――前作に続き、今作でもパグ犬(タツオ=演・田中太郎)がかわいいと話題です。
前作で演じてくれたこつぶには悪いんだけど、ちょっとイケメン度が増してるんですよ。表情も豊かで、セリフの意味を目で訴えることが可能なんですよね。現場では、カメラの横にあるエサを見てるんだけど、それが放送になるとちゃんとストーリーに乗っかった目になっている。こっちも負けないようにしなきゃって思いました(笑)
――現場でも癒やしの存在になっていたんですか?
そうですね。実は飼い主さんから、言うことを聞くように大きな声も出てて、現場では犬たちの撮影のときが一番緊張感があるんですが、しっかりやってくれました。僕も小さい頃から犬を飼っていましたから、犬の気持ちは桑野じゃないけどすぐ分かる(笑)
――番組ホームページの相関図で、桑野の写真だけ阿部さんの公式ホームページ風になっていたのも話題になりました。
それ、知らなかったんですよ(笑)
――ファンの方が気づいてネットで話題になりましたが、そういう遊び心は制作チームから感じますか?
知らないうちにやってくださるんですよ(笑)。気づいたらこんな(パグ風桑野の)キーケースができてたり。ある日突然、送られてくることが多いから、こっちは結構楽しいです(笑)
■台本のムチャぶりに「断っていいかなあ…」
――第6話では、桑野をブログで誹謗中傷していると疑って薬丸(デビット伊東)に2人きりのサウナで迫るシーンがありました。
台本読んだときに「これ、断っていいかなあ…」って思ったんですけど、やってみるかと思って撮影してみたら、面白かったんですよ(笑)
――ほかにも、尾崎さんの台本で躊躇(ちゅうちょ)するシーンはあったのですか?
「やりすぎじゃないかな…」っていうのは結構ありましたよ。でも、さすが尾崎先生だなと思うんだけど、実際にやってみたら決してやりすぎになってなくて、いいシーンになることが多いんですよ。ただ、「やりたくない」って思いながら演じるから、やりすぎになってないということもあるかもしれないけど(笑)
――桑野がやっくんにやられたように、阿部さんも匿名の誹謗中傷に悩まされたことはあるんですか?
僕はね、あんまりそういうのないんですよ。皆さん本当に温かくて。多少はありますけど、そういうのはあんまり気にしないですね。悪口を言われるのは、もうただ相手方の心理もあるだろうから。
――どうすれば気にしないで済むのでしょうか?
慣れたんですかね。最初は「なんでこんなこと言わるんだ」って確かに思ったと思う。でも、芸能人をやってれば何かしら言われるのは当たり前。それよりも、応援してくださる人数のほうがはるかに多いので、気にする必要は全くないなと。
●阿部寛
1964年生まれ、神奈川県出身。87年、映画『はいからさんが通る』で俳優デビュー。その後『TRICK』『HERO』『アットホーム・ダッド』『ドラゴン桜』『白い春』『結婚できない男』『新参者』『下町ロケット』といったドラマ、『歩いても歩いても』『麒麟の翼』『テルマエ・ロマエ』『うみよりもまだ深く』といった映画などに出演。来年には舞台『ヘンリー八世』の公演、映画『HOKUSAI』『The Garden Of Evening Mists』の公開が控える。