【デザインとサイズ感】

イヤホン本体と充電ケースは、大きさに差があります。ソニーのWF-1000XM3が発表された当時は「よくぞ頑張ってここまでケースを小さく軽くできた!」と感銘を受けたものです。数々の機能を搭載していることを考えれば、このポータビリティの高さは驚異的と言っても間違いではありません。ですが、AirPods Proはさらにひと回り以上、ケースとイヤホンがコンパクトになっています。AirPods Proのほうがバッグの中で占有スペースを抑えられるので、特に女性の音楽ファンは魅力的に感じるのではないでしょうか。

  • ケースのサイズはAirPods Pro(左)のほうがひと回りぐらいコンパクト。バッグの中のスペースをむやみに占有しません

  • イヤホン本体もAirPods Pro(左)のほうが小さくてスリムです

【代表的な機能】

ソニーのWF-1000XM3が搭載する多彩な機能を挙げ始めるとキリがありませんが、AirPods Proにも搭載してほしいと感じた機能が1つあります。イヤホンを耳から外さなくても、ハウジング側面のタッチセンサーリモコンを長押ししている間だけ周囲の音をさっと聞ける「クイックアテンションモード」です。コンビニのレジで会計をする短い時間にイヤホンを耳から外したり、外音取り込みモードにスイッチする手間が省けます。

  • WF-1000XM3は、イヤホンの側面がタッチセンサーリモコンになっています。長押し操作をクイックアテンションモードの起動に設定できます

  • AirPods Proは、ステムの部分にタッチセンサーリモコンを内蔵しています

反対に、AirPods Proが強みとしているのが、IPX4相当の防滴・耐汗性能を備えていること。WF-1000XM3も、水滴に軽く濡れる程度であれば全然大丈夫ではあるのですが、汗を多くかくスポーツシーンで使う場合は、やはり本体のサイズ感を考えてみてもAirPods Proが適しているといえます。

【バッテリー】

ANC機能をオンにした場合の最大音楽再生時間は、AirPods Proが約5時間、WF-1000XM3が約6時間と大きな差はありません。充電ケースでチャージしながら使う場合は、どちらも約24時間の連続音楽再生が可能です。

WF-1000XM3は、汎用性の高いUSB Type-Cケーブルが充電に使えるところが大きなアドバンテージになります。AirPods Proは、iPhoneと同じLightningケーブルを使って充電します。iPhoneユーザーであれば同じケーブルが共用できるので、不便はないでしょう。Qi規格に対応するワイヤレス充電にも対応しているので、自宅やオフィスにスマホ用のワイヤレス充電器があれば、そこにポンと置くだけで充電ができます。

  • USB Type-C充電端子を搭載するWF-1000XM3

  • AirPods Proの充電端子はトラディショナルなLightningコネクタです

【カスタマイズ性】

イヤホンは、音や外観を自分の好みに合わせてカスタマイズしながら使うと、より愛着が深まってくるもの。しかし、完全ワイヤレスイヤホンはカスタマイズできる余地が少ないアイテムといえます。ソニーのWF-1000XM3は、同こんしている2種類のイヤーチップを交換して音や装着感をアレンジできます。ノズルの形状は互換性が高いので、サードパーティー製のイヤーチップと交換して楽しむことも可能。

  • WF-1000XM3は、サイズが異なる2種類のイヤーチップを同梱しています

AirPods Proは、独自形状のイヤーチップを装着して使うため、今のところ互換性のある交換品が存在しません。従来のAirPodsは、華やかな柄の「ケースを収納するケース」や、左右の本体を一時的に結んで“肩掛け”できるようにするストラップなど、サードパーティー製のAirPods専用アクセサリーが充実していました。AirPods Proの人気ぶりを見ると、今後イヤーチップをはじめとする対応アクセサリーが続々と登場するのは間違いないでしょう。

  • AirPods Proはイヤーチップの形状が独特。一般的なイヤーチップとの互換性はありません

ANC搭載完全ワイヤレスイヤホン、戦国時代に突入

ANC機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホンは、各社から続々と登場することが見込まれます。ファーウェイは、「FreeBuds 3」を日本でも11月29日に販売することを発表しました(予想実売価格は税別1万8800円)。デンマークのリブラトーンも、強力なANC機能を載せた完全ワイヤレスイヤホン「Track Air+」を商品化しています(実売価格は税込み2万5000円前後)。

  • AirPodsにルックスもよく似ているファーウェイの「FreeBuds 3」

  • デンマークのオーディオブランド、リブラートンの「Track Air+」も日本上陸を果たしました

さらにアメリカでは、あのアマゾンがボーズとタッグを組んでノイズリダクション機能とAIアシスタントのEchoを内蔵した完全ワイヤレスイヤホン「Echo Buds」を発売しました。ボーズ自身の製品では、“高性能なノイズキャンセリング機能”を搭載して2020年に発売を予告している「Bose Noise Cancelling Earbuds 700」の詳細も気になります。

アップルのAirPods ProとソニーのWF-1000XM3の対決から幕が開けた「アクティブノイズキャンセリングイヤホン戦国時代」、2020年にかけて目が離せなくなりそうです。