サーキット周辺で味わえる奥深いタイの魅力

チャーンインターナショナルサーキットのあるブリーラムは、バンコクの北東方向に位置する。今回はレース終了後、そこからさらに東に進んだウボンラーチャターニー県に足を運んだ。ウボンラーチャターニーは東側がラオス、南側がカンボジアに接する国境の県で、自然と遺跡が見所だ。

最初に訪れたのはパー・テーム国立公園。内陸部の山あいにあり、総面積340平方キロメートルにも及ぶこの国立公園の入り口付近には、キノコ型をした奇岩がある。この奇岩には、貝殻の化石が張り付いている。つまり、この場所は古生代には海中にあったということを証明しているのだ。駐車場に使われていた広場もよく見れば、波に浸食されたような様相、潮が引いた岩礁のような雰囲気だった。

  • パー・テーム国立公園にあるキノコ型の奇岩

    パー・テーム国立公園にあるキノコ型の奇岩

  • パー・テーム国立公園の駐車場

    昔は海の中だったことを物語る風景も楽しめた

パー・テーム国立公園で最大ともいえる見所は、断崖絶壁に描かれた数々の壁画だ。3,000~4,000年も前の時代に書かれた壁画は人々の様子を表したもので、その数は300以上に及ぶ。その壁画には、農耕や狩りの様子などが描かれているのだが、壁画の周辺をいくら発掘しても、人々が暮らしていた痕跡はないという。このことから、壁画を描いた人物はここで暮らしていたのではなく、通りがかりに落書きとして描いたのではないかというのが有力な説だ。古代の人の落書きが、今の時代になり、その時の様子を伝える手がかりになるとは……。もしかしたら現代の落書きも、何千年後かには今を知るための手がかりになるかも知れないと考えると、なかなか感銘深いものがあった。

タイは仏教国なので、各所に多くのお寺がある。中でも、ウボンラーチャターニーは修行の地として有名で、さまざまなお寺が存在する。

同県では毎年7月頃に「キャンドルフェスティバル」が開催される。このフェスティバルは、仏教僧が寺院からの外出を禁じられるカオ・パンサー(入安居)の時期に、地元の職人が巨大な蝋細工を作って奉納する儀式だ。今回訪れた寺院「ワット・ノンブア」にも、大きな蝋細工が置かれていた。また、ワット・ノンブアには巨大な仏舎利があり、その中には仏像が鎮座しているのだが、夜だというのに多くの人が訪れ、お参りをしていた。

  • ウボンラーチャターニーのキャンドルフェスティバルの様子

    地元の職人が奉納した巨大な蝋細工

もうひとつ訪れたお寺の「ワット・シリントーンワララーム」は、非常にモダンな雰囲気だった。ワット・シリントーンワラームのウリは、日没とともにお寺が光輝くこと。お寺の建物はもちろん、路面などにも蛍光塗料が塗られているのだ。また、エントランス部分にはさまざまなキャラクターを模したタイルがあり、子ども達がキャラクターを見つけては大喜びしていた。おそらく、子供が喜ぶ仕掛けを用意することで、お寺へ来る人を増やそうという手法なのだろうが、観光客として訪れても、とても楽しい場所になっている。

  • タイの「ワット・シリントーンワラーム」

    「ワット・シリントーンワララーム」はモダンな雰囲気

タイというとバンコク、そしてパタヤやプーケットといったビーチをメインに考えている人が多いかもしれないが、東北部に足を運べば、その土地独特の文化が体験できるはずだ。

協力:タイ国政府観光庁