小出が、『ザ・ノンフィクション』でナレーションをやることになったきっかけは、『とんねるずのみなさんのおかげでした』の名物企画「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」だ。お笑い芸人のチャンス大城とコンビを組んで「『ザ・ノンフィクション』でよく見るようなシーン」を披露し、見事優勝したことから、当時のチーフプロデューサーと食事の場が設けられることになった。
だが、「絶対怒られると思ったんです。私たちがやったネタは『足立区物語』とか『ドタバタ山神家』とか、そんなの放送されてないんですよ。(テーマ曲の)サンサーラも勝手に流してイジっちゃってますし…」と不安を抱えていたそう。ところが、「お会いしたら『宣伝してくれてありがとう』って言ってくれて、びっくりしました」と予想に反して好感触で、ナレーションの仕事につながった。
「『ザ・ノンフィクション』でよく見るようなシーン」のネタは、もともと小出が1人でやっていたものだが、そのまま展開が難しいため、「細かすぎて―」に出場するにあたって、チャンス大城を誘ったのだそう。「『働かないおじさんの役をやってほしい』ってオファーしたら『失礼やな(笑)』って言いながらもやってくれて。でも、先にチャンスさんがナレーションをやることになったので、悔しかったです」と振り返る。
ちなみに、ナレーションの声とインタビューに応じる声は、雰囲気が大きく異なるが、「私、番組のファン過ぎて、“ザ・ノンフィクション風のナレーション”っていうのをずっとネタでやってたから、それが抜けないのかもしれないです。ちょっと声をかすれさせるっていうのがポイントなんですけど(笑)」とのことだ。
■こんなに応援したくなるドキュメンタリーはない
そもそも、『ザ・ノンフィクション』を好きになったのは、孤独死した人の遺品整理などを行う“特殊清掃員”に密着した回を見たことがきっかけだ。「すごく踏み込んでるから本当に引きこまれちゃって、その後結婚までされたのを追っていたんです。1人の人生をこんなに応援したくなる気持ちで見られるドキュメンタリーってなかなかないと思って、入り込んでしまいました」と、すっかり番組のファンになった。
それから好きが高じてネタにするようになったが、「『ザ・ノンフィクション』のナレーションをやるって、芸能界のゴールだと思ってたんですよ。すごい人ばかりやってらっしゃるので、私の“いつか叶えたいことリスト”に入ってたんです。だから、売れてなきゃできないと思ってたのに、まさかモノマネがきっかけでできるなんて、本当に奇跡だと思いました!」と、いまだに興奮を隠せない。
あらためて、『ザ・ノンフィクション』の魅力を聞くと「毎回主人公が変わるので、今回はどうなるんだろうっていうワクワクもあるし、変に狙ってない自然体の姿を流しているから、見ごたえがあるのかなと思います。中毒性があって、癖になりますね」と教えてくれた。
●小出真保
1982年生まれ、長野県出身。03年大東文化大学卒業。『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジ)の「第23回細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で優勝し、『歌ネタ王2018』(MBS)では準決勝進出。12月14日放送の『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』にも出場する。