アヴェンタドールとウラカンで雪道を走破!

翌朝は、夜明けと共にアルプスのワインディングに挑戦。筆者のクルマはなんと、あの「アヴェンタドールSVJ」だと告げられた。全長4,943mm、全幅2,098mm(!)、全高1,136mmのボディーサイズや、背後に装着された巨大なリアウイングもそうだが、背中で咆哮する最高出力770ps/8,500rpm、最大トルク720Nm/6,750rpmの巨大な6.5リッター自然吸気V12エンジンと7段AMTシングルクラッチトランスミッションを、果たして雪と氷のワインディングで制御できるのか、ちょっと心配になる。

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    アルプスのワインディング路

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    「アヴェンタドールSVJ」に乗ることに

タイヤはピレリのスタッドレス「SOTT ZERO3」で、リアタイヤのサイズは355/25R21。一体、いくらするのだろう。停止状態から時速100キロまでの加速(ゼロヒャク加速)は2.8秒、最高速度は時速350キロ以上。デビュー当時、ニュルブルクリンク北コースで6分44秒台という記録をたたき出し、量産車最速を誇ったこのクルマで、筆者は「ストラーダ」モードに設定し、ATモードで恐る恐るアクセルを踏み込んだ。

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    「アヴェンタドールSVJ」が装着していたピレリのスタッドレス「SOTT ZERO3」

アルプスのV字谷の路面は絶えず日陰になっているため、雪というよりもガチガチのアイスロードに近い。トレッドの幅が合わず、左右どちらかのタイヤが轍とズレるので、そのたびに車体が持っていかれる。目線が低いため、眼前に迫る雪の壁やガードレールとキスしてしまわないか、心臓が喉まで上がってくる。しかも、アヴェンタドールは自動変速時に「どっこいしょ」というほどの大きなタイムラグとショックがあり、変速が終了した時の車体の動きに身構えてしまうほどだ。やはり、このクルマはサーキットでしか本領が発揮できないのかもしれない。

オーストリアとの国境に程近い「Riva di Tures」にたどりついたころにはヘトヘトになり、シザースドアを上げてクルマを降りた時は、無傷でここまでやって来れたことにホッとした。でも、こんなファンタスティックな体験を授けてくれたランボルギーニ という会社には、感謝しかない。

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    「アヴェンタドールSVJ」でアルプスに挑戦し、「Riva di Tures」に無事到着

午後から乗ったのは、イエローの「ウラカンEVOスパイダー」。背後に搭載する自然吸気V10エンジンは、最高出力640ps、最大トルク600Nmを発生し、ゼロヒャク加速3.1秒、最高速度325キロを実現するオープンモデルだ。すでにさまざまなシチュエーションで何度も乗ったウラカンの高性能バージョンだが、シフト制御やボディーのサイズ感が馴染みやすく、筆者が最も好きなスーパーカーでもある。

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    午後からは「ウラカンEVOスパイダー」に試乗

アヴェンタドールから乗り換えたという安心感と、走行中でも17秒でオープンにできるイージーさ、体にピタリとフィットするバケットシートとシートヒーターにより、寒さを感じることは全くなく、アルプスの景色を眺めながらのドライブを楽しんだ。

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    「ウラカンEVOスパイダー」でアルプスの景色を堪能した

ウラカンEVOには、車両がドライバーの次の動きとニーズを読み取る「LDVI」と呼ばれる四輪操舵システムが組み込まれている。「スポーツ」モードを選択し、広大な雪の広場でステアリングを切ったままアクセルを踏みつけると、四輪ドリフト状態をキープしながら思い通りの定常旋回ができるのだ。ファイティングブルで豪快に雪煙を巻き上げながら、至福の瞬間を味わった。

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    雪上の四輪ドリフトは至福の体験

数時間にわたって雪のアルプスロードをドライブしたあとは、350キロ先にあるサンターガタのランボルギーニ本社へ向け、全車が隊列を組みながら帰路につく。対向車は笑顔やパッシング、クラクションなどで我々の姿を面白がってくれる。

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    隊列を組んでランボルギーニ本社へ

しかし、我々を楽しませてくれたスーパーカーたちが、今後も同じ姿で生き続けられるほど、世界の環境は甘くない。こうした状況に対しては、ランボルギーニも会社としてすでに対応しつつあるという。本社工場や博物館見学では、ランボルギーニのサステナビリティーに関する見解をじっくりと学ぶことができた。その点については別稿で紹介する。