現在放送中の「仮面ライダー」シリーズ最新作『仮面ライダーゼロワン』。AIロボ=ヒューマギアがさまざまな職業に就き、社会に浸透した世界を描く本作では、ヒューマギアを開発する飛電インテリジェンスの社長となった主人公・飛電或人(演:高橋文哉)、暴走したヒューマギア=マギアに対抗する特務機関「A.I.M.S.(エイムズ)」、そしてヒューマギアに悪の魂を吹き込むテロリスト集団「滅亡迅雷.net」の3者による戦いが繰り広げられている。

  • 井桁弘恵(いげた・ひろえ)。1997年2月3日生まれ、福岡県出身。数々のCMに出演し、女性ファッション雑誌のモデルとしても活躍。女優として映画『デスフォレスト 恐怖の森5』『ひだまりが聴こえる』『4月の君、スピカ。』などに出演。『イソップの思うツボ』(2019年)で主演を務めた。ドラマ出演は『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『極道めし』『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』など。特技はテニス・博多弁・美味しそうに食べること。撮影:大門徹

いよいよ12月21日には、その『仮面ライダーゼロワン』と、平成"最後"の仮面ライダー『仮面ライダージオウ』の作品世界が融合する映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』が全国公開される。タイムジャッカー・フィーニス(演:生駒里奈)によって歴史改変され、人間たちがヒューマギアたちによって支配されているという仮面ライダーゼロワンの世界を舞台に、アナザーゼロワンの登場によりゼロワンの力を失ってしまった飛電或人は、仮面ライダージオウの常磐ソウゴ(演:奥野壮)と共に"すべてが始まった日"の12年前にタイムトラベルし、事件の真相に迫っていく。

今回のインタビューは、『仮面ライダーゼロワン』で「A.I.M.S.」の技術顧問にして、仮面ライダーバルキリーに変身する刃唯阿(やいば・ゆあ)を演じる井桁弘恵が登場。放送から3か月を経ての手ごたえや、テレビシリーズとはまた異なる展開を見せる映画最新作の見どころを聞いた。

――放送からおよそ3か月が経ち、まわりからはどんな反響が聞こえてきましたか?

やっぱり第3話「ソノ男、寿司職人」で最初に変身した時の反響が大きかったですね。変身した後の仮面ライダーバルキリー ラッシングチーターも「かっこいい!」という声をたくさんいただきました。バルキリーのスピーディーなアクションもかっこいいので、褒めてくださる方が多いんです。あと、変身ポーズですね。唯阿は変身する時にプログライズキーをクルクル回すのですが、「あれはどうやるんですか?」とよく聞かれるようになりました。

――変身ポーズはどのようにして生まれたのでしょう。確かにキーを回すあのアクションはかなり難しそうに見えます。

アクション監督の渡辺淳さんとスーツアクターの藤田慧さんと一緒に考えました。なかなか一発では決まらないです(笑)。現場では「次お願いします!」という感じで、撮りなおしになることが多いですね。

――クールな唯阿のキャラクターは、井桁さんがいままで演じてきた人物や、実際の井桁さんとはかなり違う雰囲気ですよね。

ぜんぜん違いますね。いままではフワフワした、天真爛漫だったりちょっと天然だったりするかわいらしいタイプの女の子が多かったんですよ(笑)。唯阿のように、こんなに笑わなくて、こんなに男口調で男性に強く接する役は初めてでした。

「~~するな」「~~しろ」「~~だぞ」のような強い調子の言葉は、今まで言ったことがないものだったので、台本を読んでいるぶんには違和感はないんですけれど、口に出してみると口が慣れていないなと自分で感じるところがあって、何回も練習しているんです。今はだんだんつかんできたのかなという気もしますけれど、まだまだだなって。唯阿は組織の中でも技術顧問というポジションですから、説明台詞や「人工知能特別法」など劇中の専門用語が多くて、そこも苦戦しました。

――いろんな作品に出ている井桁さん。「仮面ライダー」は回ごとに監督が変わるなど、作り方の面でほかの作品と違うところもあるかと思いますが、そこに戸惑いはありましたか?

監督が変わると、役に対するイメージが違っていて、そこがまた自分の考えるイメージと違っていたりすると、最初のうちは戸惑ったこともありました。でも今は、逆にいろんな方が監督することで、いろんな意見が入って、またその役に深みを出していくところが面白いなと感じています。この監督はこうおっしゃっているから、こういう見方もあるんだ……ということがわかると、じゃあ自分はこうしたいという会話ができるようになってきました。監督ごとに指摘してくださる部分も違っていたりして、それが今は戸惑いというよりも、楽しさにつながっています。

――それが1年間を通して描かれる「仮面ライダー」の魅力でもありますよね。パイロット監督を務めた杉原輝昭監督とは、唯阿の原型についてどのようなお話をされましたか。

リケ女で、理論的にものごとを考えている人物。感情的に動く不破諫(演:岡田龍太郎)に対して、唯阿は効率を常に考えています。諫と唯阿、その対比が大事だよと言われたことをすごく覚えています。

それと、諫に対しての見方ですね。唯阿は諫のことを"脳筋"だと思っているんです。だから諫の意見は聞いていないんですよね。最初から対等に見ていないというか。でも、初めはそうだったんですけれど、話が進んでいくにつれて、諫に対しての考え方や見方が変わってきていますよね。まだ物語は前半ですけれど、それだけでも考え方が変わっていくうというのは不思議な感覚ですし、面白いですね。