ランボルギーニから雪のアルプスでのクリスマスドライブに誘われた。クルマは「アヴェンタドールSVJ」など、同社の最新モデルを中心とする贅沢なラインアップ。ナポレオンが馬(ロバ?)で超えた極寒のアルプスに「ファイティングブル」(暴れ牛)で挑んだ。
「我々のホームグラウンドであるサンターガタへ、ようこそ。そして、ランボルギーニが提供する全てのモデルレンジに乗り、スペシャルルートを走る2日間のメディアトリップ“クリスマスドライブ”に参加していただき、2019年の弊社の成功をお祝いしましょう」
12月初旬、こんな魅力的なエアメールがイタリアから届いた。ボローニャ郊外サンターガタにあるランボルギーニ本社をベースとする国際試乗会の招待状だ。行程は2泊3日。初日の午後からは本社に併設された博物館と工場を見学し、工場内の特設ディナー会場での歓迎会に参加した。翌日からの2日間は、350キロ先にあるイタリア北部のアルプスに向かい、スノーロードの走破に挑んだ。
用意されたクルマは、こういったシチュエーションにぴったりのスーパーSUV「ウルス」(4台)をはじめ、スーパースポーツカーのトップモデルであるV型12気筒(V12)エンジン搭載の「アヴェンタドールSVJ」(1台)、V10エンジン搭載の「ウラカンEVO」(スパイダー含め4台)というランボ最新のモデルたち。参加者は本国イタリアのメディアをはじめ、中国「カー&ドライバー」誌のDavid氏(初日にペアを組んだ)、ロシア「オートパノラマ」誌のワシーリ氏、カナダのTV局女性記者、ドイツの超イケメン記者、そのほかに米国、スペイン、日本からの筆者など、今年の販売台数が良好な上位8カ国からやってきた12名のジャーナリストたちだ。
「ファイティングブル」(暴れ牛)のスーパーカーで雪のアルプスに挑むという今回のイベントは、200年ほど前、軍隊を引き連れて馬(実際はロバだったらしい)でアルプスを越えたナポレオン・ボナパルトの行軍に似て、チャレンジングかつスリル満点だ。
ウルスで一路、アルプスへ
試乗のスタート地点は、我々の宿舎となったモデナの5つ星ホテル「Rua Frati 48」。また薄暗い午前7時、ホテル前にずらりと並ぶスーパーカーたちの姿は、それだけでスペシャルな見ものだった。
我々“日・中”アジアチームが担当したのは、4.0リッターV8ターボ(最高出力650ps/最大トルク850Nm)を搭載する白のウルスだった。最初のドライバーは、北京から来たDavid氏。あわただしくナビの設定を行い、道路の両側に駐車したクルマのせいでさらに狭くなった路地を抜けたり、朝の通勤ラッシュで大渋滞の市内をノロノロ走行したりして、アウトストラーダ「E22」に合流したころには、各車はてんでバラバラ。コンボイを組み、ハンディトーキーで連絡を取り合いながらの移動が予定されていたのだが、この辺りはさすが、イタリアンな試乗会である。
高速道路上では「ストラーダ」モードにしておけば、静かで快適なドライブが可能になるので、全く問題なしだ。遥か先にシルバーのウルスを認めたとき、ダイちゃん(前出のDavid氏を私はこう呼ぶことにした)はいきなり「スポーツモード」に入れ替え、V8の快音を発しながら一気に追いついた。イタリアの高速道路の制限速度は130キロ。数多くの大型トラックを追い抜いたが、日本のように追い越しレーンに入ってくることは絶対にないので、とても安心できる。
途中のサービスエリアで乗り換えをしながら約300キロ走った後は一般道へ降りて、この日の宿舎であるアルプスの麓ボルツァーノ地方の「Hotel Petrus」に到着。すぐにリフトに乗り換え、標高2,227mのスキーリゾート「Plan de Corones」に登る。360度の見晴らしを誇るヨーロッパアルプスの絶景に見惚れていると、なんとそこにはオレンジに輝く「ウラカンEVO」が待っていた。
3つ星シェフのNorbert Niederkofler氏が経営するレストラン「ALPINN」で料理とワインを楽しんだ後は、夕方から地元ブルニコ市内で開催中のクリスマスマーケットも体験。ドイツ語を話す地元の人たちと、ホットワインで乾杯しながら素敵な夜を楽しんだ。