――お互い共演してみての印象はいかがでしょうか。

勝地:3歳しか年齢が離れていませんが、僕は子どもの頃から見ていました。現場では、どんな球を投げてもリアクションしてくれます。すごく助かりますし、さすがですね。

伊藤:圧倒的に主役のセリフの量が多いんですが、ほぼパーフェクトなぐらい頭に入っているので、やっぱりすごいと思いました。初日に「どうしよう、大変だからな。ちょっと自信ない」という雰囲気を出していたんですが、ふたを開けてみたらまったく感じさせないくらい。現場では、「NGを出しても切り替えて、慰め合ってドンマイって言いながらやっていこう」って話していました。

勝地:そう、それをみんなで合言葉にして。最初は2人のシーンから始まってだんだん仲間が増えてくるんですけど、みんなにそれをちゃんと伝えています(笑)。

伊藤:セリフを間違えてもギスギスするのは止めましょうねって(笑)。だからすごい良い現場だよね。

勝地:めちゃくちゃ良いです。空き時間も和気あいあいとしすぎて、1日撮影し終わった後に「なんでこんな疲れているんだろう」と思うぐらいヘトヘトです(笑)。

伊藤:待ち時間に黙っていたら、もうちょっと疲れが軽減されているのにね。待ち時間の方が楽しくてしゃべっちゃうという(笑)。

■これだけみんなで一緒に練習している現場もない

――どんな話をされているんですか。

勝地:もちろんバカ話もしていますが、本当に「これだけみんなで一緒に練習している現場もない」と思うぐらいセリフの練習をしています。セリフをポッと誰かが言ったら、「あ、やろうか」ってみんながやりだして。安心感がある現場です。後はたわいのない話をするという感じです。

伊藤:でも、「どんな会話をしてますか」と聞かれて、思い出せる会話がないね。

勝地:だから中身がある会話じゃないのかもしれない。

伊藤:本当に中身のない会話で疲れているということが今分かりました(笑)。ただ、セリフ合わせはすごいやっていますね。だいたいは涼くんがしゃべりだして、周りが乗っかっていくことが多いです。

■大学に行かなかった勝地、行った伊藤

――タイトルにちなんでお聞きしますが、過去の行動で「破天荒だったな」と思うエピソードはありますか。

勝地:この仕事を選んでいる時点で破天荒な気がしてならないですけど、大きな決断だったなと思うのは、大学に行かなかったことですかね。それ以外の破天荒だと、記事では使えないことばかりで、言えないです(笑)。

伊藤:僕は逆に大学まで行きましたけど、大学4年生当時、大河ドラマや連ドラで超忙しい中、1つも単位を落とせない状況でした。そこの時期は、合間の楽屋でレポートとかをずっとやっていたり、1週間は7日じゃ足りないというぐらい本当に破天荒な日々でした。

勝地:え~、それはすごいですね。

――違った選択ではありますが、お2人ともまさに破天荒な選択だったんですね。

伊藤:どっちも破天荒ですね。

勝地:そうですね。いや、その時期は伊藤さんにしか経験できないことですから、本当にすごいと思います。

――最後に視聴者の方々に見どころをお聞かせください。

勝地:僕は奥田さんの説明はぜひ、見て欲しいです。財務の担当なので、お金についての説明はこっちが聞いていても、「何を言ってるんだろう」というぐらい(笑)。本当に難しいセリフをサラッと言ってるんです。

伊藤:涼くんは、待ち時間の雰囲気と芝居をしている雰囲気がまんまだなと感じるときがあります。それは素晴らしいことで、はまり役なんだろうなと。だからご本人にも、破天荒な部分がきっとあるんじゃないかと思います(笑)。

勝地:全部つくっているんですよ、待ち時間も。

伊藤:こういうところもなんか本当に雄司っぽいですよね(笑)。自然に乗っかっている感じがするので、視聴者の方もすっと物語の世界に入っていけるんじゃないでしょうか。奥田が雄司に「は?」と思うシーンは、台本の3倍は「は?」って返してしまう芝居をしてくれますので(笑)、すごくやりやすいです。楽しくできていることが、視聴者の方にも伝わってくれればうれしいです。

■勝地涼
1986年8月20日生まれ、東京都出身。2000年にドラマ『千晶、もう一度笑って』でデビュー。その後映画・ドラマ・舞台様々な作品に出演し、2005年には映画『亡国のイージス』で第29回日本アカデミー賞新人賞を受賞した。映画『少年メリケンサック』(09)、『コドモ警察』(13)、『バンクーバーの朝日』(14)、大河ドラマ『篤姫』(08)、『八重の桜』(13)、『SUMMER NUDE』(13)、『ヒモメン』(18)、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(19)などに出演。

■伊藤淳史
1983年11月25日生まれ、千葉県出身。子役として様々な作品に出演し、『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジ)の「仮面ノリダー」でチビノリダー役として知名度を上げる。映画『鉄塔 武蔵野線』(97)で初主演、主演映画『独立少年合唱団』(00)が、ベルリン国際映画祭のアルフレート・バウアー賞を受賞したほか、数々の賞を受賞。2015年公開の『映画 ビリギャル』での演技により、第39回日本アカデミー賞優秀助演男優賞に輝いている。ほか、ドラマ『電車男』(05)、『チーム・バチスタの栄光』シリーズ(08~14)など、様々な作品で主演・助演問わず活躍している。

■『破天荒フェニックス』(テレビ朝日系 2020年1月3日・4日23:15~、5日23:10~ ※一部地域除く)
2018年9月に発売されて以来、たちまち重版、異例のヒットとなったビジネス小説『破天荒フェニックスオンデーズ再生物語』(田中修治・著/幻冬舎刊)。誰もが口をそろえて「絶対に倒産する」と断言した大赤字のメガネチェーンを買収した1人の若者が、仲間と力を合わせて絶体絶命のピンチを何度も乗り越え、世界進出するまでを描いた“ウソみたいなホントの話”を、主演・勝地涼で3夜連続ドラマとして実写化。