世界最大の総合エレクトロニクスショー「CES」が、アメリカ・ラスベガスで1月7日から10日まで開催されます。開幕の2日前には、イベントのメイン会場のひとつであるマンダレイ・ベイ ホテルで前々夜祭「CES Unveiled 2020」が開催されました。

CES Unveiledの会場を埋め尽くしたさまざまな展示のなかから、筆者が注目したイケてる最新家電やテクノロジーを現地からレポートしたいと思います。

水量や水温を声でコントロールできるスマート蛇口

キッチン、バスルーム、家庭の水道まわりの総合住宅機器を製造販売するアメリカのメーカー・Moen(モーエン)が、GoogleアシスタントやAlexaに対応するスマート蛇口「U by Moen Smart Faucet」を発表。今年の第1四半期(1~3月)に北米で発売を予定する商品として出展していました。デザインやサイズが異なる9つのバリエーション商品が展開されるそうで、蛇口とAC電源の単体パッケージとして購入できるDIY商品として、500ドル前後での販売を見込んでいます。

  • CES 2020で見つけた魅惑のスマート家電

    Moenのスマート蛇口「U by Moen Smart Faucet」

本体のセットアップや操作用として「Moen Network」アプリが提供されます。こちらの蛇口をホームネットワークに接続し、グーグルやアマゾンのスマートスピーカーにペアリングすると、音声による操作が可能になります。本体に内蔵する光学センサーでハンドジェスチャーも読み取ります。

  • ジェスチャー操作で水を出したり、止めたり近接操作ができます

蛇口をひねって水を出したり止めることだけでなく、温度設定も音声やアプリによる連係操作で行えます。水筒やケトルなど、水を入れる容器の容積にぴったりな水量をあらかじめセットしてから出すこともできます。例えば、最初に音声操作で「水筒の水」を出すようにリクエストしてから、シンクに水筒をセットしてハンドジェスチャーで水を流すといった使い方になりそうです。

デモンストレーションを見た限りでは、手を使った方が早いようにも思いましたが、スマートホーム暮らしを夢見る30代前後のカップルから好評を博しているそうです。ちなみに、同社のスマートIoTデバイスのシリーズ「U by Moen」では、シャワーの温度や水量を音声でコントロールできるスマートシャワーも2019年に商品化しています。

音楽が聴けるシャワーヘッドもお目見え

水回りを得意とするアメリカの住宅機器メーカー・Kohler(コーラー)は、シャワーヘッドに防水対応のワイヤレススピーカーを一体化した「MOXIE Showerhead」を2020年中頃の発売に向けて開発を進めています。

  • Kohlerのシャワーヘッドとスマートスピーカーを一体化した「MOXIE Showerhead」

モノラル仕様のワイヤレススピーカーは、シャワーヘッドから取り外して使うこともできます。Bluetoothのみのモデルが99ドル、Alexaを搭載するWi-Fi/Bluetooth対応のモデルが159ドルで発売予定。カラバリはブラックとホワイトの2色を用意。シャワーヘッドと一体になった金具は、別途オプションで用意されます。

  • スピーカー部分は取り外しでき、置き型のワイヤレススピーカーとしても楽しめます

注目なのが、スピーカーのサウンドチューニングにはHarman/Kardonが携わっていること。1回の充電で約7時間の連続音楽再生が可能。スピーカー本体はIP67の防水対応としています。

コーラーは、昨年のCESでもAlexaによる音声操作にも対応するスマートミラーや暖房便座付きトイレなど、斬新なスマート家電を発表しました。プロダクトデザインが若干大味な感じもするので、多少のローカライズが必要かもしれませんが、自由な発想をベースに開発されたスマート家電のKohler Connectシリーズも日本上陸も期待したくなるアイテムです。

日本のスマート家電の雄・Shiftallが2つの新コンセプトモデルを発表

日本のスマート家電メーカー・Shiftall(シフトオール)は、今年のCESでふたつのコンセプトモデルを発表しました。

ひとつは、作り置きした料理の冷蔵や保存をモバイルアプリから簡単に操作できる調理家電「Cook'Keep(クッキープ)」です。年内の商品化に向けて開発を進めています。

  • Shiftallの調理家電「Cook’Keep(クッキープ)」

炊飯ジャーのような姿をした本体の中には、取り外しができる金属製の受け皿があります。ここに作りたての食事を入れて、ゆっくりと10度未満~5度前後の温度まで冷やして保存します。反対に、外出先からアプリを使った遠隔操作により、最大90度まで温めることもできます。

  • 内側の金属製の容器に食事を入れて冷却・加熱します

本体のサイズ感がやや小さく、保存できる食事は1人前ぐらいとしています。同社のスタッフに理由を聞くと、共働きの家庭に暮らす子どもに暖かい食事を作り置きして食べさせたい…と考える家族をターゲットユーザーとして想定した商品だからだそうです。筆者も、親が平日昼間は働きに出ている家庭で育ちましたが、兄弟がいたので、商品化の際にはなんとか2人分の食事を保存できるサイズまで大きくしてほしいと思いました。

もうひとつの製品は、プロジェクターを内蔵するペンダント型照明器具「BeamAR(ビーマー)」です。

  • Shiftallのペンダント型照明器具「BeamAR(ビーマー)」

800ルーメンのLEDで明るくダイニングテーブルなどが照らせるだけでなく、テーブルの上に置いた料理を光学センサーで認識して食材の情報や調理手順を投射したり、特定の図柄が書かれたカードを認識してニュースや天気予報を表示するといった使い方も想定しているそうです。プロジェクションマッピングのように白い皿に模様を描いて映し出したり、料理の盛り付けを華やかに見せる機能なども用意されたらより楽しく使えそうです。

  • 物体を認識して、関連する情報をプロジェクターで表示するような使用イメージを想定しています

今回Shiftallが発表したふたつのコンセプトモデルは、ともに2020年内の商品化に向けて開発が進められています。