フルサイズよりも大型のセンサーを搭載しながら個人が趣味で使えるデジタルカメラとして風景撮影派などに人気を集めているのが、富士フイルムの中判デジタルカメラ「GFX」シリーズです。11月22日からキャッシュバックキャンペーンが始まり、注目が高まっています。シリーズの売れ筋となっているレンジファインダーカメラ風デザインの小型軽量モデル「GFX 50R」の実力を、改めてチェックしていきましょう。
中判センサー搭載でも軽量コンパクトな設計
デジタルカメラの写りを決める要素のひとつに、撮像素子(イメージセンサー)の大きさがあります。同じ画素数の場合、センサーサイズが大きければ大きいほど画素1つあたりの面積は大きくなり、階調の再現性やダイナミックレンジの広さ、高感度特性などが向上します。写りを考えれば、センサーサイズが大きいほうが基本的に有利といえます。
現在のデジタル一眼カメラは、センサーサイズが小さいほうから順にマイクロフォーサーズ、APS-C、APS-H、フルサイズ、中判といったフォーマットが存在します。そのなかで最も大きい中判センサーを採用しているデジタルカメラのひとつが、富士フイルムのミラーレスカメラ「GFX」シリーズです。中判カメラというと、スタジオなどでプロが三脚に据えて使うカメラというイメージがありますが、GFXシリーズは一般の写真趣味層が手持ちで撮影できる製品に仕上げられています。
GFXシリーズは、1億超の高画素センサーを搭載した「GFX100」や、一眼レフスタイルのスタンダードモデル「GFX 50S」などがありますが、なかでも人気があるのがレンジファインダー風のデザインを採用した小型軽量モデル「GFX 50R」です。
Xシリーズと同様の操作性
GFX 50Rは、イメージセンサーなどのキーデバイスはGFX 50Sと同じですが、トップカバーの出っ張りがないことや、グリップの張り出しが控えめなこともあり、中判デジタルカメラとしては比較的軽量コンパクトなボディに仕上げられています。ボタンやレバーなどの操作部材のレイアウトは、同社のAPS-Cミラーレス「X-E3」に準じています。
実際に手に持って構えたときも馴染みやすく、露出補正ダイヤルやフォーカスレバーなどの操作もスムーズにできます。APS-CのXシリーズと比べれば大きく重いものの、重量的なハンデもさほど感じることはありませんでした。
オートフォーカスも、これまでの中判デジタルカメラと比べればとてもスムーズで快適です。フォーカスエリアと重なった部分に速やかにピントが合い、風景撮影のみならずスナップでもシャッタータイミングを見逃すことはないでしょう。フォーカスエリアの移動も、フォーカスレバーのワンアクションででき、フォーカスエリアの大きさも速やかに変えられて便利に思えました。
キーデバイスとなるイメージセンサーは、44×33mmの有効5100万画素CMOSセンサーを搭載。GFX 50Sと同じセンサーで、フルサイズと比較すると面積比で約1.7倍もの広さを誇ります。冒頭で記したように、画素ピッチの大きさから階調再現性をはじめダイナミックレンジや高感度特性などで有利ですし、より立体感のある描写が得られます。ちなみに、GFXシリーズ用のGFレンズは1億画素クラスでも十分に対応できる光学解像度を持っているとのことで、GFX 50Rならば余裕といったところでしょう。
左隅に設けられた電子ビューファインダーは369万ドットと高精細で、一眼レフの光学ファインダーに慣れた写真愛好家もさほど違和感なく使えるかと思います。ファインダーの光学系も作り込まれており、にじみやゆがみの少ないクリアな表示となっています。背面液晶は236万ドットの3.2インチで、最新デジカメらしくタッチ操作にも対応しています。
画面の縦横の比率であるアスペクト比は標準だと4:3で、フルサイズやAPS-Cなどの3:2よりも若干縦長となります。この点については好みが分かれるかもしれませんが、設定で3:2のアスペクト比も選択できます。
ざっくりと主要な機能や操作感を紹介しましたが、中判デジタルカメラとしてはコンパクトなボディ、APS-Cミラーレスと同等のストレスのない操作感、リーズナブルな価格と、魅力的な内容に仕上がっていると感じます。