声優としてもアーティストとしても活躍をみせる東山奈央の1stライブツアー“LIVE Infinity”。その横浜公演が2019年9月7日、8日にパシフィコ横浜・国立大ホールにて開催された。その初日となる9月7日公演のレポートをお届けする。
大阪、名古屋と巡ってきたツアーの日本国内ラストの会場となる横浜公演。初日と2日目では内容が異なり、初日公演には「キャラソンコーナー」を実施して本人厳選の楽曲を披露。MCでは各作品やキャラクターへの思い出と愛をたっぷりと語り、声優としての顔、アーティストとしての顔の両方を見せてくれた。ステージセットを使った演出の妙も素晴らしく、本人の秀逸なパフォーマンスと相まって非常に完成度の高い内容で、楽しさ満点の濃い時間となった。
■パシフィコ横浜に青空が広がる
ステージには、アパートをイメージしたような巨大なセット。9つのボックス状のセットはそれぞれがスクリーンにもなっており、今回の演出で大きな役割を果たしていた。そして、バックバンド“レインボードッグス”の演奏で会場を温めると、後方の扉から青空を想起させる鮮やかな衣装の東山が登場。
「LIVE Infinity」横浜へようこそ!
そう叫ぶと、一気にスイッチオン。自身が作詞作曲をした2ndアルバム表題曲「群青インフィニティ」を元気いっぱいに歌い出す。東山のライブでは、無線で色を変化させることのできるペンライトをグッズとして販売し、会場のライティングとペンライトの光も演出の一部としてライブを作り上げていく。そこに東山の突き抜けるようなクリアで澄んだ歌声が響き渡ると、会場全体に青空が広がるかのよう。ロングトーンの気合もすごく、パワフルで真っ直ぐな歌声は大きな会場をものともしない。
続いて、「True Destiny」を披露。歌詞と本人の名前をかけて「なお!」と叫ぶのも定番となっており、ステージを移動しながら観客を見ては嬉しそうな表情を浮かべる東山。演奏が止まってアカペラのようになるところでは、彼女の芯のある歌声がより感じられた。
2曲歌い、改めて挨拶。自分のMCは長いと自虐的に話しつつも、今回のツアーの中での成長をみせたい、声優としてだけじゃなく歌手としての東山奈央をみせたいと意気込む。さらに、横浜公演2日目は台風が心配されることや、これまでのツアーでも台風に見舞われたことを受け、自分のことを“嵐を呼ぶ晴れ女”と称していた。
翌日晴れることを祈願して、次に披露したのは「青空ダイアリー」。ステージ端に腰掛けてカメラにアピールする姿も可愛く、その輝く笑顔がみんなを明るく照らす。和を感じさせる楽器によるロックナンバー「灯火のまにまに」では、曲に合わせた艶やかな歌声も魅力たっぷり。曲中に“レインボードッグス”のメンバーを紹介しつつ、さらに盛り上げていく。
「さよならモラトリアム」はハイテンションでめまぐるしく変わるメロディに、ノリノリの掛け声や肩を組んでの合唱など楽しさいっぱい。さらに、曲の途中には各会場で行ってきた「大人チャレンジ」を実施。横浜公演初日のお題は「ギターのOmmyと協力して、華麗に10回弾いてみせよ」というもの。東山がピックを持ってOmmyが弦を押さえるのに合わせて弾き、上手く出来たら成功というものだ。チャレンジの結果は見事に成功。大喜びの中、東山はいったんステージを後にした。
■キレのあるダンスとスクリーンを使った演出で魅了!
ダンサーによるパフォーマンスでさらに会場を盛り上げると、通称“メタリックなおぼう”こと銀ベースの衣装にチェンジした東山が再登場。「Mode Style」では、セットのスクリーンを巧みに用いたファッションショーも開催される。衣装にはペンギンの気ぐるみもあったりして、素敵な楽曲やダンスに加えて見ても楽しいステージが展開された。
「“メタリックなおぼう”になりました」と笑う東山は、ペンギンになれたことに感無量の表情を浮かべる。衣装の靴がツアーのためにスペシャルオーダーで作ってもらったことや、以前のような酸素ボンベがなくても難しいダンスが踊れるようになったことなどを話し、ここからはダンスパートに突入。
「Action」は演出にもオシャレさが増し、ちょっぴり大人の雰囲気を醸し出す。キレキレで味もあるダンスでみんなを魅了しながら、それでいて歌声の安定感は抜群だ。さらに、「Living Dying Kissin’」では多彩な音やリズムにのせたハイパフォーマンスを披露。“メタリックなおぼう”を中心に、左右のダンサーが黒の衣装という構成も映える。ショーとしての完成度の高さにも驚かされた。
その一方で、トークになるといつもの人懐っこい姿になるのも彼女の魅力だろう。映像とのシンクロは以前から挑戦してみたかったそうだが、100倍返しのような提案をいただいたと今回の演出について話す。一見するとダンサーが多数いるように見える演出も、実際には4人だったと種明かしもしていた。
続く「I Want You To Know Baby」でもスクリーンを使った仕掛けが満載。スクリーンの背後に手を入れると大きな手が映しだされたり、あちこち瞬間移動したりとにかく楽しい。曲の後半にはメタリックな衣装を脱ぎ去り、人間の“なおぼう”へとチェンジする東山。
人間になった衣装にはコンセプトがあるそうで、ステッチの赤と青が動脈と静脈、そしてスカートの赤は……肉! そんなことを嬉しそうに話す彼女を見ていると、こちらも笑顔になる。そして、ダンスパートラストは「オトメイロ」。みんなのクラップが鳴り響き、間奏には「あいや! あいや! あいやいやささ!」の大合唱。会場はお祭り騒ぎとなった。