズフリー通話もできます。年内には北米と日本で、本機を含むOlive Unionの製品投入を控えているそうです。