――「警察学校」という特殊な舞台のドラマなので、取材などもされたのでしょうか?
このドラマを木村拓哉でやると決まった3日後くらいに、本人から連絡があったんです。彼は行動がいつも早いんですけど(笑)、「ちょっと知り合いがいるから警察学校に行く」って。会社に内緒で行くっていうので、自分も会社に内緒で(笑)。ほかにもいましたけど、ほぼ2人っきりで警察学校に行きました。
――台本ができ上がってない当時に行かれたんですか?
そうです。君塚さんとまだ何回か打ち合わせをしているときですね。警察学校はこんなことしているところなんだっていう簡単な見学をさせていただきました。1日の流れだとか、授業の仕方とか、生徒たちのクラス分けとか、ひと通りお話を聞いて、なんとなく概要をつかんで帰りました。それでその後にスタッフと何回か行きましたね。卒業式も見せていただきました。
――そうすると、撮影の風景やシーンなどはリアルなものなんですね。
そうですね、かなりリアルだと思います。訓練は各県で若干違いますが、「点検」と言って装具を全部出してチェックしたり、行進を毎日やって、卒業のときにはしっかりそろうように訓練したりというのは、ほとんど現実に沿っているはずです。
■女性キャストはヘロヘロに
――舞台あいさつで、出演者の皆さんが「1日中撮ったのに何秒かしか使われてなかった」と言っていましたが、本当に1日中訓練シーンを撮っていたんですか?
おそらく盾を持って走るシーンのことだと思うのですが、本当にフラフラになったところを撮りたかったので3周くらいグラウンドを走らせてから撮ったりはしました(笑)。盾は本当に重くて、女の子はかなりかなりヘロヘロだったと思います。連帯責任なので助け合って、他の人の盾を持ってあげるというのも、実際にやることがあるそうです。
――カットをかけないで続けるということも出演者の方が言っていましたが、どういう意図があるんですか?
みんなのリアクションを撮りたいときは、長めに続けたりしますね。放っておくと続けるので、風間が「何か質問があるものは」と言ったら、生徒が「はい」と手を挙げて本当に質問をしだしたり…。だから面白くなってこっちももうちょっと見とこうかなと思って(笑)
●中江 功
1963年生まれ。法政大学卒業後、88年にフジテレビジョン入社。これまで演出を手掛けた主な作品は『愛という名のもとに』『ひとつ屋根の下』『若者のすべて』『ピュア』『ギフト』『眠れる森』『空から降る一億の星』『Dr.コトー診療所』『プライド』『ようこそ、わが家へ』など。映画『冷静と情熱のあいだ』『シュガー&スパイス 風味絶佳』『ロック ~わんこの島~』の監督も務める。