■あのキャラクターたちの楽曲を思い出とともに披露!
ここからは横浜公演初日の目玉でもある、この日限りのキャラクターソングコーナーへ。まず爽快感たっぷりに披露されたのは、ゲーム『グランブルーファンタジー』より「キミとボクのミライ」。凛々しく大空を駆け抜けて冒険する、まさに本作を象徴する楽曲だ。
曲後のMCでは、自身が演じるルリアで挨拶していたのも嬉しいところ。東山はキャラソンだけでも200曲以上あるそうで、その中から何を歌うかすごく悩んだ結果、今回は特に思い入れのあるキャラクターを選んだという。ルリアは10年の声優活動で6年演じ続けているキャラクター。自分とルリアは一心同体であり、「群青インフィニティ」とも空繋がりでいいのではないかと思った、と選曲の理由を語った。
そして、TVアニメ『きんいろモザイク』EDテーマ「Your Voice」、TVアニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』EDテーマ「エブリデイワールド」と披露していく。ソロアーティストとしての顔とはまた違い、作品に寄り添ったメロディや歌声にはキャラクターたちの気持ちがしっかり込められていて、彼女たちがそこにいるのを感じる。そして、MCでは各作品やキャラクターへの思いを語る東山。
『きんいろモザイク』で最初に九条カレンを演じたのはまだ大学生の頃。当時は仲のいい人はいても、同世代で友達と言える人が業界にいなかったという。そんな時に作品でユニットを組むことになり出会ったのがRhodanthe*のメンバー。居心地のいい空気感を作ってくれて、心からの友達ができたと、ちょっぴり恥ずかしがりながら感謝の気持ちを述べていた。
続編が決定した『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』についても、楽しいラブコメなのかと思ったら内容が重くて、当時は胸の痛い日々を過ごしていたと振り返る。本作のアフレコ前には他の仕事を入れないようにお願いしていたらしく、そのぐらい難しい役であったと同時に役者としての姿勢が垣間見えるエピソードも明かしてくれた。
さらに、映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』主題歌「愛・おぼえていますか」を披露。東山が『マクロスΔ』のレイナ・プラウラー役、さらに戦術音楽ユニット“ワルキューレ”として活躍しているのはご存知の通り。この曲もワルキューレとしてカバーしているのだが(アルバム「Walküre Trap!」収録)、曲が2番にさしかかると、無線ペンライトの色がレイナのイメージカラーである緑(黄緑)からピンクに変化。歌う東山も先ほどとは違った雰囲気になる。
実は「愛・おぼえていますか」を東山が演じたキャラクターが歌ったのは2回あり、レイナ(ワルキューレ)ともう1人は中川かのん(TVアニメ『神のみぞ知るセカイ』)なのだ。曲の前半をレイナとして、後半をかのんとして歌うという、まさに今回限りの貴重な共演が実現。パシフィコ横浜は中川かのんとしても立ったことがある場所であり、2018年の武道館公演に続いてその不思議な縁について嬉しそうに語っていた。
キャラソンコーナーラストは、東山が初めて主役を演じた思い出の作品TVアニメ『異国迷路のクロワーゼ The Animation』より、EDテーマ「ここからはじまる物語」。主人公・湯音はいつもお手本にしていると話す東山。彼女と出会ったことは生涯の宝だという。実は当時「音楽活動をしてみないか」と声をかけていただいたことがあったそうで、それが今に繋がっていると振り返りつつ、9年ぶりにこの曲を披露。
優しいピアノの音色にのせて言葉をひとつひとつ紡いでいくような感じが印象的で、リハではボロボロに泣いてしまったと明かしていたように、込められた気持ちが伝わってくる。本当に作品やキャラクターに愛を注ぐ彼女だけに、「いつかオールキャラソンライブもやってみたい」という言葉も期待したいところだ。
キャラソンコーナーに続いては、自身が作詞作曲した「はじまりの空」。心細い時にそばにいるよ、という想いを込めたという言葉通り、暖かで優しい歌声がみんなを包み込む。夕焼け色のライトに照らされ、歌いながら観客ひとりひとりを見ながら「みんなも歌って!」と笑顔を浮かべていた。そして、本編ラストは「未来YELL!」。タオルを手にしてフルパワーのパフォーマンスをみせると、会場一体となってのコール&レスポンスで揺れんばかりの盛り上がりとなった。
■10周年に向けて無限の可能性を示したアンコール!
アンコールの声に導かれ、アレンジしたライブTシャツ姿で再登場した東山は、まだまだ元気満点に「君と僕のシンフォニー」を披露。1stアルバム「Rainbow」のリード曲であり、武道館公演での“虹”も印象深かったこの曲。観客には虹のタオルを持っている人もいて、東山も嬉しそう。
そして、最後の曲に行く前には振り付け講座……をしたのだが、その最中にバンマスの伊賀拓郎のTシャツに手作りで「インフィニ“テ”ー」と書かれているのに気づいて大喜び。背中には「無限」と書かれていて、Tシャツにまで無限の可能性を示すレイボードッグスだった。そんなこともありつつ改めて振り付け講座をした後は、みんなが一緒になって「君の笑顔に恋してる」を楽しんでライブを締めくくった。
今回のツアーは毎回東山、バンドメンバー、ダンサーで人文字を作ってきており、横浜公演初日は「NAO!」の文字をビシっと決める。そして、改めて感謝の気持ちを述べつつ、10周年イヤーとなる来年はいろいろなことを企画して楽しい思い出を作りたいと意気込んだ東山。声優としてもアーティストとしても、そして人間としても本当に素敵な彼女だけに10周年イヤーも楽しみにしたい。
●東山奈央 1st TOUR “LIVE Infinity”2019年9月7日(土) パシフィコ横浜・国立大ホール セットリスト
- 群青インフィニティ
- True Destiny(TVアニメ『チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~』EDテーマ)
- 青空ダイアリー
- 灯火のまにまに(TVアニメ『かくりよの宿飯』OPテーマ)
- さよならモラトリアム
- Mode Style
- Action
- Living Dying Kissin’
- I Want You To Know Baby
- オトメイロ
- キミとボクのミライ(ゲーム『グランブルーファンタジー』より)
- Your Voice(TVアニメ『きんいろモザイク』EDテーマ/Rhodanthe*)
- エブリデイワールド(TVアニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』EDテーマ/雪ノ下雪乃(CV.早見沙織)&由比ヶ浜結衣(CV.東山奈央))
- 愛・おぼえていますか(映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』主題歌)
- ここからはじまる物語(TVアニメ『異国迷路のクロワーゼ The Animation』EDテーマ)
- はじまりの空
- 未来YELL!
<ENCORE>
EN01. 君と僕のシンフォニー
EN02. 君の笑顔に恋してる